見出し画像

「努力が足りないだけだと思ってた」——君が自分を責めないように、伝えたかったこと

「学校、行きたくないなあ。」

新学期が始まったばかりの4月、息子がそうつぶやきました。

小学3年生になったばかり。
クラスのお友達とも先生とも、特にトラブルは見当たりません。
それだけに、私は少し驚きました。

でも、その一言を流してしまうのは違う気がして、
その日は思いきって学校をお休みすることにしました。

息子にはリンゴジュース、私はお茶を入れて、
ゆっくり話す時間をつくることに。

「国語の時間が、嫌で嫌で仕方がないんだ。
3年生になって漢字が難しくなったし、黒板の字をノートに書くのも、すごく時間がかかる。」

息子は、そんなふうに打ち明けてくれました。

彼が発達性ディスレクシアだと分かったのは、小学1年生のときでした。
医師のすすめもあり、検査結果をそのまま息子に伝えることにしました。

苦手なことや得意なこと、
その中で特に「読み書き」が苦手だという結果を、息子にしっかりと話しました。
息子も「読み書きが苦手なんだ」ということをしっかりと理解しています。

でも、ふと私は思いました。
小学3年生になった今、彼は“自分のこと”をどんなふうに捉えているのだろう、と。

「自分のこと、どう思っているの?」
そう聞くと、彼はぽつりと、こう言いました。

「自分の努力が足りないせいだと思ってる。」

その言葉を聞いて、私はショックを受けました。

ああ、私は「説明したつもり」になっていたんだ。
あのときの小学1年生の息子に伝わっていたとしても、
小学3年生になった今の彼には、今の彼に合った言葉で、もう一度伝える必要があるんだ。

そんな気づきをもらいました。

そこからは、小学3年生にも伝わる言葉を選びながら、

・障がいって何だろう
・生まれつきのこと、あとからのこと
・世界中に同じように読み書きが苦手な人がどのくらいいるのか
・社会にはどんな仕組みやサポートがあるのか
・偏見や困難って、どんなふうにあるのか

そんな話を、ゆっくり、少しずつしました。

生まれつきの部分や障がいについて話したとき、
息子はとても驚いた様子で言いました。

「僕も同じなの!?」

私は静かにうなずきながら、こう話しました。


「あなたが生まれたとき、
まず一番に願ったのは、元気に生まれてきてくれること。
お母さんは、ただ元気に生まれてきてくれることが
一番の願いだったんだ。
そして、君は元気に生まれてきてくれた。
体も、心も。
だから、それはとても幸せなことだよ。
君には元気な体がある。病気もない。
だけど
読むこと、書くことが苦手。
確かに、それは難しいことだよね。
でも、自分の苦手なことをちゃんと知っていること。
それもまた、とても大切で、幸運なことなんだよ。
君はもう、自分が苦手なことを
ちゃんと知ることができた。
それは、君が悪いわけじゃないんだよ。
だから、もう自分をせめたり、
心を痛めなくていいんだ。
どうか、「自分のせい」なんて思わないでね。」


息子は、私の目をじっと見つめながら、しっかりと話を聞いてくれました。

きっと、来年になったら小学4年生なりの言葉で、また伝えていくことになるのだと思います。
そのときそのときの息子に届くように、何度でも伝えていこう。
母として、それは私の役目なのだと改めて感じました。

話しながら、不意に涙が出そうになる自分がいました。

もうずいぶん前に受け入れたはずのこと、乗り越えてきたと思っていました。
だけど、本人に現実をまっすぐ伝えるその瞬間、
複雑な思いが込み上げました。

でも、息子はちゃんと話を聞いてくれました。
質問もたくさんしてくれて、最後には彼なりに納得したようでした。

そして、こんなふうに話してくれたました。

「ショックだった。でも、傷ついてはいないよ。」

その言葉に、私はまた胸が詰まりました。

「努力が足りない」と感じさせてしまったのは、きっと私の責任です。
1年生のときに伝えた“つもり”になって、安心していた。
けれど、日々の中で「ついていけない自分」に、
息子は無意識に罪悪感を抱いていたのかもしれない。

この出来事は、私にとって大切な学びになりました。

説明は一度きりじゃ足りない。
子どもの成長に合わせて、何度でも伝えていくこと。
そのたびに、息子と話し合っていけたらと思っています。


▼あわせて読みたい
息子がディスレクシアと診断された経緯や、これまでの流れについて書いています。

いいなと思ったら応援しよう!

読み書き支援ノート|小3息子×発達性ディスレクシア|読み書き障害/学習障害/LD/SLD 🍩ドーナツ1個分で、ディスレクシアの息子の学びが広がります!よろしければ、ぽちっと応援いただけたら嬉しいです。いただいたチップは、息子の学習や研究、そしてnoteの記事に全力で還元させていただきます!