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記憶の森を旅して

あなたの旅、ショートストーリーにして綴りませんかの企画参加作品

🌿 記憶の森を旅して

まえがき
誰にでも、心の中に森があります。
そこには懐かしい笑顔や、忘れかけた景色が息づいています。
この物語は、記憶という森をゆっくりと旅する一人の女性の、
“今と過去を結ぶ優しい時間”です。


本文
「おかあさん、今日はデイサービスの日よ、起きて。」
娘が私に声をかける。

デイサービスは行きたくない。
私はこれから仕事に行かなきゃならないんだ。

そう言うと、
「おかあさん、もう仕事してないんだから。
ほらほら、デイサービスの用意をして。」
娘は少し困った顔をする。

私は記憶があいまいになり、
今いる時間が本当の時間なのか、わからない。
まるで、記憶の森の中を旅しているみたい。

記憶の森は、
私が輝いていた頃も、
子どもたちが小さかった頃のことも、
木漏れ日のように浮かんでくる。

「今日はどこへ行こうかね。」
デイサービスには行かないよ。
だって今日は、お父さんとデートする約束があるんだよ。

だれも私の記憶の森には入ってこない。
おかしいのかい?
私はこの記憶の森を、いつまでも旅していたいんだ。

そこは、私がまだ“私”でいられる場所だから。

イラスト:ChatGPT

あとがき
記憶が薄れていくことは、悲しいことばかりではないのかもしれません。
思い出の中を自由に歩きながら、
大切な時間をもう一度生きている人もいる。
この物語は、
そんな“もう一つの生き方”への小さな祈りです。

よしまるさんの企画に書かせて頂きました。
よろしくお願いします。


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