村人たちの社内バーベキュー|参加するほど辞めていく
どうやら物価上昇の波は肉やビールにもおよび、「バーベキュー高騰」という現象になっているらしい。このニュースを見て、ふとバーベキューについて考えることとなった。
昨年の今頃、社内バーベキューの幹事をやらされていた。今年も社内イベントの幹事を勤めているが、去年とは違って今年は室内の懇親会会場でドキュメンタリー動画を流すイベントに変更している。雨リスクが高いからだ。
去年のバーベキューは役員たちからは好評だったようで、今年はバーベキューではなく室内の懇親会になることを伝えると「今年はバーベキューじゃないの?」といった反応だったらしい。幹事だった身としては胸をなでおろす思いである。
しかし、ふと思い出してみると、昨年のバーベキューに参加していた社員のうち3分の1くらいが辞めている事に気づいた。楽しそうに肉を焼きながらビールを飲んでいたが、みんなどこに行ってしまったんだろうか…。
もちろんバーベキューが直接的な原因であるとは限らないが、こういったチームビルディングの名目を掲げて実施される社内イベントに違和感を感じる若者が多くいても不思議ではない。
簡単に調べてみたが、2024年の調査において、300名の社会人を対象にアンケート調査したところ、社内イベントに「参加したくない」の人は47%、賛成派の23%を大きく上回る結果になったらしい。「できれば参加したくない」を含めれば大半の社員が参加したくないことがよくわかる。

これは何も「静かな退職」の様な、若者が仕事に対しての熱意が低下していることだけを意味するわけではない。「歓送迎会」「忘年会・新年会」「飲み会」「ランチ会」といった飲食を伴うイベントに対しては、比較的参加意欲が高い結果も出ているからだ。

集団でバーベキューを実施するのは、それ程簡単なことではない。1カ月以上前から適切な会場を複数調査し、仮予約なども通して日程と場所を押さえておかなければならない。料理のコースも予算も含めて考えなければならないし、当日も大勢を引き連れて会場まで先導して案内しなければいけない。本来の自分の仕事を脇に置いた状態でこれらを実践するのだ。
そして気候変動の時代である現代は、そもそも外の気温が暑い。決起集会と称したイベントにおいて、猛暑のなか肉を焼き、更には仕事への熱い思いを上司から語られたら、冷えたビールが何杯あっても足りることはなさそうだ。
大半の社員が猛暑と忖度に疲れ切っている状態で、最後は集合写真を撮影し、社員たちは営業で鍛えた作り笑顔をカメラに向けて、結果的に美しい写真が撮られる。これらは社内報や会社のホームページにアップされ、人事部の実績として積み上げられていく。これに違和感を感じるのは当然だろう。
僕は何もバーベキューが嫌いなわけではない。肉もビールも好きだし、社員と会話をするのも好きだ。だけど、ムラ社会的な儀式で無理やり士気をあげる文化は本当に疲れる。それが言いたいだけだ。
村人から離れた立ち飲み屋でひとり酒を飲みながら、そんなことを考えていた。やっぱりこうして自由に飲む酒の方が圧倒的にうまい。
