新社会人におすすめの本|極めて現実的な推し本
noteがこの春に「新社会人におすすめの本」という企画を開催しているようなので、色んな方々のおすすめを読んでみたところどれも結構おもしろそうだった。
新社会人におすすめの本を紹介しているわけだから、それなりにビジネスで活躍されている人が投稿している印象がある。僕はそういった自信があまりないのが正直なところである。
それはさておき、営業やコンサル出身と思われる人たちはイノベーションや地政学の本を紹介しており、プログラマの人はTCP/IPとかリーダブルなコードを書く本とか、(当たり前だが)プログラマならではの本を紹介していた。いくつか積読しているものはあったものの、僕はどれも未読だった。あらためてこうして見ると読みたくなってくる。
ということで僕も考えてみたが、新社会人におすすめできる本って何だろうなぁ、と考えてしまった。というのも、僕が新社会人だったころは仕事への高いモチベーションを持ち合わせておらず、イノベーションやらプログラミングやらの本を仕事ではない時間に読もうとは思わなかっただろうからだ。
しかし、実際に高い意識を持ち優秀で将来有望な新社会人が確かに存在することは、自分が社会人になってから知ることになる。だからあまり自分の経験に引っ張られて紹介する必要はないのだが、どうしても当時の自分のような人間の役に立つような本を紹介した方がいいのではないかと思ってしまうのだ。
そういう観点で当時の自分の様な、とりあえず嫌々ながら社会人になる人にも有益な本は何かを考えてみたところ、今までにも何度か投稿したことがある『となりの億万長者』と『私の財産告白』の二冊だという結論になった。
どちらも「もっと若いうちに読んでおけばよかった」と思っている本なので、それを知ることができるとすれば、バリバリのビジネス書でなくとも新社会人にとって少しは有益な情報になるだろう。
どちらもある種のマネー本ではあるけれど「秒速で億万長者になる方法」のようなマネー本ではなく、質素倹約な暮らしをしつつ長い時間を掛けて貯めたお金を必要なものに注ぎ込むことで、誰もが豊かになれることを説いてくれる本だ。
『となりの億万長者』は1990年代のアメリカで大量に発生した億万長者たちの実態を著者が調査したところ、豪勢な暮らしをしている億万長者の一般的なイメージとは異なり、彼らはひっそりと質素倹約や生活をしていた事実が明らかになっていく。億万長者の秘密は実に堅実な資産運用と倹約によるものだったのだ。
『私の財産告白』は著者の本多静六の自伝的エッセイである。彼は大学の教授だが、給料の四分の一を先取り貯金をしつつ質素倹約な生活をして、40代になったころには貯めたお金で鉄道や山林に投資をする。その後それらの株が高騰し、結果的に大富豪になってしまった。そして老齢期にはそのお金を寄付してしまう。そんな彼の思想を学べる一冊である。
どちらも共通して言えるのは、一部の成功者のノウハウを学ぶビジネス書とは異なり「誰でも真似ができる」という点だ。もちろん長い期間をかけてのことなので、誰でも真似できるはずだが実際に実行している人は少ないことでもある。
だからこそ、若いうちにこれを読んでおく意義がある。社会人になりある程度の給料を得る様になると、生活の質は上がり支出は少しずつ増えていく。生活の質を下げることは難しいのだ。
そして、これを新社会人におすすめする最も大きな理由は、新社会人が会社という組織によるしがらみに苦戦する可能性がほぼ100%だからだ。
上司や同僚から自分にとって不本意なことを指示された時、貯金も資産もない乏しい状況で働いていると、どれだけ高い意志を持って仕事に取り組んでも、経済的に会社に依存していることから、その指示にしたがわざるを得ない。
自分にとって不本意なだけならまだ良いが、上司も人間であるため上司の都合だけで顧客や現場のことが考えられていない指示というのは往々に生ずる。いざという時にNoと言えない状態で働き続けることで、主体性を失ってしまうのだ。
いつも指示に従わないわけではなく「いざという時に自分自身で自立した判断ができる」という事実を自分のなかに抱くことが大切だ。
だから、結局のところ、凡人にできる備えは質素倹約と蓄財になる。
もちろん、大きな夢を抱いてビジネスにチャレンジする新社会人を応援したい気持ちも大きい。しかし、僕の様な凡人がおすすめできるのは、凡人でも主体的に働き続けられるための指南書となる『となりの億万長者』と『私の財産告白』だと思っている。
若い人は一般的に野心が大きいのだと思うが、「いやいや自分は凡人なんだよな」といった謙虚な気持ちを持つタイプの人には、ぜひともこの2冊をおすすめしたい。気長に頑張る必要はあるが、どちらも再現性の高い未来が待っていてくれる。
