出会いと別れ、退職と転職の季節|離職の伝染を考察する
3月から4月にかけて、学生にとっては進級や卒業、進学や入学の季節だ。大学の新卒入社も4月が一般的なので、そろそろ社会人生活が始まるという若者も多い季節だろう。
環境が変わらない社会人にとってはいつもの日々の経過に過ぎない季節だが、僕の会社では出会いと別れの季節に呼応するように退職者が続々と出る様になってきた。何が起こっているんだろうか。
まだ小規模の会社で成長期でもあるため、変化に耐えられないという声もよく聞く。社会的に目立っていないゆえに規律を厳しくする必要性が少なく、労務的に正しく執行されていないことも多い現状だ。安定して働きたい人にとっては刺激が多くしんどい社風だと思う。
まぁそれはいいが、不思議に思うのは退職者が出る時に次から次へと他の退職者も出てくる連鎖反応だ。なぜ退職は伝染するのだろう。
調べてみたところ、どうやら数年前に「離職の伝染(Turnover Contagion)」というトレンドがアメリカで生まれていたらしい。
この記事の中で、離職が複数名に伝染していくわかりやすい例が書かれていた。
「これは、野生の水牛の群れが川を渡るときと似ている。彼らは勇気のある一頭が飛び込んで横断するのを待ってから、それに続くのである」
人間も集団を形成する動物であるから、誰かひとりが退職を表明すると自分も退職をする勇気が湧き出てくるのだと思う。つまり、川を渡ろうとしている水牛のように、仕事を辞めようとしている社員が潜在していたことを意味する。
誰かひとりが勇気を持って退職をしたら、潜在していた会社を辞めたかった社員たちが一斉に退職を申し出る声を上げだすのである。これが「離職の伝染」らしい。
これを知ると離職が伝染していった経過を思い出す時に見る目が変わってくる。
退職する社員たちは「退職のご挨拶」といったメッセージを全社員向けに流して去っていくことが慣例化している。僕の会社ではSlackに社員宛てに感謝のメッセージを投稿できるチャンネルがあるが、退職者が多い時はそこに「退職のご挨拶」投稿が多くされていく。
ここには感謝の言葉が多く残され、残された社員も返信やスタンプでリアクションをして送り出す美しい投稿が続いていく。しかし、実のところリアクションをしていた彼らは、勇気を出して川を渡る前の水牛たちだったということになる。
水牛たちはその投稿を見て返信やスタンプでリアクションをしておきながら「次に川を渡るのは自分だ」と意気込んでいるわけだ。
だから、退職する時に本心から会社に対して感謝をしつつ今後の活躍を願っているのならば、退職の挨拶などしないでこっそり会社を去った方が良い。自分が勇気ある水牛の役割を担い、他の社員もどんどん退職するようになってしまうからだ。
