発達特性を持つあなたは、なぜ“普通の仕事”でこんなに疲れるのか
仕事を終えると、もう何もできない。
せっかくの休日も、同僚は遊びに行ったり、自己研鑽しているのに私はただ「回復する」で終わり次の仕事の日。そんな繰り返しに疲弊して離職…して職歴が増えてしまう。これは怠けではなく、特性による“エネルギー消費の多さ”です。
今回は、発達特性を持つあなた向けに、発達障害の方がなぜ疲れやすいのか、そして当事者の一人である私がどう働き方を工夫しているかを整理してみます。
① 発達障害の特性を持つ人は「定型発達」より疲れやすい
発達障害の特性を持つ人は、外から見えにくい形で「常に負荷を受けている」ことが多いです。
それは本人の努力不足ではなく、脳の処理の仕方や、感覚の受け取り方が違うためです。
定型発達の人が1と感じる刺激を、私たちは3〜5倍で受け取ってしまうことがあります。
たとえば、周囲の話し声、蛍光灯の光、上司の指示の曖昧さ──
1つ1つは大したことが無くても積み重なり、頭の中では常に複数の処理が同時に走っているような感覚になります。結果として、同じ8時間労働でも「処理量」が大きく違うのです。
私自身も、その1人であり、定型発達の方が難なくこなしている業務や家事で苦戦し、それだけで一日分の体力気力をを使い切ってしまうことがあります。運転に至ってはそれだけで疲弊するため今はペーパードライバーです。
② なぜ疲れやすいのか
このように発達障害の人が定型発達の人より疲れやすいのには、きちんとした理由があります。個人によって千差万別ですが、多くの人に共通する理由は存在します。
本パートでは、理由をAIに聞いてみて、それに対する私の見解を書いていきます。
【一般的な理由(共通理解パート)】
A 感覚過敏や情報処理の遅れによる負荷
発達特性を持つ人の中には、音・光・匂いなどに敏感だったり、
一度に多くの情報を処理するのが難しい人が少なくありません。
それによって「やるべきことは分かっているのに終わらない」「刺激によって集中できない」によって日常的に小さな遅れやつまずきが積み重なります。
この“終わらなさ”が続くと、日々の出来事で達成感を味わえず疲労感のほうが大きくなり、気づけばエネルギーが底をついてしまうのです。
B 同時並行タスク・曖昧な指示に弱い
仕事や家事では、「これをやりながらあれも進める」「明文化されないものを空気を読んで判断」といった場面が多くあります。
しかし私たち発達障害者にとって、それは脳に強い負荷をかける行為です。
マルチタスクをこなそうとすると処理が詰まり、結果として作業が遅れたり、誤解や伝達ミスを招いてしまうこともあります。
そして、そのことが原因で「要領が悪い」「遅い」と評価を下げられたり、
ときには叱責を受けることもあります。
単純に“できない”というより、“脳のキャパシティが限界を迎えている”状態なのです。
C 周囲への“合わせ”による社会的エネルギー消耗
厄介なのは、業務そのものだけではありません。そこに一緒にいる人にもエネルギーを使います。そう、「人に合わせること」自体にも疲弊します。
職場や学校などの“集団”の中では、言葉以外のサイン──空気・表情・沈黙の意味──を読み取りながら行動する必要があります。定型発達の人はこれらの行為を無意識にやっているのですが、私たちは“意識的“にしないとできません。
これが1日続くと、仕事以外にも“人との関わり”で消耗してしまいます。
【理由に対する私の見解は?】
正直に言うと、私はA〜Cすべてに該当します。
特にB──同時並行タスクと曖昧な指示は、今でも職場で最も苦戦している部分です。
「わかっていてもマルチタスクせざるを得ない」場面は、どんな職場にもあります。
指示が明確でないと、私は頭の中で何通りもの想定をしてしまい、動く前にエネルギーを使い切ってしまうことも。
もちろん、曖昧な指示が苦手なのは定型の方でも同じです。ただ、定型の方は“暗黙の了解”や“村のルール”のような文化的サインを察して切り抜けられること多い印象があります。その感覚が、私にはどうしても困難で、
③ 私の工夫(実例)
ここはそんな疲れやすい私がどうやって日々の生活で工夫をしているかを紹介したいと思います。
工夫①:朝の通勤電車は寝る
朝活はしません。朝は“体力温存タイム”として最小限にとどめます。
出勤中に勉強したり情報収集したりすると、午前中で電池が切れます。
だから私は「出勤=休憩」と割り切り、電車では目を閉じて何もしません。
仕事は一日8時間以上、集中と緊張の連続です。拘束時間の数字以上に「常に気を抜けない」というのが気力をじわじわ削ります。
人によっては朝活などで気合を入れる方もいますが、私には無理です。
朝のうちにエネルギーを使い切ってしまうと、仕事を乗り越えられない。
だからこそ、「通勤中は何もしない」を自分に許すようにしています。
工夫②:仕事が終わるまでは仕事だけに集中
昼休みに昼食は食べないですし、予定も入れません。
仕事が終わるまでは“リラックスしない”、それが習慣です。
頭の切り替えが苦手なので、タスクを一つに絞ることで消耗を減らしています。
昼休みは……実はお昼を食べません。
理由は、食べるとお腹が膨れて眠くなり、緊張感が途切れてしまうからです。それに、休憩いえども「仕事中」なので交感神経が高ぶりストレスで食欲がほとんど湧かないのです。
その代わり、買い物や食事などの“楽しみ”は仕事が終わってから帰宅までの間に行います。昼の時間は最近は専らスマートフォンでnoteを執筆しています。自分一人で考えるよりも生成AI(ChatGPTなど)も活用して、アイデア出し・構成の組み立てをしています。
不思議なことに、noteの執筆は家ではあまり進まないんですよね。「仕事モードの延長線上」にいる時間の方が、思考が整理されやすいのだと思います。
工夫③:仕事以外は1人になる
人間関係はコストが高い。
誰かと会うと楽しい反面、翌日に疲労が残ります。
私は「社交日と回復日を分ける」ようにしています。
人間関係は、金銭的にも精神的にも“コスト”がかかります。
特に発達障害のある人が、障害への理解がない相手や場面にいる場合は、
自分の特性を悟られないように「擬態」して過ごすこともあります。
その時間が続くと、表面上は普通でも、内側ではどっと疲れが溜まります。
仕事や家族との関わりは避けられませんが、それ以外のプライベートではできるだけ“ひとり”の時間を確保しています。休憩時間も社外に出て休みます。
気を遣わずに静かに過ごせる時間が、私にとっての充電タイムなのです。
仕事以外で外出・旅行することもありますが、基本的に一人です。
友人と旅行したり、誰かと休日を合わせたりすることはありません。
「孤独」ではなく、「静けさの中でようやく回復できる」という感覚に近いです。
補足:障害者雇用で働くという選択
私は現在、障害者雇用で働いています。
障害者雇用の注意点としては、
①職種が限られる
②一般雇用より待遇が落ちる可能性
という現実があります。
それでも一般雇用の挫折から「続けられる」ことを軸にした結果6年間続けることができました。
障害者雇用にはデメリットは確かにあります。
けれど、発達障害と診断される前の一般雇用時代と比べると、
今の職場では業務内容や方法においてフォローや調整、定期的な面談などで一定の配慮を受けており助かっています。
待遇や「やりたい仕事」を重視する気持ちも理解できます。
ですが、経験やスキルは“続けていく中で”しか積み重なりません。
そして何より、働くのは「食べていくため」です。その礎となる生活の安定や最低限のお金も、働き続けることでしか得られない。
仕事においては「好きなこと」よりも「長く続けられる環境・業務を選ぶこと」こそ、最も現実的な工夫であると思います。
④ まとめ:「疲れるのは定型でも同じ。でも“限界が違う”」
どんな人でも仕事に疲れるのは当たり前です。
けれど、発達特性を持つ人は、定型の人が「ちょっとしんどい」と感じる場面で、すでに限界を超えてしまっていることがあります。
好待遇・好環境の「ホワイト企業」と世間的に言われる企業でも、「続けられないほど疲れる」なら、それはあなたに合っていないサイン。
仕事を続けるために、“疲れ対策”は生存戦略です。無理をしない働き方を見つけることは、決して努力の放棄ではありません。
自分の特性や体力の“仕様”を理解し、その中で最適な方法を選ぶこと。
それこそが、長く働くための現実的な第一歩なのです。
また、定型発達向けに言われる「仕事術」や「朝活のノウハウ」は、そのまま発達特性のある方に当てはめると逆に疲弊してしまうこともあります。
「正解に合わせる」ことよりも自分の特性を観察して「取扱説明書」を作ることが大切です。
発達障害といっても、特性の出方や環境は人によってまったく異なります。
今回紹介した方法も、あくまで私自身の例にすぎないので、
自分だけの“工夫”を見つけましょう。
自分の働き方を模索する第一歩として、「あなた自身の説明書を作る」という考え方については、以前の記事で詳しく紹介しています。
