見出し画像

表面的な対策が、次の歪みを生む。チームの「しんどい」を構造で分解して捉えるアプローチへ

ものごとを「エネルギーの流動性(循環の流れ)」として捉えると、今起きている問題に対して、多角的なアプローチに変えられることに繋がります。

例えば人間関係も、個々のエネルギー同士の掛け合わせだと考えてみます。 すると、「うまく流れているところ」と「流れていないところ」が立体的に見えてきます。
ある場所では流れが完全に停滞(ブロック)している一方で、別の場所では勢いよく流れすぎている、というような捉え方もできるようになるのです。

これは、チームワークや組織運営、さらには社会の動きについても同じことが言えます。

人の配置、人材育成、支援の価値、あるいは生み出される成果。 これらを「ミクロ・メゾ・マクロ」という3つの視点から、エネルギーの流動性として分解して考えてみます。


 ミクロ視点:人間関係・チームワーク(個人の繋がり)

人間関係やチームの調和を「エネルギーの循環」と捉えると、問題の在り処が浮き彫りになります。

  • 停滞(ブロック) 「言いたいことが言えない」「心理的安全性が低い」状態は、エネルギーの通り道が目詰まりしているサイン。特定の場所に不満やタスクが滞留し、全体の循環を悪くします。

  • 過剰(オーバーフロー) 特定の優秀な人材や、責任感の強い人だけに業務や期待が集中しすぎている状態。流れが強すぎて、その部分が焼き切れてしまう(バーンアウト・燃え尽き症候群)リスクを孕んでいる。

  • 健全な循環(フロー) お互いの強みや想いが引き出され、綺麗に循環している状態。誰かの発したポジティブなエネルギー(アイデアや感謝)が別の人に伝わり、それがさらに増幅されて戻ってくるような、心地よい連動が生まれます。


メゾ視点:組織運営・リソースマネジメント(組織の仕組み)

運営やマネジメントにおけるリソース(人・モノ・金・情報)こそ、エネルギーそのものです。

たとえば「資金」は、貯め込むだけでは価値を生みません。どこに、どういう目的で投資して「流す」かによって、組織の生命力が変わります。 「人員配置」も同様で、適切な場所に、適切な熱量(エネルギー)が無理なく流れるよう、パイプラインの構造を設計することこそがマネジメントの本質と言えます。

組織を硬直した固定のシステムではなく、常に形を変えながらバランスを保ち続ける「川の流れ(動的平衡)」のように捉えることで、変化に対してしなやかに対応できるようになります。


マクロ視点:社会の動き(大きな潮流)

さらに視野を広げると、社会の大きな動きや変化も説明がつきます。

資金や情報、あるいは人口が特定の地域や階層に「過剰」に流れ込み、別の場所で「不足」が起きる。このエネルギーの高低差が、社会の不安や構造的な課題を生み出す原因にもなる。
古いシステム(流れのルート)が機能しなくなり、新しいルートへとエネルギーが流れ込もうとする時、社会には大きなパラダイムシフトが訪れると見ることができます。

 「犯人探し」をしない、という最大のメリット

このエネルギー論を取り入れる最大のメリットは、問題が起きたときに
「誰が悪いか(犯人探し)」ではなく、
「どこで流れが止まっているか(構造へのアプローチ)」という建設的な問いを立てられる点
にあります。

「あの人が悪い、使えない」と個人を責めるのではなく、 「あの場所でエネルギーが堰き止められているから、通り道のルートを整えよう」 と考えられるようになる。
これは、チームを率いるリーダーや、物事の本質を見抜こうとする支援者にとって、見方の変わる視座になります。


表面的な対策は、次の歪みを生む

目の前で問題が起きたとき、その表面的な部分(量や目に見えるトラブル)だけを直接解消しようとすることは、一見すると正しい対応のように思えます。

しかし、構造的な問題を見ないまま目先の解決を急ぐと、ただエネルギーがどこかへ漏れていくだけの、不経済な悪循環が生まれてしまうことがあります。

問題の原因を特定の「誰か個人」に求めるのではなく、要素と要素の「関係性(相互作用のネットワーク)」の中に捉える。
システム思考の原則に「原因と結果は時間的・空間的に近くにあるとは限らない」「問題を押さえつけると、別の場所に歪みが生まれるという考え方があります。

だからこそ、見えている問題の正体を一度丁寧に分解し、本質的な実態を把握することが求められます。

例えば、現場から「しんどい」という声があがったとき。

業務のパイプ詰まり
無駄なプロセスや硬直化した仕組みのせいで、エネルギーが無駄に浪費されている(業務効率の課題)。

心理的な摩擦
チーム内のコミュニケーションが循環しておらず、精神的な疲弊でエネルギーが削られている(風土・人間関係の課題)。

このように、問題の中身を多角的に分解することで、私たちが「流すべき対策(エネルギー)」の方向は180度変わってきます。


糸を解きほぐすように、構造を分解してみる

「しんどいなら、業務量を減らそう」という表面的な引き算だけでは、根本的な解決にならないことが多々あります。大切なのは、メンバーの熱量がどこでブロックされ、どこで消費され尽くしているのか、その「流れ」の全体像を優しく見つめることです。

正解を急いで誰かをコントロールしようとするのではなく、まずは絡まった糸を解きほぐすように、構造を分解してみる。

チームを率いるマネジメントの現場でも、誰かを支える支援の現場でも、私はそんな「流れを整える伴走者」でありたいと考えています。


▸このテーマは同じ視点で書いた記事をマガジン「一歩踏み出す」(余白ができたら少し前を向いて、チームマネジメントを実践してみる場所。)にまとめています。
ぜひ、こちらも覗いて見てください。


いいなと思ったら応援しよう!

sato 活動の励みになります!応援、宜しくお願いします!