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“ONE”という小さな言葉が、最近少し大きすぎる

最近、“ONE”という言葉が妙に目につく

NHKプラスが、「NHK ONE」という名前に変わった。
今、名前を変えなきゃいけない、ほど古くもないし、使う方からすると、サービス内容がそんなに変わってる感じもない。だからちょっと違和感があった。

「なんか、勝手に変えたなあ」って感じ。

こっちの気持ちとは関係ないところで進んじゃったみたいな、ちょっと置いてかれた感がある。

何で「ONE」なんだろう。とも思った。ワンなんて使い古された言葉だし、引っかかりもない。未来に向かってる感じがしない。

世の中を見渡してみると、実はこの「ONE」、密かに流行ってるみたいだ。どうやらこの「ONE」、ただの“1”じゃないらしい。

たとえば「One Health」みたいに、人間・動物・環境の健康は、ひとつにつながっている。という考え方がある。分断をやめろという思想的な言葉なので、今っぽいし、昔ながらのONEとはちょっと違う。
昔のONEは「切り離されたひとつ」だったけど、最近はまとめる方が強い。

「便利・統合・シンプル」みたいな軽い“ONE”と、「分野の横断・相互依存」みたいな重い“ONE”があるようだ。

NHK ONE は 軽いONE。
One Health は 重いONE。

ラグビーの「ワン・チーム」のような、みんなで頑張ろうな「気分」と比べると、もうちょっと頭でっかちな「思想」っぽい感じがある。「ONE」は、ただの数字じゃなくて、“分けるな”という時代の合言葉なのだ。
「ONE」という、英語の中でもいちばん基本レベルの単語が、いちばん現代的で複雑なテーマの“受け皿”になってる。言葉は古いのに、意味がアップグレードされている。なんか面白い。

名前だけ先に未来に行ってしまった

マルハニチロから社名変更した「UMIOS」も、OはONEらしい。時代を先取りしてるんだろうが、これにもちょっと違和感あった。

この「ONE」も、“海も人も食も、ひとつにつながっている”ってことだろう。これはもう商品説明じゃなくて“世界観の宣言”だ。ユーザーが食品会社にそれを求めてるんだろうか。企業側の思いが勝手に溢れちゃってるように見えてしまう。僕らは、名前から中身が想像できて、何をしてる会社かはっきりしてる方が安心なんだけどね。

話をNHK ONEに戻す。
モトのNHKプラス、「プラス」じゃダメだ。今、変えなきゃ、とどうして思ったのか。プラスは「追加」ってことだから、これまでのテレビに追加されるサービスってことだ。つまり発想としては、“テレビ中心の世界”の言葉だ。これを「ONE」にしたのは、テレビに配信を足すんじゃなくて、全部並列だと宣言したことになる。“テレビを見る”を捨てて、“コンテンツを見る”だと割り切ったわけだ。これは単なるリネームじゃない。主従関係の逆転なんである。

そんなに追い込まれていたのか、と思ってしまった。「いやいや、みんなそこまでテレビのこと嫌いになってないよ」と言いたくなる。たぶんわかった上で、どうせそうなるなら、未来に向けて先に対応しとかなきゃ、ってことなんだろう。

ちゃんと先が見えてる企業だと言わなきゃいけない。そう世の中から迫られて、少し焦っているようにも見える。

プラスの「ちょい足し」なニュアンスは、実は気持ちよかった。ちょっとだけお得ですよ的な安心感がある。しかし裏を返せば“変わらない宣言”だ。それが許せなかったのか。
「ONE」は「丸ごと」だから、全とっかえってことだ。つまり“変わる宣言”でもある。相当に思い切っている。ただユーザーには伝わりにくい。

違和感の正体はこういうことだ。
サービスの中身はそんなに変わってない。なのに名前だけ“大きくなった”感じがする。「言ってること」と「体験」が釣り合ってない。

体験は後から作ると約束しているのだろう。ちょっとお時間くださいってことだ。経験上、企業名やサービス名の違和感はあっという間に慣れてしまう。その辺を見越している。
そう思いつつ、その約束が、いつもよりぼんやりしてるように思ってしまう。言ったんだからやるしかない、と自分に言い聞かせているような。

考えすぎだろうか。そう思わせる時点で、ちょっと怪しい。

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