型にハマる喜びは、行き先のわからない動く歩道
YouTubeのおすすめが、昔の歌を連れてきた
ネットを見ていると、
やたらといろんなものを勧められて、
基本的には迷惑なことばかりなんだが、
たまに「なぜこれを」ということがある。
YouTubeを見ていたら、
「さよならの言葉」という曲のPVが出てきた。
最初、ぜんぜん知らない曲だと思ったが、
聞いてみると知っていた。
昔、ポプコンという音楽コンテストで
グランプリを取った曲だ。
ポプコン出身者では中島みゆきが有名だが、
この「小野香代子」という方は、
優勝したのにプロにならなかったという、
知る人ぞ知るレアなアーティストだ。
改めて聞いてみて、いい歌だなと思ったんだが、
そもそも何でこれを勧めてきたのかわからない。
何か似たような種類の動画を見たんだろう。
アルゴリズムは意外なものを連れてくる。
錆びついた記憶の扉に油を注すような、
アルゴも、たまには粋なことするじゃないか、
と思ったのだった。
思ったとおりの展開は「ラク」である。
気持ちに負荷をかけることがないので、
こんなふうにお勧めに従っていれば
気持ちよくやっていけるんだと思う。
今回のことも、自分で探したわけじゃないので、
便利便利、と思ってしまったが、
同時に、気をつけなきゃなという気にもなった。
動く歩道に乗ってるようなもので、
何もしなくても連れて行ってくれるが、
行くさきはどこなのかはわからない。
型にハマる人と、型を壊したい人
人にはふた通りある。
型にハマったことを完結させるのに
喜びを感じるタイプと、
型通りのことには魅力を感じないタイプ。
最近思うのだが、前者に当たる人が、
なんとなく増えているような気がする。
仕事で考えるとわかりやすい。
すでに「何をやるか」がわかっている方が、
力を出せるタイプ。
わかっているから迷わなくて済む。
だからそこに集中して頑張ることができる。
一方で、それじゃあ面白くないという人もいる。
何をやるか、の先にしか
喜びを見つけられないタイプ。
自分はそっちだと思う。
決められたことをやるのは当たり前、
とつい思ってしまう。
これまでの文脈だと型にハマるのを
否定してるようだが、決してそんなことはなく、
単にタイプの違いだと思う。
楽譜があって、
それを素晴らしい技術で演奏する人と、
それだけじゃ物足りなくて、
曲自体を作り替えようとする人。
決められたことをするのが劣っているなら、
プロの演奏家はダメだ、ということになる。
そんなはずはない。
ちょっと気になるのは、型にハマるタイプが、
指示待ちに喜びを感じてしまってる
ように見えるところだ。
そこを喜んじゃダメだろうと思う。
ゴールが見えていないのは怖い。
見えないところに進むリスクは避けたい。
そんな本能みたいなものが、
ついつい出てしまってるようにも思う。
レストランでセットメニューを選ぶ。
お勧めがセットされてるから間違いがない。
でもたまには変なメニューを選んで、
思いっきり失敗するのもいいよなあ。
と、居酒屋でいつもの焼きとんと、
ホッピーを飲みながら思ったのだった。
これじゃあ言う権利なんてないな。
