経営者のAIエージェント
AIエージェントと親和性の高い仕事として、ITエンジニアなどの職種がありますが、経営者という職種もAIエージェントと相性の良い職種の一つです。
経営者の仕事は、多岐にわたるものです。メールを返したり、書類を確認したり、資料を作ったり、数字を分析したり、打ち合わせをしたりと、かなり幅があります。何かについて判断する前に分析や調査をしたいこともありますし、考えたことから具体的なタスクを切り出して、実際に処理していかなければならないこともあります。そういう柔軟な仕事を幅広く扱えるAIエージェントは、経営者にとって非常に強いパートナーと言えます。
正直経営と言う職種でAIエージェントを使えなければ、今後生き残ってゆかれないのではないかとさえ感じています。
AIエージェントは何ができるのか
そもそもAIエージェントとは何なのか。
「AIがパソコンのローカルファイルを触れるようになったもの」
「AIがアプリを用いてそれらを編集できるもの」
という機能です。
使用者は仕事を言葉で指示し、AIがそれを解釈して成果物を作ってくれるというものです。
経営者の仕事と相性がいい
経営者にとって、資料作成や経営分析は日常的に発生する仕事だと思います。こうした仕事は正確性が大事ですし、時間もかけすぎられません。さらに、分析に必要なデータが一か所にまとまっているとは限らず、Excel、PDF、メール、紙の資料、業務システムなど、いろいろなところに点在しています。
例えば養豚であれば、豚の精算書や生産記録を見ながら、枝肉の格付けや重量がどうなっているのかを確認します。どのくらいの重量やタイミングで出荷すれば、うちとして一番良い成績になるのか。死亡がどの段階で起こっていて、そこにどういう傾向があるのか。内臓廃棄のデータがあれば、何の廃棄が多いのかを調べ、定量的な投資対効果を考え、それに対してどういうアプローチを取るべきなのかも考えなければなりません。また月次のルーティンなどがあれば、アプリ化することもできます。
今までは、それぞれの資料を開き、数字を拾い、表にまとめてから分析する必要がありました。AIエージェントを使うと、点在している資料を読み込ませ、データを整理し、傾向を出すところまで進められます。もちろん、最後に何をするか決めるのは経営者です。ただ、その判断に必要な材料をそろえる部分は、かなりAIに任せられるようになってきています。
私のワークフローは、ほぼAIエージェントから始まる
私はCodex CLIをメインで使っています。CLIというのは、Windowsでいうコマンドプロンプトのような画面からAIを動かす仕組みです。ブラウザを開いて操作するのではなく、ターミナル上から文字で指示を出し、ファイルや各種ツールを扱わせます。各社ClaudecodeやCursorなどのAIエージェントもCLIが存在します。
このコマンドプロンプトのような黒い画面は、最初はかなりとっつきづらいと思いますが、やってみると簡単で、動作も早いのでおすすめです。アプリ版はブラウザ操作などデフォルトでできますが、機能拡張するとCLIでも使えます。
ある程度エージェントを使うのに慣れてくる並列で実行する作業が増えてくると思います。その際低スペックのパソコンだと動作がかなり重くなります。一方CLIは非常に軽量なので、低スペックなパソコンであっても相当な並列作業に耐えます。
経営者のところには、書類もたくさん回ってきます。承認が必要な書類、役所への届け出、アンケート、申込書など、一つひとつは小さな仕事でも、積み重なるとかなり時間を取られます。私はそういった書類を、まずスキャンするか写真に撮ってAIエージェントに読ませます。何が書かれていて、何を判断する必要があるか、どのようなアウトプットが求められているのかを整理させ、それから必要な情報を渡して処理を進めます。
少し前までは、画像として読み込んだ申込書に文字を入れたり、チェックボックスへ正確に印を付けたりするのは、AIにとってかなり難しい仕事でしたが、現在はclaudeのFableやchatgptのGPT-5.6 Solなどの、上位モデルの画像認識や座標の精度が上がり、かなり正確に処理できるようになってきました。難しい書類ではGPT-5.6 Solの高い推論設定を使っていますが、以前と比べて実務で任せられる範囲は明らかに広がっています。
最初に上がるのは、速度ではなく品質
AIを使い始めると、仕事が早くなるイメージがあると思いますが、実際に最初に起きるのは、時間短縮よりも仕事の品質が上がることだと思います。
自分が普段作っているものをAIに入れ、レビューさせて返してもらい、それをまた自分で確認する。この往復を繰り返すので、今まで自分一人では気づかなかった点に気づくようになり、文章や資料の完成度が上がっていきます。AIを使い始めた直後は、楽になったとは感じても、仕事をしている時間はそれほど短くならないことがあります。その時は、AIで仕事を減らしているのではなく、AIを使って今までの仕事の品質を上げている状態なんだと思います。
品質が上がった状態から、今度はその仕事の進め方を最適化していく。一度決めた手順を繰り返し使えるようにしたり、毎回説明していた条件をあらかじめ覚えさせたりしていくと、だんだん処理速度も上がってきます。最初からいきなり速くなるというよりも、品質が上がり、その品質を保ったまま後から速度がついてきます。まあ、慣れてAIうまく使いこなせるようになると早くなるって感じです。
もう一つ大きいのが、頭の負荷が減ることです。仕事は手を動かすだけではなく、何をしなければならないのかを覚えておき、順番を考え、抜けがないかを確認し続けなければなりません。そういう仕事が自分の頭の中を占めて、マインドシェアを奪っていきます。
資料を読み、情報を整理し、選択肢を出し、下書きを作るところをAIに渡せると、頭が疲れる部分をかなり減らせます。最終的な判断と責任は自分に残りますが、その判断に集中できるようになる。AIに慣れてくると、品質が上がり、頭の負荷が減り、そこから仕事のスピードも上がっていきます。
AIはスポーツとかと同じでやってみないとうまくなりません。AIがどこまで仕事をしてくれるのかは、実際にやってみてほしいものです。
「ここまでできるのか」「こういうものも任せられるのか」という経験が増えることで、仕事の組み立て方自体が変わってきます。
何から始めればいいのか
SNSを見ると、「AIを使ってこんなことができました」という事例がたくさん出てきますが、実用性のある使い方をしないとAIはうまくなりません。
まずするべきことは、今の毎日の自分の仕事です。毎日メールを確認しているのであれば、AIを使ってメール処理を改善できないか考える。事務所へ来るたびに書類が山積みになっているのであれば、スキャンしてAIに読ませ、必要な対応を整理させられないか考える。自分が頻繁にやっていて、煩わしいと感じる仕事から探した方がいいと思います。
AIをうまく使うための入り口は、まず相談することです。「私はこういう仕事をしていて、毎日このような作業をしています。煩わしい作業はこれです。この中で、あなたが改善できそうなところはありますか」と聞けばいい。最初はメールや書類整理のような身近な仕事から始め、慣れてきたら経営分析や意思決定の材料づくりまで、少しずつ深いところへ進めていけばいいと思います。
実務で継続して使うのであれば、私は課金することを勧めます。無料モデルも以前よりかなり良くなっていますが、実際の仕事を任せると、課金して使えるモデルとは能力や使える量に差があります。どこに課金するのかは、その人の好き好きだと思います。タスクに寄って向き不向きもありますが、私はChatgptを使っています。バランスが良くコスパもいいと思います。
実は最近定型的な処理でよく使っているのはGPT-5.6 Lunaです。これは現在無料モデルで使えますが、スキャンした書類を読むのがうまく、ただモデルが小さいので1枚ずつに分割させてから処理しますが、内容を読み、名前を付け、必要な場所へ整理するといった仕事に使っています。価格、処理速度、精度のバランスがよく、大量の定型処理ではかなり使いやすいモデルです。現在思考の深さを選択できますが、high~maxを常用で使っています。
その他の仕事ではSolのXhighを使っています。決算申告など長く時間がかかるものはUltraを最初使い、修正からXhighに切り替えています。おそらくなんですが、あまりXhighとUltraの頭の良さは変わりませんが、ゴール設定して長く動く必要があるときはUltraのほうが正確に成果物を出すイメージがあります。
まとめ
今仕事ではスマホ、パソコン、インターネットなど欠かせないツールになっていますが、AIはそれらの出始めの段階だと感じています。今ならかなり使っている人と使っていない人の差分が出てきます。
AIの出力が常に正しいわけではありません。人間のレビュー力が鍛えられてこそAI力がついてきます。AI力がついてこそのAIエージェントだと思っています。
大切なのは、AIを勉強してから使おうとするのではなく、今抱えている実際の仕事を渡してみることです。まずは今日、自分がやらなければならない仕事を一つ、AIエージェントに相談するところから始めてみてください。
