3年目の運動会を考察する
さやか星小学校 教務主任・第6学年担任 島岡次郎
3年目の運動会が終わりました。閉会式が始まる前,6年生が言いました。
「え?もう終わりなん?早くない?」
「たしかに!なんか,あっという間すぎてびっくり!」
「めっちゃ楽しかったわ〜。心の時間が早く過ぎた」
6年生は運動会前,国語科で「時計の時間と心の時間」という説明文を学習していました。取り組んでいる活動を楽しんでいれば体感時間(心の時間)は短く,楽しくなければ長く感じるというのが大まかな内容なのですが,その学びを引用して,運動会がとても楽しい時間であったことを表現してくれました。
今年の運動会も,本校らしいとても充実した行事であったと思います。本校の運動会の特徴は,とにかく「見栄えを良くするために時間を使わない」ということです。運動会で各学年が取り組む競技は,全て体育で取り組んでいる日々の学びをそのまま見てもらうことを基本にしています。高学年は,リレーの練習とタイムアタックを1回実施しました。あの一連の活動は,実際の体育の中心的な活動時間を10分間抜き出してそのまま見ていただいたのと同じです。つまり,ほぼ授業参観でした。


学校全体としても,運動会のための準備時間を極力取らないようにしています。例えば,運動会前に全校で練習した時間は,自分たちの座る場所の確認と,全校競技である「全校体操」と「全校玉入れ」の練習をした1時間だけです。その1時間も,10分ほど時間を残して終わりました。全校体操は,昨年の冬から取り組んでいる「さやか星HITT」に自分の好きな動きで取り組みました。同じ動きを一糸乱れず行わなければならないような競技はそもそもプログラムに入れていません。ただ,違う動きなのだけれど,同じ音楽で一緒に体操に取り組むことで,友達と一緒に運動に取り組む楽しさを感じられる機会を作りました。さやか星HITTは普段の体育でも準備運動として取り組んでいます。そのため,全校体操に関しても,運動会のために確保した時間は0です。
このように,運動会のための時間を使わないようにすると,とにかく学習が止まりません。私の経験では,運動会が近づいてくると様々な理由で授業時間が削られます。先生たちも運動会の準備に追われるため,授業の準備時間を確保できなくなります。すると,授業の質が落ちて面白い授業ができなくなったり,そもそも授業を進めることを回避したりするようになります。その結果,授業が進まなくなります。
その影響は運動会終了後にも及びます。運動会という大義名分の元,練習や準備といった活動系の時間に多くの授業時間が充てられていたのに,運動会が終わったら一転して通常の時間割での授業が始まります。この変化は,子どもたちにとっては大人が思う以上に苦しかったりします。しかも,運動会で生じた遅れを取り戻そうと教科書の内容をとにかく進めることが目的となる授業が展開されやすくなりますので,「分からない」「出来ない」が蓄積されやすくなります。
今年初めて高学年を担当していますが,算数に関しては教科書会社の想定時間より2週間ほど先に進んでいました。高学年の学習(特に算数)は実にタイトに設定されており,この時期に学習進度が遅れることはあっても先に進むなどということはこれまで経験したことがありませんでした。また,運動会前日だろうと何一つ変わることなく国語と算数の授業は実施しましたので,運動会翌週からも何一つ変わることなく学習に取り組むことができました。これも本校の運動会の成果の一つであろうと考えます。
高学年は,開閉会式の司会や選手宣誓,他学年の競技の準備と片付けを担当しました。これも動きを複雑にしないことで練習を最低限にしました。それでも,マイクを持って全校生徒の前で話をする姿,自分の競技ではない時間にグラウンドを全力で走って準備や片付けをする姿は,高学年として下学年の憧れとなったと思います。事実,4年生のあるお子さんは,「来年は僕もあれできるの?」と未来の自分と重ね合わせて目を輝かせていました。


今年も多くの成果を挙げることができた運動会。その最も大きな成果は,子どもたちが「楽しい」と思えたことだと思います。今年度の残りの行事,そして来年の運動会も,一番大切な子どもたちの「楽しい」を引き出せるように,職員一丸となって工夫を重ねていきたいと思います。
