短歌連作|夏の鱗
ゆらゆらと夏の背びれを追いかけて片足だけの赤いビーサン
まぶしくて太陽光に閉じながら瞼に透ける血のあたたかさ
レンジなら何分かかると聞かれおりとうもろこしの眠りが覚める
ふと息を止めてみたとて流れゆく風のぬるさが昨日とちがう
宿題の新聞づくりが終わらない かき氷ごと時間も溶ける
お菓子ってヒトが作れる唯一の宝石と思うショーケース前
橙の魚の群れと矢になって未知を抜けては夜の高速
まばたきも惜しくなるほど追いかける流星群の色はカルピス
ペプラムの翡翠色したシャツを着る浜のカモメとマーブルになる
だれひとり同じ色素を見ていない 言葉にすれば鱗は枯れる
