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新刊 遊びのアイデア・クロニクル02号

遊びのアイデア開拓に向けたエッセイ集

 宇宙物理をビリヤードに重ねる壮大な思考実験から、柴犬ガチャに翻弄される冒険コメディまで。本書は「遊び」という一語のもとに、これほど異なる八つの世界が共存しうることを証明する稀有なアンソロジーである。

 ゲームを作る人の回顧録があり、プログラミングで3D空間を生み出す手引きがあり、リバーシの常識を壊そうとする挑戦があり、光の軌跡から駒を推理するパズルがある。チェロとギターのふたりだけの演奏会に胸を締めつけられ、AIとの対話に「こころの防災訓練」を見出す。

 共通するのは、遊びを「消費するもの」ではなく「創り、工夫し、問い直すもの」として捉える八人の真摯な視線だ。アイデアはどこから来るのか、制約のなかで何が生まれるのか——ページをめくるたび、読者自身のなかにも小さな「遊び心」が芽吹きはじめる。

 何かを作りたい人、作ることに疲れた人、そしてただ面白いものを探している人へ。鉛筆を片手に、珈琲を傍らに、ぜひ両表紙から開いてみてほしい一冊です。

発売日:2026年5月4日

諸元

書籍タイトル:遊びのアイデア・クロニクル02号、
著者:アンナ・トーミクハイム, 寿甘, 米村貴裕, 喜多山浪漫, 柴崎銀河, 川上大典, 牟田京子, 井上信行、
シリーズ構成:柴崎銀河、
装幀:双星たかはる、
レーベル名:遊びのアイデア選書(25)、
出版社:銀河企画、
ISBN 978-4-909793-26-3、
B6判/縦横混成/112ページ、
Title: The Chronicles of Play Ideas, #02、

遊びのアイデア・クロニクル02号

①『プラネットビリヤード』/アンナ・トーミクハイム
 ビリヤード台に惑星軌道を重ねた発想から生まれた宇宙物理SFゲームの構想論。手玉を「月」、的玉を公転する惑星とし、キューの代わりに重力波ショットとヒッグス粒子による質量制御を導入。
 A国型・C国型「コスモ・キュー」で技術思想の対立も描く。太陽赤色巨星化からの惑星避難、白色矮星時代の再配置、プロキシマ三重連星の重力交響曲など壮大なシナリオを通じ、惑星を「打つ」のではなく「選ぶ」倫理的知的ゲームとして提示する。

②『ツクール制作回顧録』/寿甘
 著者が『RPGツクール SUPER DANTE』から最新作『WITH』に至るまでの制作体験を振り返るエッセイ。
 スーファミ時代の容量削減、勇者の後日譚を旅するモブ視点ゲーム、現代人が異世界転移するRPG、東方Project二次創作による寸劇動画など、流行から外れた創作遊びの歴史を語る。
 ユーザーの「説明不足」批判による炎上経験にも触れ、小説家となった今ふたたびツクール制作への欲求が蘇っている現状を綴る。

③『体感プログラミングで遊んで3D空間を生み出そう!』/米村貴裕
 Scratchと少しのJavaScriptで、線や「#」記号だけを使い3D迷路を自作する実録。
 二次元配列を一次元リストで擬似実装し、「壁伸ばし法」でランダム迷路を生成。レイキャスト法で視線が壁に当たる距離を柱の高さに換算し立体視を実現する。
 マルチスレッドやイベントドリブンの豆知識、紙とペンでも3D表現は可能という極論、そしてAIとの制作協業の悲喜こもごもを通じ、制約を知恵で活かす遊びの醍醐味を伝える。

④『定番ゲームの常識破壊』/喜多山浪漫
 ゲームアイデアを「組み合わせ型・積み上げ型・革新型」に分類した上で、著者が52歳で独立後に挑んだ「定番ゲームの破壊」プロジェクトを紹介。
 四隅を取れば勝ち確定というリバーシへの不満から、石を「重ねる」発想と連鎖ルールで新作『デビルリバーシ』を開発。
 しかし必勝法発見や販売不振に苦戦し、ホロライブコラボの『#ホロリバーシ』で10倍の売上を達成。失敗も糧に常識破壊への挑戦を続ける姿勢を語る。

⑤『リフレコ・パズル考』/柴崎銀河
 2021年刊『リフレコ・パズル問題集Vol.1』の紹介。6×6盤の外から光を入れ、出口や反射の軌跡だけを手がかりに盤内の駒配置を推理する鉛筆パズル。
 駒たちは門番イラル、剣士ファム、陽術師ソラス、陰術師イーファ、ワープ曲芸師ポール&ポーラ、曲者デアス&クリーと擬人化され覚えやすい。
 指でなぞる・消去法・仮配置などのコツも提示し、初心者でも3〜5分で小さな発見を積み重ねられる構成を解説する。

⑥『ふたりだけの演奏会』/川上大典 
 チェロ奏者の尾崎由梨奈が、中学時代クラスメイトのフォークシンガー少年と再会する恋愛小説。
 『果てしなき旅』から始まる協奏の誘い、発表会で『TEA FOR TWO』に失敗したトラウマ、音楽室での練習を経て、日曜の中央公園で『ムーンリバー』等五曲の演奏会を開く。
 アンコールでギター版『TEA FOR TWO』を見事に奏で、喫茶店「フレンズハウス」で美夏オーナーに乞われ『テネシーワルツ』を。彼は夢を追い旅立ち、由梨奈は再会の日を待ち続ける。

⑦『AI×「こころの防災訓練」』/牟田京子
 ストレス社会で必要とされる「レジリエンス(心の回復力)」を、AIとの対話を通じて育てる「自己対話ゲーム」の提案。
 感情の言語化と共感的応答で自己理解が進む仕組みを心理学的に解説し、企業研修や大学生の日記利用など実践例を紹介。
 子どもにはスタンプや選択肢で気持ちを引き出す工夫も示す。評価せず寄り添うAIとの「正解のない会話」を余白として残すことで、社会全体のあたたかさとしなやかさが育まれると説く。

⑧『コイヌる傭犬団』/井上信行
 主人公「きぼう」が傭犬紹介所で犬ガチャを引き、仲間の犬と冒険する擬人化モード付きファンタジーコメディ小説。
 5%の柴犬ばかり2連続で引いてしまい、ヤンデレで騒がしい柴犬ハムテルとアキオに囲まれる羽目に。
 性格シートの優先順位仕様に振り回され、リスを追って離脱した二匹のせいで野犬に襲われるも、謎の大型犬に救われる。
 次の町「犬崎町」で三人目の仲間とトレーナーを探す旅路を軽妙に描く。

遊びのアイデア・クロニクル02号 表紙2

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