【あなたに会えて幸せ】/第4章第15話「ミクの退院と孤独な配信」
数日後、私は退院した。
背中の傷は、すっかり良くなった。
私の車椅子は、踏切で大破したので、急遽通販で、車椅子を購入。
車椅子が届くと、私は退院した。
車輪のロックを解除する瞬間が楽しいよね、トモキ。
カチャン、カチャン。
泣きながら、私はロックを解除した。
さぁ、ミク!
進むのよ!
久しぶりに自分のアパートに戻って、考えた。
やらなければならないことが、たくさんある。
そのひとつは、【ローアングル・デート】の視聴者に【謝罪と妊娠報告】。
私たちの踏切事故は、ニュースになってしまった。
報道の動画も多い。
報道のコメント欄には、事情を知らない人たちからの冷たい言葉も並んでいた。
《車椅子で無理に横断する方が悪い》
《周りに迷惑をかけるな》。
幸い、自宅を報道機関に知られていないので、生活を脅かされずに済んだ。
視聴者へのコメント返しも、中断したままだ。
まずは、謝罪動画を作ろう。
おめでたい妊娠報告も、浮かれずに話そう。
ひとりで撮影を始めた。
「視聴者の皆さまにお詫びします。
ニュース報道でご存知と思いますが、
私とトモキは、踏切事故を起こしました。
私も大ケガをして、昨日退院したばかりです。
トモキは、頭蓋骨骨折の重体です。
まだ、意識が戻りません」
そこで撮影を中断して、泣いた。
私の不注意で起きた事故。
情けない、恥ずかしい。
撮影を再開した。
「過去動画で、踏切の危険性を発信した私は、
本当に恥ずかしいです。
お騒がせして、大変申し訳ありません。
そんな騒ぎの中でも、動画へのコメントありがとうございます。
少しずつ、お返事させていただきます。
皆さまにご報告があります。
このような騒ぎの中、不謹慎かも知れませんが、ご容赦ください。
私のお腹の中に新しい命が宿りました。
トモキとの間にできた子どもです。
車椅子の私たちが、子どもを産み育てることには、賛否両論あります。
皆さまが感じたままをお聞かせください。
これからも、よろしくお願いいたします」
そこで終わりにした。
トモキの素敵なプロポーズは、いつか語れる日が来たら、動画配信しよう。
動画にはBGMを付けず、ほぼノーカットで、サムネイルだけは、しっかり作った。
動画をアップロードして、食事を作った。
食べている間にも、スマホが鳴りっぱなし。
私の謝罪動画に、どんどんコメントが付いているのだ。
コメント返しはいつになるやら。
第16話に続く
最初から読む
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ、サポートをお願いいたします。