【あなたに会えて幸せ】/第5章第27話「小さな車輪と澄んだ青空」
無事に出産して、お父さんに名前を付けてもらった。
出生届も出して、私たち3人の生活が楽しく過ぎていった。
チャンネル【あなたに会えて幸せ】にも、
沐浴や授乳の動画をアップロードした。
母乳メインで育てているので、私のオッパイは、モザイク加工(笑)
寄せられるコメントは、温かいものばかり。
「母乳は、よく出てますか?」
など、心配してくださるコメントも多い。
ラベンダーさんも、Super thanks をくれた。
トモキが作る離乳食は、まだ出番が無いが、
私たちの食事は、トモキの仕事として定着。
トモキの摘便は、もちろん再開。
遥のオムツ替えもね。
両親学級で練習したトモキ。
上手いなぁ。
私が使っている高さ25cmのまな板台。
それをもうひとつ購入。
遥のベビーベッドにした。
寝返りをうつまでは、それで行こう。
一番嬉しいのは、トモキとのお風呂が復活したこと。
遥にオッパイあげて眠ったら、バスタイム。
この時だけは、新婚生活だなぁ。
アロマ・キャンドル?
もちろん!
アロマの香りに癒されながら、
キャンドルの仄かな灯りで、トモキとの語らい。
そして、キス。
今でもふたりの語りぐさ、山下公園の初キス。
額をぶつけたり、歯がぶつかったり。
ふたりで大笑いしたなぁ。
遥も、いつか青春を迎え、彼氏とデートするんだろうなぁ。
遥に外気浴させるにはどうしよう、トモキと話し合った。
今の私たちでは、ベビーカーを押しながらの外出はきついと思った。
片手で自分の車椅子。
片手でベビーカー。
できないことはないが、問題がある。
・ベビーカーのロックは、車輪近くにあり、
私たちは操作できない。
・斜面で、ベビーカーだけが転がってしまったら、追いかけられない。
・遥が誘拐されたら?
・計画中の【あるイベント】に連れて行くには?
考えてばかりでは進まない。
まず、中古のベビーカーを購入。
研究した。
「ベビーカーを動かすだけなら、結構できるね」
「そうね。
あとは、遥を安全に外出させられるか?
移動できるか? だわ」
「首が据わるのが、生後3ヵ月だっけ?
このベビーカーだと、首が据わるまでは危険かも」
「じゃあ、まず《ベランダ外気浴》を考えようよ」
「そうだね。今日は《窓際外気浴》を目指そう!」
その時、トモキのスマホが鳴った。
私の父からの LINE だった。
ネット将棋で、2級に昇級したと言う。
「おめでとうございます。お義父さん」
お父さんの師匠トモキ。
初段になるまで、付き合ってあげてね。
遥にオッパイをあげている間、トモキは《窓際外気浴》の実施手順を考えていた。
「遥にゲップさせたら、このベッドに寝かせてね。
俺が窓際まで引きずっていくよ」
トモキの言う通りにした。
窓際目指して引きずり始めるトモキ。
「あ!」
ふたり同時に声を上げた。
「車輪!」
「だよね。通販でキャスター4つ買って、取り付けよう」
元々、私の【まな板台】だった高さ25cmの簡易テーブル。
進化して、キャスター付きになってしまった。
販売されているものを買うだけじゃない。
販売されてなくても嘆かない。
販売されていないなら作る。
自分のアイデアで、新しいものが生まれる。
楽しいな。
そういう意味でもトモキと私は、良きパートナー。
「ミク、窓際においでよ。遥を抱っこしてあげて。俺が窓を開けるから」
私は、窓際に向かって【手で歩いた】。
いつの間にか、車椅子に乗っているトモキ。
私が遥を抱き上げ、トモキが窓を開けた。
年末の外気は冷たく、澄んでいる。
まだ見えないだろうけど、遥に空を見せた。
「寒いから、もう閉めるよ」
「遥が歩けるようになったら、山下公園に行けるよね」
「ウン。ふわとろオムレツのお弁当を持って」
クシュン!
遥が小さなくしゃみをした。
第28話に続く
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