【あなたに会えて幸せ】/第5章第25話「トモキの発明と愛のトイレ」
妊娠24週目を迎えた8月の終わり。
お腹の重みで車椅子から転落しそうになった恐怖をきっかけに、私はすべての生活をフローリングの「床の上」へと移した。
検診の時だけ、トモキや時折訪ねてくれるお母さんに手伝ってもらって車椅子に乗るけれど、アパートの中では、布団とクッションに囲まれた地べたの世界が私の安全基地だった。
トモキには負担をかけるが、床に敷いた布団で寝る毎日。
トモキの摘便は、部屋ですることにした。
「ゴメン、トモキ。トイレでの摘便は、
トイレ行くまでの転倒が怖いから、部屋でしよう。
トイレに捨てに行く手間が増えちゃったね」
だが、問題がまだあることに気づいた。
私自身のトイレは、どうやって?
トモキと話し合い、AI にも相談して、
尿瓶と差し込み便器を通販で購入。
幸い翌日配送。
しかし、商品到着までどうしよう?
「尿瓶、作ってあげるよ。
通販の写真みて閃いた。
1.5リットルのペットボトルですぐ作るよ。
ちょっと、ベッドに寄りかかってみて。
パンツ脱いで待っててね」
ほんとか?
と思ったけど、
【車椅子用両がけトートバッグ】
を作ったトモキのアイデアと工作スキルを信じよう。
トモキは、空のペットボトルを持ってきた。
「ちょっとゴメン。オシッコは、この辺りから出るよね? 触っていい?」
私がうなずいたら、トモキはペットボトルを私の股関に当てて、私の陰部にも指を当てて考えている。
しばらくしたら、カッターで切り込みを入れ、
切り口で私ケガしないようにラバーを貼った。
オシッコが飛び散らないように、ガードが付いている。
子どものように楽しそうな顔で作業するトモキ。
もう一度、私の股関に当てて、
「これで大丈夫かな?
飛び散っても大丈夫なように、ティッシュを用意しておくね。
下にタオルも敷いて。
いつでもどうぞ。奥さま」
まぁ~
トモキったら。
私は、お腹の力を抜いて、排尿を始めた。
チロチロ、、、
静かな部屋に、小川のせせらぎ。
トモキの設計は、絶妙だった!
通販の写真をちょっと見ただけなのに、
ここまでできるとは!
それにしても、この背徳感は何?
私は、さらに力を抜いた。
ジョボジョボ……チロチロ
滝の音が再び小川のせせらぎに変わる。
「よし! 成功。捨ててくるね」
あっさり去るトモキ。
変な方向に進まなくて良かったような残念なような、、、
翌日。
尿瓶と差し込み便器が到着。
トモキの摘便も成功。
私たちの部屋は、トイレになった。
世界一愛溢れるトイレになった。
第26話に続く
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