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「豊かな子どもたちは自衛隊とかなりませんよ」という嘘──データが証明する「学歴と世帯」のリアル


【追記】本記事は、先日投稿したコラムのファクト編(補足記事)となります。

【追記】この問題について補足記事を公開しました。


古賀千景参院議員の発言「豊かな子どもたちは自衛隊とかなりませんよ」
(FNNプライムオンラインより)

先日の国会における「豊かな子どもたちは自衛隊とかなりませんよ」という野党議員の発言に対し、SNSなどでは「自衛隊は入隊後の待遇が良いのだから、やはり経済的に厳しい若者が集まっているのではないか」というリベラル側からの再反論が見られます。

さらに彼らは、「志願制のアメリカ軍(米軍)は経済的に貧しい家庭の若者ばかりで成り立っている社会の縮図で、日本も同様である」という独自のストーリーを、あたかも動かぬ前提のように語りたがります。

しかし、この「貧しいから消去法で自衛隊(軍隊)に行く」という、いわゆる「経済的徴兵制」のロジックは、入隊前の彼らのバックグラウンド(学歴や世帯環境)の統計データを見れば、国内外ともに完全に的外れなフィクションであることが証明されます。

今回は、日本とアメリカの具体的な「入隊前のファクト」を基に、この神話の大嘘を暴きます。

1. 一般曹候補生の3割が「大卒・短大卒」──自衛隊は貧困層の受け皿ではない

「貧しい子が自衛隊に行く」という説が日本の現実と決定的に矛盾しているのは、現在の自衛隊の採用基準における「入隊前の学歴の高さ」です。

かつて昭和の時代など、自衛隊には中卒者を対象とした「生徒」制度(現在の中等教育学校・高等工科学校等の前身)や中卒区分での採用枠が一定数存在し、集団就職の受け皿としての側面を持っていた過去があるのは事実です。しかし、時代とともに自衛隊を取り巻く環境は激変しました。

防衛省が公表している近年の採用状況データ(「防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会」資料など)によれば、かつて主流であった中卒での入隊はほぼゼロ(採用試験の筆記基準も高校卒業程度へ引き上げ)となり、今や高卒はもちろんのこと、大卒以上の割合が急増しています。

特に、将来の自衛隊の現場を支える中核であり、自衛官のボリュームゾーンでもある「一般曹候補生」の採用者のうち、最終学歴が「大学卒」の割合は約20%、「短大・高専・専門卒」が約13%に達しています。つまり、組織の中核をなす一般曹候補生の「3割以上」が入隊前に高等教育を修了しているのです。

現在の日本において、子どもを4年制大学や短大に通わせられる世帯というのは、統計上、完全に「平均以上の中間層〜富裕層」です。本当に経済的に困窮し、その日の生活に追われている困窮世帯であれば、そもそも大学を卒業してから一般曹候補生を志願するという選択肢にはなり得ません。

さらに、幹部候補生を直接養成する防衛大学校の一般入試の難易度は、地方国公立大や有名私立大の上位クラスと同等以上です。現在の受験界において、防大に合格できる学力を身につけられるのは、親が塾代や教育費をしっかりと投資してきた「教育環境に恵まれた世帯」の子供たちがボリュームゾーンです。

自衛隊は「豊かな子はならない」場所などではなく、むしろ「ある程度豊かな家庭で育ち、高い教育を受けた子」が自らの意志で選ぶ場所になっているのが、入隊前データの示すリアルです。

2. アメリカ軍は貧困層で成り立っているという誤解

リベラル層が「経済的徴兵制の最たる例」として好んで引き合いに出すのが、完全志願制を採用するアメリカ軍です。「米軍は貧しい黒人やヒスパニック、地方の困窮した若者を経済的に釣って弾除けにしている」という言説は、映画の描写なども手伝って、日本でも広く信じられている「最大の誤解」の一つです。

しかし、米国国防総省やヘリテージ財団、米国外交評議会(CFR)などが実施した、新兵の出身地域の世帯年収に関する大規模な追跡調査は、彼らの主張とは真逆の事実を叩きつけています。

米国の若者の世帯年収を5等分(各20%)に分けたデータによると、最貧困層(世帯年収の下位20%の地域)からの入隊者は、全体のわずか11%〜14%程度しかいません。平均値(20%)を大きく下回っているのです。

逆に、米軍の入隊者の60%以上を占めているのは、年収4万ドル〜8万ドルの「中間層(ミドルクラス)」の家庭の若者たちです。さらに、最富裕層(上位20%)からの入隊割合のほうが、最貧困層からの割合よりも高いという逆転現象すら起きています。

なぜ、貧しい若者が軍隊に溢れていないのか。現代の軍隊は高度な電子兵器や情報システムを扱うため、入隊時の学力テスト(AFQT)や犯罪歴、持病・肥満といった健康状態の審査が極めて厳格だからだと考えられます。

米国においても軍を支えているのは、十分な教育と健康な身体を与えられた「中間層の子供たち」というのが統計が示す真実なのです。

3. 自衛隊を「弱者の象徴」に仕立て上げたいリベラル層の心理

国内外のデータがこれほど明確に「貧困層の集まりではない」と証明しているにもかかわらず、なぜ一部のメディアやリベラル政党は「貧しい子が自衛隊に行く」と言い張り続けるのでしょうか。

その理由は、自衛隊を「経済的弱者が犠牲になるかわいそうな場所」という被害者のポジションに仕立て上げたいという、不純な政治的動機があるからだと考えます。

自衛隊を「国家に搾取される弱者」として描くことができれば、防衛費の増額や、憲法改正、安全保障体制の強化に対して「若者を戦場に送るな」「経済的徴兵制を許すな」という感情的な反対運動へと民意を誘導しやすくなります。彼らにとって、自衛隊が高い志と学力を持った中間層に支えられているプロフェッショナル集団であっては都合が悪いのです。

4. プロフェッショナリズムへの正当なリスペクトを

「経済的に厳しい子がいく場所」「豊かな子はならない」という色眼鏡は、若者たちが自らの学力と肉体を鍛え、高い競争率を勝ち抜いて入隊してきたという「個人の努力と意志」を完全に無視した、あまりにも身勝手な決めつけです。

彼らは、経済的に追い詰められて消去法で自衛隊を選んだわけではありません。一般の民間企業や他の公務員、あるいは大学進学という選択肢を十分に持てるバックグラウンドがありながら、あえて「国防」という誇りある職務を自らの意志で選び取った若者たちです。

客観的なデータを無視し、イデオロギーのために防衛の現場を「貧困の象徴」として貶める傲慢な偏見こそ、私たちがデータによって厳しく論破し、正していくべき歪みではないでしょうか。


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