見出し画像

ロックスターと音楽を聴いた雨の夜

先日、新宿の朝日カルチャーセンターで、音楽ジャーナリストの吉村栄一さんとSUGIZOさんによる、「坂本龍一さんの曲のルーツを紐解きながら鑑賞する」という、ユニークなセミナーが開催されました。

SUGIZOさんは、紅白歌合戦にも出場したレジェンドバンド・LUNA SEAのギタリストであり、バイオリニストでもあります。世界の音楽に造詣が深く、今回は吉村さんの要望により、特別に登壇されました。
(文末に、筆者が撮影した当日の画像があります)

吉村さんは本を出版されていることもあり、解説は非常にわかりやすいものでした。
ある曲を聴き、それに影響を受けた坂本龍一さんがどのような曲を作ったのか、という聴き比べで進んでいくセミナーでした。
SUGIZOさんも坂本さんを敬愛されていますから、お二人のトークは大変に盛り上がりました。

ー前が見れない
私はLUNA SEAファンですから、1秒たりともSUGIZOさんから視線を外したくはありませんでした。
しかし私がじっと見ていては、音楽に集中できないであろうと感じました。
もちろん彼は超一流のアーティストですから、誰より音に没頭する力はあるはずです。

それでもファンたちの視線を強く感じた状態で、やはりそれは難しいのではないかと私は思いました。
やむなく私はうつむいて、前の座席の椅子の背もたれを見るような形で参加しました。

初めの数分は、音楽に耳を傾けることさえできませんでした。
しかし自分が緊張していたら、すぐそこに座っているSUGIZOさんにもそれをキャッチされてしまうと思いました。
極力、心を無にするように努めました。

本来の私は、知ってる曲が聴こえてこれば、機嫌よく口ずさむようなタイプですから、 自分の体に集中し、硬直したまま音楽を聴くという体験は珍しいものでした。

一旦音が止み、次なるルーツ曲の解説が始まると、しばしの間、私は顔を上げることができました。
吉村さん あるいは SUGIZOさんの解説を、うなずきながら聞くことができるというわけです。

ただ、背筋を伸ばして姿勢正しく椅子に座っているということも、なかなかの負担になりました。
また、私はメモ魔ですから、普段なら一言一句書き漏らさまいとするわけですが、この日はペンを手に持つこともできていませんでした。

そんなこともあって、4、50分ほど経過したときに、私は「疲れた……」と感じ、ついに脱力しました。
そのおかげで、自分を硬直から解放することができ、いつも通りに音が聴こえるようになってきました。

ーチラ見
調子の良いマリンバの曲が始まったということもあり、私はこっそりとSUGIZOさんの姿を見てみました。
エアギターで左手でコードを押さえるようにしてメロディーを楽しむのかなと想像していたのですが、 それに反して右手でリズムを取っていました。
まるで私たちが、思わず指で机を叩いてリズムを取る、そんな仕草をしていて意外性がありました。

しかし、やはり彼はギタリストなんだと感じる場面もありました。
セミナー会場が、私が若い頃によく過ごしていたバンドの練習スタジオのような空気になっていたからです。
私は、SUGIZOさんが音に耳を傾ける姿、音を確認している姿に、かつての仲間たちを重ね合わせました。
まるでスタジオで、録音した演奏を再生して確認し合っているような、そんな錯覚がしました。

さらに私は、少し自然体に近いSUGIZOさんを見て、自分がメンバーになれた気さえしました。
かねがねLUNA SEAは、ファンはみな6人目のメンバーだと言ってくれています。 まさしくそんな感じでした。
ただ、出戻り組の私の場合は、7、8人目と言った方が適切かもしれませんが。
※筆者は SUGIZOさんの呼びかけで、わずか半年前に戻ってきた90年代のファンに過ぎません。

LUNA SEAのバンドスコア(譜面)は、当時から大切に持っています。
それなのに、同じステージに立てない自分自身を非常にもどかしく感じました。 今すぐにでもセッションをしたい衝動にかられました。
その瞬間は、全然音楽を聴けていなかったかもしれませんね。

ー薄目で見てみる
時間的にそろそろ最後の楽曲かもしれないと感じて、私は思い切って 普段通りの自分として振る舞いました。
肩から上を軽く揺らす格好で 音に身を任せました。
そして閉じたような、開いたような目でSUGIZOさんの顔を見ました。
すると少しだけ目が合い、2拍ほど一緒に揺れました。

あと2拍、1小節分見ていたかったですが、
やはりどこかで音を楽しむ SUGIZOさんの邪魔をしたくないという思いがあり、私は再びうつむいてしまいました。

あの時は会場にいた全員が、吉村さんも含めて、音に揺られて、
登壇者と参加者の境目もなくなり、一体となっていたと思います。
ガムランが紹介された時には、皆でボロブドゥール遺跡の見えるホテルでディナーをしている場面さえ浮かびました。

ーセミナーの感想
今回は皆さんと、故坂本龍一さんの音楽の源流を辿りましたが、
坂本さんがインスパイアされて、あるいは取り込んだものをアウトプットして、近いテイストの楽曲を作っていらっしゃったということを知りました。

自分の好きなアーティストや、好きな楽曲をリスペクトしていることを隠さず、それを素直に吸収して、 自分の心を込めてまた別の作品として発表している。
坂本さんはそういう人柄だったのだなと知りました。

私は坂本さんについては、そんなに詳しくはありません。
しかしわたしも坂本さん風に行くのなら、自分はLUNA SEAのファンだと文字にし(照れますよ)、メンバーの SUGIZOさんが好きだと言っている、坂本さんのことを知りたいと思いました。 音楽の川のぼりをした感じですね。

クラシックについても、CMで聞いたことがある曲ぐらいしか知らない、そのタイトルさえあやふやだけれども、それでもやっぱりどなたかが好きとおっしゃる作品を聴いてみると、「いい曲だね」ということが多々ありますね。
たとえそれが有名な曲でなかったとしても。

普段聴かないジャンルでも、こうして自分の好きな人の好きに触れると楽しいんじゃないかなと思います。
それが音楽だけじゃなく、スポーツとか食べ物でもいいような気がします。
大黒摩季さんも、彼氏に合わせてサッカーを好きになったっていうことを歌ってたと思いますが、ちょっとそんな感じかもしれません。

それからチラ見する勇気を出せた楽曲。
軽快なマリンバの連弾が印象的でしたが、そこに着想を得た坂本さんの考えた「自動演奏ピアノとの連弾」には、「その手があったか」と思いました。連弾は、ピアノの前に二人並んで弾くことが一般的かと思いますが、坂本さんが自動演奏ピアノを大切な仲間として受け止めていたと感じました。

それから私は、小室哲哉さんや朝倉大介さんが使っていた90年代以降のシンセサイザーしか知りませんが、セミナーではタンスと呼ばれるシンセサイザー黎明期の超大型製品にも言及があり、その存在に驚かされました。

音楽を作る人も聴く人も、技術革新に追いつくのがやっとですが、レンタル屋さんのオススメをカセットやMDにダビングして聴いていた自分にとっては、サブスクの、30秒後には聴きたい曲が鳴るという仕組みにはいたく感動しています。

LUNA SEAや SUGIZOさんソロを聴く合間に、坂本さんの曲やその元ネタ曲も、聴こうと思います。思えば一枚、私も坂本さんのアルバムを持っていました。

大昔に、私が歌の先生に言われたアドバイスがあります。
「アーティストとしての教養を身につけることが必要だよ。」

日常は ITの仕事に追われている筆者ですが、今回のセミナーを機に、やっと一歩が踏み出せたと、吉村さんにお礼を伝えました。

音楽の世界は天の川、一曲一曲が星のように輝きます。
あなたも、川を上ってみませんか。

講座名:坂本龍一が愛した音楽をひもとく

この日聴いたガムランはアイススケートショーとなりました。こちらもみてね😊

川のぼりパート2も成功しました🐟
ターゲットは、かの有名なロックバンドU2です。SUGIZOさんの画像つき。
ぜひご一読ください🎬


いいなと思ったら応援しよう!