私設図書館、はじめました。
noteの『ボロボロの平屋〜』の記事は、おかげさまで多くの方にご覧いただくことができました。それ以降は、家や暮らしについてはあまり発信できていませんでしたが、この記事をきっかけに、家のこと(不動産やリノベ)や暮らし(料理・植物・猫・本など)について、どんどん発信したい思っています。すでに何本か書き始めておりますので、お待ちくださいね。
突然ですが、わたしたちの住む家を週に一度「私設図書館」として無料開放する取り組みを行うことになりました。今日の記事のテーマは「いえをひらく」。noteを読んでくださる皆様にも、会えるのを楽しみにしています。
1.馬超の死
私設図書館のお話しをする前に、5月にあった大きな出来事についてお話します。最愛の猫・馬超(ばちょう)が、9歳直前で亡くなりました。幸せな日常が、ある日突然シャットダウンされました。この家があって、ビア子さんがいて、馬超とムー大陸2匹の猫がいる。仕事へ行き、ご飯を食べ、夜には田んぼからカエルの合唱がきこえる。迂闊にも、そんな日常が明日も当たり前にくるものだと思い込んでいました。
「日常こそ幸せ」こんなありふれた言葉は、何度も目にして知ったような気になっていましたが、いざ自分に降りかかるとまったく受け入れることができなかった。大切な人や動物を失った経験がある方は、きっとたくさんいらっしゃると思います。みなさんは、こんな悲しみを飲み込んで毎日を生きてらっしゃったんですね。
飼い猫が死んだ。他者から見るとただそれだけのこと。この家とわたしたちの日常を支える馬超という重力を失い、途方に暮れました。私たちの日常を作っていた幸せ、そのど真ん中に彼がいた。
【追記】
2025年7月22日、馬超の最期を記録したnoteを公開しました。もしよければ、お時間ある時にこちらのnoteもご覧ください。



馬超が亡くなった直後は、仕事への意欲も食欲も減り、毎日これではいけないと奮起するのですが、なかなかスイッチが入らない。そんな中、「蕎麦なら食べれるかも」と訪れた小さな蕎麦屋で、マスターが作った蕎麦がきが感動的においしかった。それだけじゃなく、電話予約の対応から接客まで一生懸命対応されていて、彼のエネルギーを存分に浴びて少し元気がでた。他にも、近所のコンビニや訪れた病院の看護師さんの仕事にも、同じように心動かされた。
直接的に「がんばれ」と言われたわけではないのですが、市井の人々の熱心な仕事や、愛のこもった料理やサービスに、少しずつ前を向く力をもらいました。
そんなある日、近所で畑をしているおじいさんが大きな玉ねぎをくれました。すぐに生姜焼きにして食べたら、美味しいと嬉しいがいっぺんにやってきた。これもまたベタなのですが、人の手で作られた物がこんなにも美味しいのかと感動したんです。タマネギの美味しさは、嘘をつかない。土づくりから収穫まで、おいしいタマネギを作りあげたおじいさんの仕事が1つのタマネギに詰まってる。彼は、野菜を通して人を救うことができる人なんだ。私も、誰かにとってこんな存在になりたい、そう思いました。わたしたちが住む家もまた、誰かをささやかに支えることができるかもしれない。

2.私設図書館『fog books』
前置きがとっても長くなりました。本日(6/7)から、私たちの住む自宅を、私設図書館『fog books』として、開放することになりました。わたしたちが実際に居住している小さな平屋を、週に一度土曜日に開放する取り組みです。(仕事の都合で日程がかわることもあるので公式Instagramをご確認ください。)
運営は、ビア子こと田村明日香さんが立ち上げた不動産会社「トキワ舎」が行います。不動産事業とは別軸の取り組みのため、fog booksは直接的な営利を目的とはしていません。約5年前に残置物ごとボロ平屋を買って、自分たちでリノベプランを作り、業者や素材を手配することで、土地建物・リノベ込みで約1500万円で購入した150坪の家。お金を多くかけずとも、十分に身の丈にあった豊かな暮らしができることを、肌で感じたわたしたち。トキワ舎としては、家と暮らしのあり方もまた、次第に変化していくと考えていて、fog booksはわたしたち流の社会実験としての側面もあります。
fog booksは馬超の死の前から準備を進めていたのですが、馬超が亡くなったことで、より意義みたいなものが自分たちの中で整理できました。


|蔵書は約800?冊くらい|
さて、肝心の本についてですが、私は写真が専門なので趣味でコツコツ集めた国内外の写真集等、写真関係の書籍約300冊をはじめ、アート系、料理系、サブカル本、漫画など約800冊くらいの本を自由に閲覧いただけます。貸出はできないですが、時間内でしたらどなたでも無料でご利用いただけます。本だけでなく、写真家の浅田政志さん、藤代冥砂さんなどの写真作品や、現代美術家の飯川雄大さんの作品など、個人コレクションもご覧いただけます。大きな6-8名が座れる大テーブルと、ソファ席があります。お好きなところで、好きな本を読んでください。どの本がよいか迷ったら、店主に声をかけてください、おすすめをお渡しします。


3.いえをひらく
最近色々な方と「暮らし」について話す機会が多いのですが、慎ましやかに生きていくことさえ難しい時代になったな、と感じます。例えば、夫婦共働きでも、こどもを高校や大学に通わせるために、色々と切り詰めなければいけない。普通にごはんを食べて、学校へ行かせ、たまにカフェで友達とランチをし、年に一度旅行できたら…そんなささやかな幸せさえ、困難になりつつある。資本主義経済の限界を、個人的に感じています。幸せや豊かさについて、もう少し自分軸で考えたいと思うようになりました。
人とのつながりを作ることは、お金を稼ぐことと同じくらい大事なのでは?信頼できる仲間に出会うこと。わたしたちにとってその手段は、いえをひらくことでした。大きな家に住み、いい車に乗り、もっと便利に…もっと遠くへ。その価値観を否定したいわけではありません。私は面白いことにお金を使いたい人間なので、家はあと2、3個は欲しいし、一人でも多くの人に届けたいし、今でもその価値観はあります。でも、それ以外にも、新しい価値基準が別軸であってもいいと思うのです。「ひらく」ことで未来がどう変わるのか、今はまだ具体的に描けていませんが、わたしたちは直感でこの選択をしました。
家をひらく、仕事をひらく、心をひらく。
あまり人に心を開かなかったわたしが、先に家と心をひらいてみようと思います(笑)その次は、仕事かな。仕事のあり方や株式会社のあり方も模索したいと思っています。
これから、自分の居場所を見つけることがますます大事になってくると思います。私たちがコレクションした大好きな本を、同じように「好きだなあ」と思っていただける方がいるかもしれない。そんな方々にとって、この場所が少しだけ現実から離れられる、どこか不思議な場所として捉えてもらえたら嬉しいです。


|fog books初日|
本日、記念すべきfogbooksの初日でした。お友達に限定したおしらせでしたが、なんと初対面の方1名+お友達1名、計2名の方が遊びにきてくれました。初対面の方は私のnoteの記事を見てくださっていたので、noteが繋いでくれたご縁です。「たった2名??」って思われましたか?私たちとしては、もう大満足の結果です。小さくても、大きな一歩を踏み出せたと確信しています。こんな、よくわからない取り組みに何かを感じ取ってくださり、我が家を目指してくれて、本当にありがとうございます。
初めてお会いする方が、自宅のリビングで本を読んでいる風景は、まったく違和感がなくむしろ心地よかったです。これからも、fog booksを通して、共感から人のつながりや循環がうまれ、自然な出会いの場になってくれるといいな。たくさんの人に出会いたいと、今は心から思います。

「noteで気になっていたので家を見てみたい」
「たむらと話してみたい」
「ちょっ現実逃避したい」
「なんとなく淋しいから」
本を読むことはもちろんですが、ここに来る理由は、なんでもいいと思っています。私設図書館という形をとっていますが、柔軟に対応させていただきます(笑)思い思い、よき時間をお過ごしください。世の中には、わけのわからない「余白」みたいな場所も必要なんじゃないかな?と思います。
図書館利用だけでなく、家の周囲の農道を散歩するのもおすすめです。小さな神社以外特に何にもないのですが、目を凝らすと小さな虫や花に出会えます。耳をすませば、風の音が聞こえます。今後は、みなさんにも共犯者になっていただきながら夏祭りやトークイベント、ピクニック企画、ワークショップなど楽しいことができたらいいなと思っています。



ボロボロの平屋を改装した小さく質素な家です。同時に入場できる人数にも限りがありますので、もしかするとご不便をおかけするかもしれません。ここは、田んぼや畑に囲まれて、奈良の山々が見渡せます。特別なサービスやおもてなしはありませんが、心から「ようこそ」とみなさまをお迎えします。最初は、お友達の家に遊びにいくような気持ちで、気張らずふらっとお越しください。
fog booksオープンに際して、新しいInstagramアカウントを立ち上げました。所有している本と書評、私が撮影した旅の写真を縦写真に再構成したものを交互に投稿しています📕ストーリーズのハイライトで、イベントやオープン日、楽しみ方もなんとなーくわかるようになっているので、ぼんやりと眺めてお楽しみください。本好きな方や写真好きの方、平屋に興味がある方、植物が好きな方は、ぜひフォローしていただけると嬉しいです!ご来場に際しての注意などもございますので、必ずご一読いただき、お越しくださいませ。
【fog books公式アカウントはこちら↓】


4.最後に
ちなみに、『ボロボロの平屋〜』の記事は、ライフネット生命note公式コンテスト「♯自分で選んでよかったこと」のライフネット生命賞をいただきました。fog booksはその賞金の一部を使ってオープンさせていただきました。(本や駐車場のコーンなどの備品を購入)この私設図書館は、noteがなければ生まれなかったかもしれません。
たった1人でも、fog booksを必要だと思ってくれる人がいれば、それだけで続ける価値はあると思っています。いきなり図書館に行くのが不安な方は、ワークショップやお話しランチ会(fog picnic)なども今後は企画しますので、そのタイミングでご参加くださいませ。
noteで出会ったみなさんと、リアルでお会いできるのを心待ちにしています。ぜひ足を運んでいただけると嬉しいです。
それでは、ごきげんよう。
