子ども・子育て支援金はいくら?|上限は国保が年3万円、後期高齢者は年2万1千円
今年の4月分から、健康保険の保険料に「子ども・子育て支援金」が加わりました。保険料の通知を見て、増えた分がこれなのかどうか分からない、という方が多いと思います。
この記事は、こども家庭庁の案内とPDF、それにe-Govで公開されている法令だけを使って整理します。急いでいる方のために、結論を先に置きます。
いつから=令和8年(2026年)4月分の保険料から。国民健康保険・後期高齢者医療・会社などの健康保険の3つともです。
いくら=国の試算で、後期高齢者(年金収入だけの単身)が月50〜200円、国民健康保険(夫婦と子の世帯)が月50〜650円、年収200万円の会社員が月192円。ただし国保と後期高齢者の実額は、条例で決まります。
上限=1年で、国民健康保険が3万円、後期高齢者医療が2万1千円と政令に書かれています。
わたしはアクチュアリー準会員として、退職給付の数理計算とその説明を担当していました。子ども・子育て支援金は専門としてきた分野ではありませんので、ここから先は、出所を一つずつ示しながら進めます。
いつから引かれるのですか
こども家庭庁の案内は、制度ごとにこう書き分けています。
会社などの健康保険=「令和8年4月保険料(5月に給与天引き)より拠出いただきます。」
国民健康保険=「令和8年4月分から拠出いただきますが、具体的な徴収開始時期はお住いの市町村にお問い合わせください」
後期高齢者医療制度=「令和8年4月分から拠出いただきますが、具体的な徴収開始時期はご加入の広域連合にお問い合わせください」
始まりは3つとも4月分で、実際に引かれる月だけが違う、ということです。
いくらですか
国が令和8年度の試算を、年収別に出しています。まず後期高齢者医療制度(年金収入だけの単身世帯・1人当たりの月額・50円丸め)。
年収80万円・100万円・125万円・150万円=いずれも50円
年収175万円=100円
年収200万円=200円
国民健康保険(夫婦と子のいる世帯・1世帯当たりの月額・50円丸め)。国の試算は「夫婦いずれか一方のみに給与収入がある世帯」を置いています。
年収80万円・100万円=50円
年収150万円=250円
年収200万円=400円
年収250万円=550円
年収300万円=650円
この表は子のいる世帯のモデルですが、国自身が「高校生年代までのこどもの数により上記試算における支援金額は変わらない」と注記しています。子の人数ではなく、世帯の所得と大人の人数で動く、という読み方でご覧ください。
最後に会社などの健康保険(被保険者1人当たりの月額)。
年収200万円=192円
年収400万円=384円
年収600万円=575円
年収800万円=767円
年収1,000万円=959円
国保の表には、国自身の注記が付いています。
本試算は、一定の仮定をおいて行ったもの。実際の支援金額は、各自治体の条例によって決定される。表に示す金額はモデル試算であり、50円単位で表示している。
後期高齢者の表にも同じ注記があり、そちらは「各後期高齢者医療広域連合の条例によって決定される」と書かれています。手元の通知の額がこの表と一致しなくても、おかしくはありません。
会社員と、国保・後期高齢者で1つだけ違います
会社などの健康保険では、支援金は労使で折半です。試算の注記が、算出方法をこう書いています。
年収(標準報酬総額。毎月の給料とボーナスの合計額)に、国が示す一律の支援金率(0.23%)を掛けて年額を算出。年額を、12で割って月額にしたものに、1/2(本人拠出分)を掛けて算出。なお、同時に本人拠出分と同額(全体の1/2)を、事業主が負担。
一方、国民健康保険と後期高齢者医療の案内には、徴収の流れの図に短い注が付いています。
注)国保、後期は被保険者のみが負担
折半してくれる相手がいません。 ただし、上に並べた会社員の試算額は折半の後の数字、国保・後期高齢者の試算額は折半のない全額です。算式も前提の収入の種類も違うので、そのまま横に並べて「どちらが高い」とは読めません。
国民健康保険には、「支援金」が2つあります
ここが、いちばん取り違えやすいところだと思います。
国民健康保険の保険料は、いくつの区分を足すかが法令で決まっています(国民健康保険法施行令 第29条の7第1項)。その区分が、今年度から4つになりました。
基礎賦課額
後期高齢者支援金等賦課額
介護納付金賦課額
子ども・子育て支援納付金賦課額(今年度から)
太字の2つは、名前が似ていますが別のものです。「後期高齢者支援金等」は以前からある区分で、国保から後期高齢者医療へ回すお金。今年度に加わったのは4つ目のほうです。
ただし、3つ目の介護納付金の分がかかるのは、40歳以上65歳未満の方がいる世帯だけです(同項第三号は対象を「介護保険法第九条第二号に規定する被保険者」=「四十歳以上六十五歳未満の医療保険加入者」に限っています)。65歳以上の方だけの世帯では区分は3つで、支援金の分が最後に来ます。⚠️数で数えると取り違えます。名前で探してください。
上限額も、区分ごとに同じ政令が決めています。
基礎賦課額=67万円
後期高齢者支援金等賦課額=26万円
介護納付金賦課額=17万円
子ども・子育て支援納付金賦課額=「三万円を超えることができないものであること」
つまり国民健康保険では、子ども・子育て支援金として払う額はどれだけ所得が高くても年3万円が天井です。
なお、市町村によっては同じものを「国民健康保険税」として集めています。その場合、区分の名前は「基礎課税額」「後期高齢者支援金等課税額」「介護納付金課税額」「子ども・子育て支援納付金課税額」になります(地方税法第703条の4第2項)。上限額も政令で3万円と同額です(地方税法施行令第56条の88の2第4項)。
⚠️ 通知書の様式そのものは市町村ごとに違います。「区分がある」のは法令の話で、明細の見た目や欄の並びまで同じとは限りません。
後期高齢者医療は、保険料が2つに割れました
後期高齢者医療にも、支援金の区分があります。高齢者の医療の確保に関する法律施行令 第18条第1項第一号が、保険料の賦課額をこう定めています。
一 当該保険料の賦課額は、イ及びロの合計額とすること。イ 被保険者につき算定した基礎賦課額(…)ロ 被保険者につき算定した子ども・子育て支援納付金賦課額(子ども・子育て支援納付金の納付に要する費用に充てるための賦課額をいう。)
支援金の分には、基礎の分とは別の所得割率(政令はこれを「子ども・子育て支援納付金所得割率」と呼んでいます)と、別の均等割額が置かれます。どちらも広域連合の全区域で均一です。
上限も別で、2万1千円(第十三号「二万千円を超えることができないものであること」)。基礎の分の上限は85万円です。
ですから、通知で探すのは支援金分の所得割率と均等割額の2つになります。国のリーフレットも、加入者への告知をこの形で作っています。
子ども・子育て支援金に係る保険料は所得割〇〇%、均等割〇〇円になります。
〇の中に、広域連合が決めた数字が入ります。この2つが見つかれば、それが答えです。
もう2つ、同じ法律から。保険料の賦課期日は「当該年度の初日とする」(第106条)=4月1日です。年度の途中で75歳になって後期高齢者医療に移った方の保険料も、この日を基準に決まります。そして徴収の方法は、
特別徴収…の方法による場合を除くほか、普通徴収…の方法によらなければならない(第107条第1項)
特別徴収とは、年金を支払う側に保険料を徴収させる方法=年金からの天引きです。この場合、支払った実感より先に、受け取る年金の額のほうが動きます。
年金から引かれるものの全体は、こちらで整理しました。
▶ 年金の手取りはいくら?額面から引かれる税金・社会保険料と目安(令和8年度)
収入が少ない世帯・子どもがいる世帯は
こども家庭庁のQ&Aは、こう書いています。
支援金は所得に応じて拠出いただきますが、医療保険料と同様に、低所得の方に対する保険料軽減措置を設けています。
国民健康保険では、この軽減の中身が政令に書かれています。所得が一定以下の世帯は、均等割(世帯別平等割を課す市町村ではその分も)が7割・5割・2割(十分の七・十分の五・十分の二)減額され、これは今年度加わった支援金の分の均等割にも同じようにかかります(第29条の7第6項第三号。市町村が困難と認める場合の別の割合も置かれています)。政令の書き方は市町村に対する「減額するものであること」なので、この軽減に申請は要りません。
子どもについては、もっとはっきりしています。
こども(18歳に達する日以後の最初の3月31日以前である者。高校生年代)については、均等割額が全額軽減されます。
政令も同じ形です。ただし、全額が減るのはこの支援金の分の均等割だけで、ほかの区分の均等割は減りません。減らした分は「十八歳以上被保険者均等割額」として18歳以上の被保険者に割り振られますが、割り振り先は市町村全体の18歳以上なので、子どもの多い世帯だけが重くなるわけではありません。高校生年代までの子どもが何人いても、この支援金は増えません。
何に使われるのですか
こども家庭庁は、支援金が充てられる給付の例を挙げています。児童手当の拡充(所得によらず対象・高校生年代まで延長・第3子以降は一人当たり月3万円・2か月に1回の支給。令和6年10月分から拡充)、妊婦のための支援給付、出生後休業支援給付、育児時短就業給付(いずれも令和7年度から)、こども誰でも通園制度(令和8年度より全国実施)、育児期間中の国民年金保険料免除(令和8年10月分から)です。
負担については、試算の3枚すべてに同じ注記が入っています。
令和8年度より支援金を拠出いただくことになるが、社会保障の歳出改革等を行うことで、支援金による負担は相殺されるため、支援金導入に伴う実質的な負担は生じない。
相殺の根拠として書かれているのは「社会保障の歳出改革等」です。支援金そのものが0円になるという意味ではありません(同じ国の試算が、上のとおり金額を出しています)。
結局どうすればいい
3つに分かれます。
国民健康保険の方=保険料の通知の内訳に「子ども・子育て支援納付金」の名前があるか見る。数ではなく名前で探す(40〜64歳の方がいない世帯は区分が3つです)。「後期高齢者支援金等」と取り違えない。上限は年3万円です。
後期高齢者医療の方=支援金分の所得割率と均等割額の2つを探す。国は、この2つを知らせる形で加入者向けの案内を作っています。上限は年2万1千円。年金天引きの方は納付書が来ないので、受け取る年金の額のほうで気づくことになります。
お勤めの方=4月分の保険料(5月の給与天引き)から。給料とボーナスの合計額の0.23%の半分が目安で、残り半分は勤め先が負担します。明細に独立した欄が立つかは加入先の健康保険によります。
額が試算と違っても、実額は条例で決まると国自身が注記しています。額の根拠を知りたいときは、国保・後期高齢者は保険料の通知を出した窓口へ、お勤めの方は加入している健康保険へ。制度そのものの問い合わせ先としては、こども家庭庁のコールセンター(0120-303-272・9時から18時・日曜、祝日を除く)が案内されています。
上の日付・金額・条文は、すべてこども家庭庁のページとPDF、それにe-Govの法令から取っています。制度は動きますので、手続きの前にはご自身でも一度、確かめてください。
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