反抗期の中学生が静まり返る-「サウンド・オブ・ミュージック」で伝える“自由”の尊さ【映画×授業#1】
私は、映画が大好きです。
「アクション」「コメディ」「ホラー」「SF」「歴史もの」など、
ジャンルを問わず、いろいろな映画を観てきました。
映画には、
その時代を生きた人たちの願いや恐れが、
製作者の視点で描かれています。
授業に置き換えると、
それは教師の教材観にあたるものだと思っています。
だからこそ、
自分の教材観と近い映画に出会ったとき、
その映画は、とても良い教材になるのです。
映画は、問いを連れてくる
映画を観ていると、
「もし自分だったらどうするだろう」
そんな気持ちになることがありませんか。
もちろん、正解があるわけではありません。
でも、その一瞬、
人は立ち止まって考えます。
授業も、
そんな時間をつくる場所であってほしいと思います。
授業で『サウンド・オブ・ミュージック』
『サウンド・オブ・ミュージック』は、
第二次世界大戦中のオーストリアを舞台にした、
実話をもとにした映画です。
音楽にあふれた、明るい物語。
けれどその背景には、
ナチス・ドイツによる侵略という、
重たい現実があります。
侵略されたオーストリアのトラップ大佐は、
ドイツ軍への協力を拒み、
家族とともに国外へ逃げようとします。
ところが、逃亡寸前に
一家はドイツ軍に見つかりそうになります。
とっさに、
「今日は音楽会に行く途中だ」
そう言って、その場を切り抜けようとするトラップ大佐。
そして、物語は音楽会の会場へ。
そこには、ドイツ軍の兵士たちが並んでいます。
私は、いつもここで映像を止めます。
君は「エーデルワイス」を歌うか
生徒に、こう問いかけます。
このあと、トラップ大佐は
ドイツ軍の前で
「エーデルワイス」を歌うと思うか。
それとも、歌わないと思うか。
君なら、歌うだろうか。
「エーデルワイス」は、
オーストリアを象徴する歌で、
ただのきれいな歌ではありません。
祖国を想う気持ち。
奪われていく自由。
声に出せない抵抗。
そうしたものが、
あの一曲に込められているため、
ドイツ軍から歌唱を禁じられていたのです。
教室が、少し静かになります。
教室に広がる声
生徒たちは、考え始めます。
「家族が危ないから歌わないかも」
「オーストリア人のために歌いたいのでは」
「歌うこと自体が、抵抗になっちゃうかな」
「本当は歌いたくないけど……」
「わたしなら……」
どの考えにも、
その生徒なりの理由があります。
きっと、正解はないのでしょう。
「さて、どうなったか。続きは映画で見てね」
そう言って授業を終えようとすると、
必ず、
「えー」「知りたいよ」
という声が教室中に響きます。
そこで、ようやく
トラップ大佐が堂々と歌ったこと、
そして閉会式を前に逃げ、
生き延びたことを生徒に伝えました。
映画が教えてくれること
映画を使うと、
歴史は年号の暗記ではなくなります。
誰かの選択として、
「自分ならどうするか」という問いとして、
目の前に現れます。
私は、
知識をたくさん暗記するだけの授業よりも、
考え続けたくなる授業がしたいのです。
映画は、
そのきっかけをくれます。
今日もどこかの教室で、
一本の映画から、
小さな問いが生まれているのかもしれません。
今日の映画の話が、社会科の面白さを思い出すきっかけになれば嬉しいです。 この作品を「中学社会科の視点」で読み解く授業は、メンバー限定でお届けしています。 大人の学びなおしとしての社会科を、一緒に楽しみませんか。
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