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評価は,序列ではなく,次の学びへの情報でありたい― 比べる評価から,脳が動き出す評価へ

評価は,本来,子どもを比べるためのものではありません
これは,どの方も,理解してくださるでしょう

けれど,学校の中では,
評価が知らないうちに序列を生むことがあるのです

 テストの点数や平均点
 A・B・Cやマル(○)の数
 「よくできる」「できる」「もう少し」

教師にとっては,
本来それらは,学習状況を把握するための情報
そして保護者にとっては,子どもの様子を知るためのもの

しかし,子どもにとっては,
それがまったく違う意味をもってしまうことが……

「自分はできる子なのか,できない子なのか」
「友だちより上なのか,下なのか」

評価が,学習の情報ではなく,
自分の価値を測る情報になってしまうのです


比べられると,脳は「学ぶ」より「守る」に向かう

脳は,安心しているときに学びやすくなります

人は,不安や緊張が強いとき,
じっくり考えるよりも,まず自分を守ろうとするのです

 間違えたくない
 恥をかきたくない
 できないと思われたくない
 友だちより下だと思われたくない

そう感じているとき,
子どもの脳は,学びに向かうというより,
傷つかないための準備をするのです

だから,
 分からないと言えない
 難しい問題に挑戦しない
 できそうなことだけを選ぶ
 友だちの様子を見てから動く
 失敗する前にふざける
 「どうせ無理」と言って,自分を守る

これは,単なるやる気の問題ではないんです
子どもの脳が,学習モードではなく防衛モードに入っていると,
見ることもできるのです

比べられる環境では,
子どもは学びに向かう前に,
まず自分を守らなければならなくなるのです……

評価が,自己理解をつくってしまう

大人はよく,
「これは学習の評価であって,あなた自身の価値ではない」
と言います

もちろん,その通りです

でも,子どもはそう簡単には分けられません

算数ができない,漢字も苦手
文章が書けない,発表もできない
丸が少ない,Cがついた

その経験が重なると,子どもの中で,
「まだできていない」
が,
「自分はできない」
に変わってしまうことがあるのです

本当は,まだ途中なのです

 今は分かっていないだけ
 別の方法なら分かるかもしれない
 もう少し時間があればできるかもしれない
 友だちの考えを参照すれば進めるかもしれない
 図にすれば見えてくるかもしれない

でも,評価が結果だけとして返ってくると,
子どもはそこに閉じ込められてしまいます

「今はできていない」が,「自分はできない子だ」になる……

脳は,そうした経験を積み重ねて,
自分についての物語をつくっていきます

「自分はやればできる」という物語もあれば,
「どうせ自分はできない」という物語もあります

評価は,その子の自己理解に入り込む力をもっています
だからこそ,評価の出し方には,慎重でありたいのです

脳が動き出す評価とは何か

では,評価をどう変えていけばよいのでしょうか

大切なのは,評価を
序列の情報 ではなく,
次の行動を選ぶための情報 として返すことです

たとえば,
「文章題が苦手です」ではなく,
「問題文の中から,何を聞かれているかを見つけるところで迷っています」

「計算ミスが多いです」ではなく,
「くり上がりのあとに,位をそろえて確認するとよさそうです」

「発表が苦手です」ではなく,
「まずはペアで自分の考えを話してから,
 全体に出すと伝えやすくなります」

このように返ると,
評価は子どもを止めるものではなくなります

「自分はだめだ」ではなく,
「次はこれをやってみよう」になる

脳が守りに入る評価ではなく,
脳がもう一度動き出す評価になるんです

評価とは,本来,
子どもを判定するためだけのものではありません
子どもが次の一歩を選ぶための手がかりなのです

比較ではなく,変化を見る

評価を子どもの学びに返すためには,
友だちとの比較よりも,その子自身の変化を見る必要があります

昨日より,どこが進んだのか
前より,どんな方法を使えるようになったのか
どんな場面で助けを求められたのか
どんな工夫をしたのか
どんな失敗から,次の方法を選べたのか

ここを見ると,評価の言葉が変わります

「まだできていない」だけではなく,
「ここまで来ている」が見えてきます。

「友だちより遅い」ではなく,
「前の自分より進んでいる」が見えてきます

子どもに必要なのは,上か下かを知らされることではありません

今どこにいて,次にどこへ向かえるのかを知ることです

それが分かると,子どもは安心して次に進めます
安心できるから,挑戦できます
挑戦できるから,失敗しても戻れます
戻れるから,学び続けられます

あゆみを見直すということ

あゆみを見直すというと,
「評価をしないのですか」
「保護者に伝えなくてよいのですか」
「子どもの状況が分からなくなりませんか」
という不安が出てくることがあります

でも,私が考えているのは,評価をなくすことではありません

むしろ,評価を子どもの学びに近づけることです

学期末にまとめて渡す
マル(○)の数で伝える
A・B・Cで整理する
その結果,子どもが比べ合い,自分の価値を測ってしまう

そこを見直したいのです
評価は,もっと途中で返ってよい
もっと具体的であってよい
もっと子どもが次に動けるものであってよい

あゆみをやめることは,単に一つの書類をなくすことではありません

評価を,
「比べるための結果」から,
「学びを進めるための情報」へ戻すことなのが大切です

子どもの脳が,もう一度学びに向かう評価へ

評価を受け取った子どもが,
「自分はだめだ」と思うのか……

それとも,
「次はここをやってみよう」と思うのか……

この違いは,とても大きいです

評価は,子どもの脳に残ります
評価の言葉は,その子の自己理解に関わります
だから評価は,子どもを守りに入らせるものではなく,
もう一度学びに向かわせるものでありたい

評価は,序列ではなく,次の学びへの情報でありたいのです

子どもを比べるためではなく,
子どもが自分の学びを進めるために……

子どもを守りに入らせるためではなく,
「もう一度やってみよう」と思えるように……

そんな評価へ
学校の評価を少しずつ変えていきたいのです

次……


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