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ショート動画時代の子どもたちと,注意の使い方― ICT批判ではなく,注意のデザインとして考える

ショート動画は,
子どもたちの日常にすっかり入り込んでいるようです

だって……
 数十秒で笑える
 次々に新しい刺激が来る
 自分で選んでいるようだけど,
 そんなことをしなくても,
 おすすめが自動で流れてくる
 退屈を感じる前に,
 次の動画が始まる……
からだ……

これは,
子どもにとってとても魅力的なものになってしまいます
だからこそ,
単純に「見るな」と言っても,
あまり届かないのです

考えたいのは,
ショート動画が悪いという話ではなく,
短い刺激に慣れた脳に,どうじっくり考える時間を取り戻すか
ということなのです


注意は,使い方によって変わる

脳は,
 目立つもの,
 新しいもの,
 すぐに反応が返ってくるものに,
注意を向けやすい性質があります

ショート動画は,その性質にとても合っています
短い時間で,音,光,動き,字幕,表情,オチが次々にやってくる
脳にとっては,注意をもっていかれやすい設計です

実際,2024年のEEG研究では,
ショート動画への依存傾向が高い大学生ほど,
前頭部の実行制御に関わる脳波指標や自己制御尺度が低い傾向が
示されているんです
研究者は,ショート動画への依存傾向が,
注意の実行制御や自己制御の弱さと関連する可能性を述べています

もちろん,この研究だけで,
「ショート動画を見ると脳が壊れる」
とは言いきれません

大切なのは,因果を決めつけることではなく,
短い刺激に慣れた子どもたちの注意を,学校がどう設計し直すか
なのです

じっくり考える力は,自然には育ちにくい

今の子どもたちは,
退屈になったらすぐに刺激へ移ることができます
分からない,つまらない,難しい……
その瞬間に,別の画面へ行ける環境があります

でも学びには,すぐには面白くならない時間があります

 文章を読み返す
 式の意味を考える
 友だちの説明を聞き直す
 自分の考えを言葉にする
 分からないまま,少し粘る

この時間は,
脳にとって負荷がかかります
でも,その負荷の中で,
注意を保つ力,考えを整理する力,自己制御する力が育っていくのです

だから学校では,
「集中しなさい」と言うだけではなく,
集中しやすい場を設計する必要があります

注意をデザインする

たとえば,こんな工夫は,どうでしょう
 最初から長時間の集中を求めず,短く区切る
 見通しを示す
 今,何に注意を向けるのかを明確にし,焦点化する
 途中で手応えが返るようにする
 友だちと確認する時間を入れる
 静かに考える時間と,話す時間を区別して分ける
 ICTを使う場面と,使わない場面を意図的に分ける

これは,ICTを否定することではありません
むしろ,ICTも含めて,注意の向け方を設計することです

ショート動画時代に必要なのは,
「デジタルを使うか,使わないか」
という単純な二択ではありません
そう,二項対立にしてしまうと,思考停止です

子どもの注意を,何に,どのくらい,どの順番で向けるのか
そこを教師や大人が設計することなのです

学校は,じっくり考える経験を守る場所

ショート動画の世界では,
注意は次々に切り替わります
でも,学校の学びには,
切り替えずにもちこたえる時間も必要です

 一つの……
  文章に戻る
  問いを考え続ける
  間違いを見つめ直す
  考えを説明し直す

この時間は,派手ではありません
でも,子どもの脳が深く学ぶためには,
欠かせないものではないでしょうか

ショート動画時代だからこそ,学校は,
子どもからデジタルを奪う場所ではなく,
注意の使い方を学ぶ場所
でありたいです

短い刺激に慣れた子どもたちに,
じっくり考える時間をどう取り戻すか

それは,ICT批判ではなく,
これからの授業づくりの大切な問いなのでしょう

次……


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