見出し画像

11月11日は介護の日:「Chance!」の白井貴子さんが語る介護の現実。介護の花王にできること。大人用紙オムツ、リリーフ。花王が仕掛ける11兆円市場への本気とは?


どーも、セオドアアカデミーです。
 母親の介護で15年。その経験を持つロック歌手が、なぜ企業のWeb動画でナレーションを務めるのか。花王の新たな一手は、介護という領域で「当事者性」を武器にした、これまでにない企業姿勢を示しています。

Chance! バブル世代はハマる、白井貴子さんの名曲です。こちらサブスクかラ是非!


ラジオから聞こえてきた、あの声

 2025年11月11日、介護の日。YouTubeに公開されたWeb動画から流れてきたのは、どこか懐かしい、それでいて芯のある声でした。

「介護は毎日の小さなシーンの積み重ね」

 ラジオ風の語り口で、介護の現場から寄せられた悩みと、それに応える製品のエピソードが紹介されていきます。匂いの悩み、排泄ケアの難しさ、介護疲れからくる心身の負担。そんな切実な声に寄り添うように、ナレーションは続きます。

声の主は、1984年のヒット曲「Chance!」で知られるシンガーソングライター、白井貴子さん。
 かつて「ロックの女王」と呼ばれた彼女が、今、介護のWeb動画で語り手を務める。この事実には、単なる有名人の起用を超えた意味が込められています。

花王が2025年4月から本格始動させた「介護に花王のできること」。この包括提案の顔として白井さんが選ばれた理由、それは彼女自身が持つ「当事者性」にありました。

15年間の介護が教えてくれたこと

 白井貴子さんの母、光子さんは2000年頃から関節リウマチを患い、その後パーキンソン病も発症しました。かつてステージ衣装を手縫いで仕立ててくれた母の手は、徐々に動かなくなっていきました。

白井さんは父と共に、約15年間にわたって母の介護を続けました。食事の介助、トイレの付き添い、体調の変化への対応。そして2022年5月、母は90歳を前に自宅で静かに息を引き取ります。

「最初の10年間は父と私でバトンタッチしながらやっていました」

白井さんはインタビューでこう語っています。
 介護の初期は終日バタバタしていたものの、母が寝たきりになってからは、すべき世話が減っていく一方で、見守る時間が長くなっていったといいます。

興味深いのは、白井さんがその介護の日々をSNSで発信し続けたことです。2023年5月には自身初の著書『ありがとう Mama』を出版。介護の現実、そして自宅での看取りと葬儀までを包み隠さず綴りました。

ここに、企業が白井さんを起用した本質があります。彼女は有名人である前に、介護の当事者でした。そして、その経験を社会に還元しようとする意志を持っていました。

花王がこの動画で伝えたかったのは、製品のスペックではありません。
 介護という営みのリアルな姿、そしてそこに寄り添おうとする企業の姿勢だったのです。

数字が示す、見過ごせない現実

では、日本の介護を巡る状況は、今どうなっているのでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所の2024年推計によれば、2020年の世帯数は5,570万世帯でしたが、2030年には5,773万世帯でピークを迎えます。注目すべきは、世帯主が65歳以上の単独世帯と夫婦のみ世帯の割合です。この割合は2020年の25.4%から、2045年には31.7%へと上昇します。

つまり、高齢者のみで構成される世帯が、全体の3割を超えていくのです。

要介護認定を受けている人はどうでしょうか。厚生労働省の報告によれば、2024年には約720万人が介護認定を受けています。2024年7月末時点では、65歳以上の5人に1人が要介護または要支援の認定を受けている計算になります。

さらに、2030年には要介護認定者数が924.7万人でピークを迎えると予測されており、今後6年で約3割の増加が見込まれています。

介護費用も膨らみ続けています。2023年度の介護費用は前年度比2.9%増の11兆5139億円となり、過去最多を更新しました。介護保険制度が始まった翌年度の2001年度が4兆3000億円でしたから、約2.7倍に膨らんだことになります。

そして2025年度、団塊の世代がすべて75歳以上になるこの年、給付費は15兆円規模まで膨らむ見通しです。

この数字が意味するもの。それは、介護がもはや一部の家庭だけの問題ではなく、社会全体で向き合うべき構造的な課題になっているということです。

花王が動いた理由

洗剤、化粧品、ヘルスケア製品で知られる花王。この日用品メーカーが、なぜ今、介護領域に本格的に乗り出したのでしょうか。

実は花王と介護の接点は、今に始まったことではありません。大人用紙おむつ「リリーフ」は以前から展開していましたし、2008年からは社員の仕事と介護の両立支援にも取り組んできました。介護両立セミナーは2010年以降、毎年継続して開催し、のべ4,000人以上が受講してきたといいます。

つまり、花王は介護という領域を、単なる「市場」としてではなく、社会課題として認識してきた企業なのです。

2025年4月14日、花王は「介護のある暮らしに花王のできること」という包括提案を本格的にスタートさせました。これまでの製品別のアプローチから、カテゴリーを横断した提案へ。その転換には、明確な意図がありました。

花王のステートメントにはこう書かれています。

「介護は毎日の生活の小さなシーンの積み重ね。介護する方も、介護される方も、体力的にも精神的にも大変な毎日に、花王のできることは何だろう?」

ここには、製品を売りたいという企業の思惑よりも先に、介護に関わる人々の日常に寄り添いたいという姿勢が見えます。

具体的な提案内容を見てみましょう。大人用紙おむつ「リリーフ」、消臭剤「消臭ストロング」といった介護専用品はもちろんのこと、清掃負担を軽減する「クイックル」、入浴によるリラックスを促す「バブ」など、日常生活に寄与する家庭用製品もカテゴリーを超えて紹介されています。

「大変だったことが少しでもラクになるような、頼れる商品。できないと思っていたことが自分でできるようになる、アシスト商品」

これが花王の掲げるコンセプトです。

専用のウェブサイトでは、各製品が役立つ具体的な生活場面を紹介するとともに、介護に関する記事も掲載しています。日々介護に携わる人や、これから介護を始める人に向けた情報発信の場としても機能させようという狙いがあります。

企業が介護に参入する意味

ここから先は

4,220字
この記事のみ ¥ 300
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

1700本以上の有料コンテンツを読み放題にしたお得なパック!!。毎月50本以上の新規コンテンツを追加…

熟成プレミアムプラン(有料記事 読み放題パック) 

¥580 / 月

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー

ありがとうございます!引き続きよろしくお願いいたします!