「算定できる」と「請求できる」は別の通知で動く。令和8年熊本地震、8月レセプトが詰まる位置:8月10日請求までに事業所が確かめる四つのこと
「算定できる」と「レセプトを送れる」は別の通知で動く。熊本の介護請求は、どこで詰まるのか
宇城と氷川で震度7、避難所で続いた支援を8月請求へどう落とすか。ケアマネと管理者の確認事項
2026年7月28日、熊本県宇城市と氷川町で最大震度7を観測した令和8年熊本地震が発生しました。翌29日、厚生労働省と熊本県から、被保険者証の提示、介護報酬の柔軟な取扱い、被災した要介護高齢者等への対応に関する事務連絡3本が出そろっています。ただし、事業所の関心が集中するレセプトの具体的な請求実務、たとえば伝送不能事業所の代替方法や概算請求の可否については、まだ示されていません。この2つの通知はいつも別の速度で降りてくる。その時間差の中で、事業所が今日から動かせることはどこまでで、動かしてはいけない部分がどこから始まるのかを整理します。

どーも、セオドアアカデミーです。
まず、令和8年熊本地震で被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。厳しい環境のなかで、利用者、患者、家族の暮らしを支え続けている医療、介護、障害福祉、行政、地域の皆さまに、深く敬意を表します。
今回のNOTEは2026年7月29日午前時点で公表された情報を基に整理したものです。
事務連絡、伝送方法、請求期限に関する情報は今後刻々と変化します。
実務判断にあたっては、必ず厚生労働省、熊本県、市町村、熊本県国保連から発出される最新の通知をご確認ください。
通知は2種類ある。「サービスを続けてよい」と「レセプトをどう送るか」
熊本県高齢者支援課のページには、7月29日追記として、7月28日付の厚生労働省事務連絡が3本掲載されました。介護報酬の柔軟な取扱い、被災した要介護高齢者等への対応、被保険者証の提示等に関するものです。厚生労働省の「令和8年熊本地震について」特設ページは第11報まで公開が確認できています。
この段階で示されたのは、「目の前の利用者の命と生活を守るための、サービス提供上の特例」です。
被保険者証や負担割合証がなくても、氏名、生年月日、住所、保険者、要介護度などを聞き取ることでサービスを利用できる。
認定審査会が開けなければ暫定ケアプランで対応でき、更新申請が間に合わない場合も更新申請があったものとみなせる。
人員不足や定員超過があっても、当面の間、直ちに減算しない。
避難所や親族宅で提供した居宅サービスも算定できる。
月額包括報酬は、休業日を差し引いた日割りで算定できる。
福祉用具は、滅失や破損があれば再貸与や再購入ができる。
ケアマネジャーが訪問できなくとも、電話等での確認と居宅介護支援経過への記録で代替できる。
方向性はきわめて明確です。制度上「算定を止めない」ための道具立ては、災害発生の翌日に出ています。
一方で、事業所の管理者と事務担当が最も知りたいのは、次のようなことです。
8月10日の介護給付費請求期限は延長されるのか。
伝送環境が使えない事業所は、書面請求やCD-R請求が認められるのか。
前月実績を基にした概算請求は可能か。
給付管理票とサービス実績が食い違う場合、返戻はどう扱われるのか。
利用者負担減免の対象者について、明細書はどう記載するのか。
避難元と避難先の請求主体は、どちらが持つのか。
2026年7月29日午前時点で確認できた範囲では、熊本県国保連の介護保険課ページに、今回の地震に限定した特別案内はまだ掲載されていません。通常の請求スケジュール、伝送方法、返戻対応の案内はあるものの、災害請求の実務詳細は、これから順次発出される見込みです。
なぜ、いつも同じ順番で通知が降りてくるのか
過去の大規模災害を振り返ると、この順序はほぼ一定です。まず「サービス提供を止めるな」という基準緩和の事務連絡が動き、その後、数日から数週間の遅れで「請求はこう扱う」という国保連向けの実務案内が続きます。
理由はおそらく2つあります。1つは、目の前の高齢者、障害児者、患者の安全確保が最優先されるため。もう1つは、請求実務の変更は、国保連の審査ロジック、事業所の請求ソフト、市町村の給付管理システムをまたぐ調整が必要で、時間がかかるためです。
ここで問題になるのは、事業所側にはこの2種類の通知が同時期に来ているように見えることです。「柔軟に扱ってよい」と読めば、通常どおり請求すれば通ると誤解しやすい。しかし現実には、算定してよい提供実績を、8月10日前後の請求サイクルにどう乗せるかは、まだ答えが出ていない部分が多い。
「算定できる」という結論から、「請求できる」という結論を先取りしないこと。ここが、この1週間の判断の分かれ目になります。
今回概要まとめ図
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