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#429 アメリカの裁判では市民が有罪・無罪を決める?

映画や海外ドラマを見ていると、

「陪審員の皆さん、評決をお願いします」

という場面を見かけることがあります。

法廷の後ろに座っていた一般市民たちが別室に移動し、

「有罪」
「無罪」

について話し合うシーンです。

近年では、トランプ大統領をめぐる陪審院による裁判も話題になりました。

多くの日本人は、

「最後は裁判官が判決を出すのでは?」

と思うかもしれません。

しかし実は、アメリカでは陪審員と呼ばれる一般市民が有罪・無罪を決める裁判が存在しているのです。

陪審員とは何をする人たちなのか?

アメリカの刑事裁判では、「陪審員(ばいしんいん)」と呼ばれる一般市民が選ばれることがあります。

陪審員は法律の専門家ではありません。

会社員や学生、自営業者など、ごく普通の市民です。

裁判では、

・検察側の主張
・弁護側の主張
・証人の証言
・証拠

などを聞いたうえで、

「被告人は有罪か無罪か」

を判断します。

つまり、有罪・無罪という裁判の最も重要な部分を市民が決めるのです。

では裁判官は何をしているのか?

ここで疑問が浮かびます。

「それなら裁判官は必要ないのでは?」

実際にはそんなことはありません。

アメリカの裁判でも裁判官は重要な役割を担っています。

裁判官は、

・裁判の進行
・法律の説明
・証拠を採用するかどうかの判断
・法廷の秩序維持

などを担当します。

そして陪審員が有罪と判断した場合には、裁判官が刑罰を決めます。

つまり、

陪審員=有罪か無罪かを決める

裁判官=法律の専門家として裁判を管理する

という役割分担になっているのです。

なぜ市民に判断させるのか?

では、なぜアメリカはこのような制度を採用しているのでしょうか。

その背景にはアメリカの歴史があります。

アメリカはもともとイギリスの植民地でした。

しかし18世紀に独立戦争を経て独立します。

当時の人々は、

「権力は信用しすぎてはいけない」

と考えていました。

もし政府や裁判官だけに裁判を任せると、不当な判決が出されるかもしれません。

そこで、

「市民は市民によって裁かれるべきだ」

という考え方が重視されるようになったのです。

陪審制度は、国家権力を監視する仕組みの一つでもあります。

すべての裁判で陪審員が登場するわけではない

ただし、

「アメリカでは必ず市民が有罪・無罪を決める」

というわけではありません。

被告人が陪審裁判を希望しない場合や、一部の事件では裁判官だけが判断することもあります。

では、なぜ陪審裁判を選ばないのでしょうか。

陪審員は一般市民であるため、判断が予測しにくいという特徴があります。

被告人によっては、

「法律の専門家である裁判官の方が冷静に判断してくれる」

と考えることもあるのです。

また、アメリカでは司法取引が広く行われています。

司法取引とは、

「罪を認める代わりに刑を軽くする」

という制度です。

検察官と被告人が合意すれば、陪審裁判そのものが開かれない場合もあります。

実は陪審裁判は少数派?

しかし、実際には、多くの事件が陪審裁判まで進みません。

アメリカ連邦裁判所の統計では、近年は90%以上の刑事事件が司法取引によって解決されていると言われています。

つまり、

「市民が有罪・無罪を決める制度」

は確かに存在するものの、実際に陪審員が評議する事件は少数派なのです。

有名な制度だからといって、日常的に使われているとは限らないのです。

日本はなぜ違うのか?

一方、日本では長い間、裁判官が有罪・無罪を判断してきました。

日本にも戦前、一時的に陪審制度が存在していました。

しかし利用者は少なく、戦争中に事実上停止されます。

その後も復活することはありませんでした。

代わりに2009年から始まったのが裁判員制度です。

裁判員制度では、

裁判官3人
裁判員6人

が一緒に話し合い、

有罪・無罪と量刑を決めます。

つまり、

アメリカ
→ 市民が有罪・無罪を判断

日本
→ 市民と裁判官が共同で判断

という違いがあるのです。

裁判制度から見える国の価値観

私たちは、

「裁判官が有罪・無罪を決める」

ことを当たり前だと思っています。

しかし世界に目を向けると、それは決して当たり前ではありません。

アメリカでは、市民が有罪・無罪を判断するという仕組みが今も重要な役割を果たしています。

その背景には、

「国家権力を信用しすぎてはいけない」

という歴史的な価値観があります。

裁判制度は単なる法律の仕組みではありません。

その国が、

「誰を信頼するのか」

「権力と国民の関係をどう考えるのか」

を映し出す鏡でもあります。

アメリカの陪審制度を知ると、私たちが当たり前だと思っている日本の裁判制度も、違った角度から見えてくるのかもしれません。

【目次】

【参考】


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