#476 古墳の数はコンビニより多い?
日本にはコンビニがたくさんあります。
その数は全国で約5万5千店。
では、日本には古墳が何基あるか知っていますか。
実は、日本全国には約16万基もの古墳があるとされています。
つまり、コンビニのおよそ3倍もの古墳が今も残っているのです。
しかし、本当に面白いのは数の多さではありません。
「どこに古墳が多いのか」を見ていくと、古代日本の歴史やヤマト王権の広がりが見えてきます。
古墳とは?
古墳とは、およそ3世紀後半から7世紀頃にかけて造られた有力者のお墓です。
この時代は「古墳時代」と呼ばれています。
古墳には、
円墳(円形)
方墳(四角形)
前方後円墳(前が四角、後ろが円)
など、さまざまな形があります。
中でも前方後円墳は、日本独自のお墓の形として知られています。
古墳からは、
埴輪(はにわ)
鉄製の武器
鏡
勾玉(まがたま)
馬具
などが見つかっており、当時の政治や文化、人々の暮らしを知る重要な手がかりになっています。
古墳が多い都道府県ランキング
では、古墳はどの都道府県に多いのでしょうか。
上位10位は次の通りです。
1位兵庫県18,707基
2位鳥取県13,505基
3位京都府13,103基
4位千葉県12,772基
5位岡山県11,880基
6位広島県11,334基
7位福岡県10,759基
8位奈良県9,663基
9位三重県7,128基
10位岐阜県5,218基
ここで意外なのは、「古墳といえば大阪」というイメージがあるにもかかわらず、大阪府は13位ということです。
実は大阪府は、古墳の数ではなく「大きさ」で全国を代表する地域なのです。
古墳が多い地域には共通点がある
ランキングを見ると、
兵庫県、京都府、岡山県、広島県、福岡県、奈良県など、西日本の府県が多く並んでいます。
これは偶然ではありません。
古墳時代、日本の政治や文化の中心は近畿地方にありました。
また、中国や朝鮮半島との交流も九州北部から瀬戸内海沿岸を経て近畿へと続いていました。
この地域には多くの豪族が勢力を持ち、それぞれが自らの権力を示すために古墳を築いたのです。
つまり、古墳が多い地域は、古代日本の政治や文化の中心地だった地域でもあると言えます。
一方、ランキング4位には千葉県が入っています。
これは、当時のヤマト王権にとって房総半島が東国へ勢力を広げる重要な交通の要衝だったため、有力な豪族が分布し、多くの古墳が築かれたことが影響していると考えられています。
大阪は「数」ではなく「大きさ」が日本一
では、なぜ「古墳といえば大阪」という印象があるのでしょうか。
その理由は、大阪府には世界最大級の古墳が集中しているからです。
代表的なのが「仁徳天皇陵古墳(大仙古墳)」です。
全長は約486メートル。
エジプトのピラミッドや中国の始皇帝陵と並ぶ、世界最大級のお墓の一つとされています。
さらに大阪府には「百舌鳥・古市古墳群」があり、2019年には世界文化遺産にも登録されました。
つまり大阪は、古墳の数では兵庫県などに及ばないものの、「巨大古墳の中心地」だったのです。
古墳がほとんどない県もある
一方で、日本には古墳がほとんど存在しない地域もあります。
例えば、
北海道 0基
青森県 0基
秋田県 0基
沖縄県 2基
となっています。
これにも歴史的な理由があります。
古墳時代、ヤマト王権の勢力は全国へ広がりつつありましたが、その支配が及んでいた範囲には地域差がありました。
北海道では縄文文化を受け継ぐ続縄文文化が発達し、本州とは異なる歴史を歩んでいました。
また、青森県や秋田県など東北北部は、当時「蝦夷(えみし)」と呼ばれる人々が暮らす地域で、ヤマト王権の支配はまだ十分には及んでいませんでした。
沖縄も本州とは異なる文化圏にあり、後の琉球文化へとつながっていきます。
つまり、古墳がある地域は「ヤマト王権の影響が及んだ地域」と考えることができるのです。
古墳は「古代日本の勢力図」
古墳を見ると、
どこに有力豪族がいたのか
人口がどこに集中していたのか
中国や朝鮮半島との交流がどこで盛んだったのか
といったことが分かります。
つまり古墳は単なるお墓ではありません。
古代日本の政治や文化の広がりを示す「歴史の地図」でもあるのです。
教科書では「古墳時代」という一つの時代として学びますが、古墳の分布を見てみると、当時の日本がどのように発展していったのかがより具体的に見えてきます。
おわりに
「古墳の数はコンビニより多い?」
その答えは、「本当」です。
日本には約16万基もの古墳があり、全国のコンビニのおよそ3倍も存在しています。
しかし、本当に興味深いのはその数ではありません。
古墳がどこに多く、どこに少ないのかを見ることで、
古代日本の政治の中心
ヤマト王権の勢力範囲
地域ごとの歴史や文化の違い
まで見えてきます。
社会科では古墳を「昔のお墓」と覚えるだけになりがちですが、その分布には古代日本の歴史そのものが刻まれています。
地図の上に古墳を重ねてみると、日本列島がどのように統一され、文化が広がっていったのかが見えてきます。
古墳は、日本列島に残された約1,500年前の「歴史の証拠」なのです。
【目次】
【参考】
