ミーのこと
子供の頃、実家には常に動物がいた。犬や猫、金魚、インコ。私は引っ越しして以降、ずっと同年代の友達がいなかったので、長い間彼らが私の友達だった。
今でも覚えている錆色の猫のことは、過去に記事にしたことがある。その猫がうちに居着く前に実家で飼っていた茶白の雄猫ミーには、実はあまり逸話がない。というのも、ミーは自らの縄張り(実家の周囲)を守るために常に家の外で喧嘩に明け暮れており、家にはほとんど帰らなかったからだ。
ミーを家猫にしようと、家族で何度も試みた。外に出さないように注意していても、何か外の気配の変化を感じ取るのか、夕方になると外に出せと鳴き喚く。昼間、陽だまりの中で丸くなって眠ることがあるのに、夕暮れ時には一瞬の隙をついて目にも止まらぬ早技で外に出てしまう。その度にご飯を持ってミーの名前を呼びながら、周囲を探し回った。
当時実家の周りには強い野良猫の集団がいたため、ミーはその連中と喧嘩ばかり繰り返していた。野良猫グループにとっては、ミーは新参者であり、そのくせ喧嘩っ早い若い雄猫。喧嘩相手にするには不足がなかったのだろう。
彼らの喧嘩は凄まじかった。夜通しギャンギャン鳴いている時もあり、もう数えきれないほど夜中にミーを探し回った。探したところで捕まえられなかったのだが。
ミーは、ある日背中に大きな傷を負って帰ってきた。さすがにミーをこれ以上絶対に外に出してはいけないと、私も家人も努力した。野良猫グループがうちの庭先にまでやってきた時には、私が布団たたきを振り回して追い払った。といっても、彼らは、小さな子供が腕を振り回したぐらいではびくりとも動かない。仕方なく私は大声を出して威嚇しつつ、地団駄を踏んで腕を振り回した。決して、猫たちに危害を加えることはしていない。知らない人が見れば、気が触れた子供が暴れているように見えただろう。野良猫グループはのっそりと家の庭から出て行った。
地域猫を保護するという考えは、当時子供だった私にはなかった。我が家のミーを守るだけで頭がいっぱいいっぱいだったのだ。
ミーを病院に連れて行き、治療もしてもらったのだが、怪我を負ってから最期の数日間、ミーは家で静かに過ごした後眠るように亡くなった。
ミーについては、とても後悔が残った。徹底して家猫にするべきだった。だが当時実家周辺は自然が多く、野良猫も野良犬もたくさん住んでいたため、ミーのように地域猫とトラブルを起こすケースもあったと思う。
ミーよ、次は喧嘩しない猫生を送っておくれ。家の中でおとなしくしとるんよ。
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