【ぼくのかんがえたさいきょうの資格持ち】知識の地図を全部持たせたら、どんな怪物人材が生まれるのか
PMP、CISSP、ITストラテジスト、公認会計士、社会保険労務士。
世の中に存在する強そうな資格を、一人の人間へ限界まで装備させたら、どんな怪物ができあがるのでしょうか。
わおーん!
考えるだけで、資格欄が強い。
履歴書を開いた採用担当者が、そっと姿勢を正すレベルです。
もちろん、資格を持っているからといって、必ず仕事ができるとは限りません。
知識があること。
その知識を使って判断できること。
実際に手を動かせること。
人を巻き込み、組織として成果を出せること。
さらに、新しい方法論を作れること。
これらは、似ているようで全部違います。
なので今回は、実務能力を一旦きれいに横へ置きます。
見るのは、ひたすら知識面だけです。
開発、品質、セキュリティ、プロジェクト管理、財務、法務、人事、経営。
各分野の資格を限界まで盛ったら、その人はどんな知識を持ち、どこまで広い範囲の問題を理解できるようになるのか。
題して、
ぼくのかんがえたさいきょうの資格持ち
資格を装備品にして、人材ビルドを作るワン。
なお、あくまで知識面の話だワン。
実務で無双できるとは言っていないワン。
ここは大事なので、先にしっぽを振りながら念押ししておくワン。
以前、「資格は地図である」と書きました
以前、資格について、こんな記事を書きました。
この記事では、資格を「自分の強さを証明する称号」ではなく、ある分野にどんな概念や論点が存在するのかを示してくれる知識の地図として捉えました。
資格試験のシラバスには、その領域で重要とされる知識が、ある程度体系的に整理されています。
プロジェクトマネジメントの資格なら、計画、リスク、品質、調達、ステークホルダーなどの地図が手に入ります。
セキュリティ資格なら、脅威、脆弱性、認証、暗号、ガバナンス、インシデント対応などの地図が手に入ります。
会計資格なら、企業活動を数字で読み解くための地図が手に入ります。
つまり資格とは、
「この世界には、こんな山や川や崖がありますよ」
と教えてくれるものです。
では、その地図を大量に重ねたらどうなるのでしょうか。
技術の地図。
品質の地図。
管理の地図。
財務の地図。
法務の地図。
人と組織の地図。
経営の地図。
全部持たせたら、見えている世界の広さが、とんでもない人間になるのではないか。
地図を背負いすぎて、ワンコのリュックがパンパンです。
今回は、そんな妄想を本気でやります。
わおーん!
最初に大事な注意事項だワン
本記事で評価するのは、各資格の出題範囲や認定要件から推定できる知識体系です。
実際の業務遂行能力、判断力、対人能力、創造性、人格、成果を保証するものではありません。
「資格を持っている」という事実から、比較的推定しやすいのは、主に次の範囲です。
その分野の主要な用語を知っている
重要な概念や原則を理解している
典型的な問題と解決手法を知っている
論点を一定の枠組みで整理できる
試験で問われる範囲について学習した
一方、資格だけでは、次のことまではわかりません。
本当にその仕事ができるか
修羅場で正しく判断できるか
現実的な落としどころを作れるか
他人へわかりやすく説明できるか
嫌われずに組織を動かせるか
知識を成果へ変換できるか
地図を持っていても、山を登ったことがあるとは限りません。
地図を読むのが得意でも、体力があるとは限りません。
コンパスを持っていても、なぜか崖へ向かって全力疾走する人もいます。
止まるワン!
そっちは崖だワン!
人間、奥深いワン。
なお、本記事では厳密な意味での資格だけでなく、体系的な知識の地図として機能する学位や認定も、一部「装備」として扱います。
「MBAは資格じゃないぞ」とツッコまれる前に、犬小屋の入口へ注意書きを貼っておくワン。
資格のレベルはどう測るのか
IT分野には、IPAが公開している**ITスキル標準(ITSS)**があります。
ITSSでは、IT人材の能力をレベル1からレベル7までで表現しています。
おおまかに整理すると、次のような構造です。
| レベル | ランク | おおまかな位置づけ |
| :--- | :--- | :--- |
| **7** | **世界レベル** | 国際的に認められ、市場や方法論を牽引する |
| **6** | **国内トップ** | 国内市場で認められるハイエンドプレーヤー |
| **5** | **企業内エース** | 企業内で認められるハイエンドプレーヤー |
| **4** | **高度専門職** | 高度な知識と技能を持つプロフェッショナル |
| **3** | **自立したプロ** | 要求された作業を独力で遂行できる |
| **2** | **次世代の担い手** | 上位者の指導を受けながら、一定範囲の作業を担当する |
| **1** | **エントリー** | 情報技術に関する最低限の基礎知識を持つ |IPAのITSSは、単なる試験知識ではなく、専門分野において実際に価値を生み出す能力や実績まで含めて評価する枠組みです。
したがって、難関資格を何個取得しても、それだけでITSSレベル5、6、7になるわけではありません。
また、IPAの情報処理技術者試験では、基本情報技術者試験がレベル2、応用情報技術者試験がレベル3として位置付けられています。
つまり、
レベル4資格を5個持っているから、俺の戦闘力はレベル20だ!
とはなりません。
残念だワン。
足し算した瞬間に、人材評価ではなく『ドラゴンボール』になります。
資格証を5枚集めても、突然金色に光り出したりはしません。
そこで本記事では、ITSSをそのまま資格評価へ流用せず、記事用の独自尺度を作ります。
シバ丸式・資格知識レベル
| 知識LV | ランク | 状態 |
| :--- | :--- | :--- |
| 1 | **初学者** | 用語や基本概念を知っている |
| 2 | **実践者** | 定型的な業務の原理と手順を理解している |
| 3 | **応用者** | 複数の知識を組み合わせ、問題を整理できる |
| 4 | **専門家** | 特定分野を体系的かつ専門的に理解している |
| 5 | **統合者** | 複数の専門分野を横断し、設計や助言ができる |
| 6 | **統括者** | 技術、管理、組織、経営を統合して考えられる |
| 7 | **先導者** | 新しい方法論や知識体系を生み出し、社会へ影響を与える |レベル4までは、個別資格からある程度推定できるものとします。
レベル5以上は、資格の組み合わせによって生まれる知識の接続状態です。
ただし、実務能力まで含めてレベル5以上だと認定するものではありません。
あくまで、
この人、知識の地図だけ見れば、こんな広域まで見えているのでは?
という妄想です。
実際に歩けるかは別だワン。
走れるかも別だワン。
会議でちゃんと話をまとめられるかは、もっと別だワン。
では、さっそく怪物を作っていきましょう。
わおーん!
ビルド1:開発エンジニア完全体
まずは、開発エンジニアです。
単にコードを書けるだけではありません。
アプリケーション、データベース、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、品質、AIまで理解した、技術系全部盛りエンジニアを作ります。
あれも乗せるワン。
これも乗せるワン。
全部乗せるワン。
装備資格
システムアーキテクト試験
データベーススペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験
情報処理安全確保支援士試験
AWS Certified Solutions Architect – Professional
CISSP
JSTQB Advanced Level系(Test Analyst/Technical Test Analyst/Test Management)
E資格
統計検定準1級
資格欄の時点で、すでに圧が強い。
履歴書の資格欄が足りず、別紙が必要になります。
面接官が資格欄を読み終わる前に、面接時間が半分終わる可能性があります。
この人が持っている知識の地図
システム設計
システムアーキテクトによって、業務要求をシステム要件へ変換し、全体構造を設計するための知識を持ちます。
データ
データベーススペシャリストによって、データモデル、正規化、トランザクション、性能、可用性、データ管理などを理解します。
ネットワーク
ネットワークスペシャリストによって、通信プロトコル、ルーティング、冗長化、性能、障害、ネットワークセキュリティなどを理解します。
セキュリティ
情報処理安全確保支援士とCISSPによって、技術的な防御だけでなく、リスク管理、ガバナンス、セキュリティ運用まで広く理解します。
クラウド
AWSの上位アーキテクト資格によって、可用性、拡張性、コスト、移行、セキュリティを踏まえたクラウド設計の知識を持ちます。
品質
JSTQB Advanced Level系によって、テスト分析、技術観点のテスト設計、品質リスク、欠陥管理、テスト活動の管理などを理解します。
AI・統計
E資格と統計検定準1級によって、機械学習、深層学習、モデル評価、確率統計、データ分析などを理解します。
地図を重ねると、何ができるのか
知識面では、次のような人物になります。
業務要求をシステム構成へ落とし込める
アプリケーション、データ、通信、クラウドを横断して設計できる
セキュリティを後付けではなく、設計段階から組み込める
品質リスクを踏まえて、テストしやすい構造を考えられる
AI導入に必要なデータ、モデル、評価方法を理解できる
技術選定について、性能、コスト、運用、品質、セキュリティの利点と欠点を説明できる
システムのどこが壊れやすいかを複数の観点から推定できる
例えば、処理速度が遅いシステムを改善するとします。
この人は、いきなり、
サーバーのスペックを上げればいいワン!
とは言いません。
アプリケーションの処理。
データベース設計。
ネットワーク遅延。
クラウド構成。
セキュリティ制御。
テスト方法。
どこに本当のボトルネックがあるのか、地面の匂いを嗅ぎながら探し始めます。
優秀な調査犬です。
シバ丸式評価
| 評価軸 | 評価 |
| :--- | :--- |
| 知識の深さ | 5 |
| 知識の広さ | 5 |
| 分野横断力 | 4 |
| 意思決定範囲 | 3 |
| 取得難易度 | 5 |
| 資格欄の威圧感 | 5 |知識LV:5
複数の技術分野を横断し、システム全体を設計・評価できる知識ビルドです。
一言でいうなら、
作れる、守れる、試せる、運用も考えられる、AIにも手を出せる超広域テクニカルアーキテクト
です。
わおーん!
強い。
知識面では、とても強いワン。
ただし、この人が実際に読みやすいコードを書くかどうかは不明です。
設計思想を語るのに夢中になり、プルリクエストが三週間止まる可能性もあります。
知識はすごいワン。実装速度は知らんワン。
ビルド2:プロジェクトマネージャー完全体
次はプロジェクトマネージャーです。
よくあるPM像は、進捗を確認し、課題を一覧化し、会議を開き、偉い人へ報告する人です。
しかし、最強ビルドでは足りません。
計画、品質、要求、リスク、アジャイル、PMO、監査、契約、サービス管理まで盛ります。
PM犬に、次々と装備をくくり付けていきます。
装備資格
PMP
プロジェクトマネージャ試験
PgMP
PfMP
PMI-ACP
PMI-PMOCP
PMI-PBAまたはCBAP
PMI-RMP
CRISC
CISA
JSTQB Advanced Level Test Management
ITIL Strategic Leader
なんということでしょう。
「進捗どうですか?」と聞くだけだったPMが、見るからに面倒そうなPMへ生まれ変わりました。
首輪に資格証がぶら下がりすぎています。
この人が持っている知識の地図
プロジェクトマネジメント
PMPとプロジェクトマネージャ試験によって、計画、スコープ、スケジュール、コスト、品質、資源、リスク、調達、ステークホルダー、ガバナンスなどを理解します。
プログラム・ポートフォリオ管理
PgMPによって、複数の関連プロジェクトを束ね、個別案件だけでは得られない便益や戦略的成果を実現するためのプログラム管理を理解します。
PfMPによって、複数のプロジェクト、プログラム、定常業務などを組織戦略と照らし合わせ、何へ人・金・時間を配分するべきかを判断するポートフォリオ管理を理解します。
一つの案件を正しく進めるだけではありません。
複数案件をまとめて成果を出し、最後には、
そもそも、この案件は会社として実施する価値があるのかワン?
と聞き始めます。
わおーん!
PM犬が、ついに経営会議の扉を前足で開け始めました。
アジャイル
PMI-ACPによって、反復型・適応型の進め方、チーム協働、継続的改善、価値提供などを理解します。
PMO
PMI-PMOCPによって、PMOの設計、運営、価値提供、組織成熟度、ステークホルダーとの関係などを理解します。
要求分析
PMI-PBAまたはCBAPによって、要求の抽出、分析、優先順位付け、トレーサビリティ、価値評価などを理解します。
リスク・統制
PMI-RMP、CRISC、CISAによって、プロジェクトリスクだけでなく、ITリスク、統制、監査、ガバナンスまで視野に入ります。
品質
JSTQB Advanced Level Test Managementによって、品質リスク、テスト戦略、欠陥管理、テスト組織などを理解します。
契約・法務
ビジネス実務法務検定1級によって、契約、取引、責任、企業法務上の主要論点を学びます。
地図を重ねると、何ができるのか
知識面では、次のような人物になります。
プロジェクトの計画と統制モデルを設計できる
予測型、アジャイル、ハイブリッド型を使い分けられる
要求の曖昧さや抜けを構造的に整理できる
プロジェクトリスクと事業リスクを接続できる
関連する複数案件を束ね、プログラム全体の便益を管理できる
組織戦略に照らして、どの案件へ人・金・時間を配分するべきかを考えられる
品質保証とテストを工程末期ではなく、計画段階から組み込める
契約、責任分界、監査、統制を踏まえて判断できる
個別案件だけでなく、PMOとして複数案件の共通問題を分析できる
「担当者が頑張る」以外の改善策を考えられる
例えば、納期遅延が起きたとします。
普通なら、
進捗が遅れています。頑張りましょう。
で終わるかもしれません。
このPM犬は終わりません。
要求変更。
契約上の責任分界。
品質基準。
リスク管理。
意思決定速度。
チーム構造。
どこに遅延の原因があるのか、資料の山を掘り返し始めます。
ここ掘れワンワン。
そこ、担当者個人の問題ではないかもしれないワン。
シバ丸式評価
| 評価軸 | 評価 |
| :--- | :--- |
| 知識の深さ | 4 |
| 知識の広さ | 5 |
| 分野横断力 | 5 |
| 意思決定範囲 | 4 |
| 取得難易度 | 5 |
| 会議で嫌な質問をする力 | 5 |知識LV:5
案件管理だけでなく、要求、品質、リスク、契約、統制、組織運営まで横断するビルドです。
一言でいうなら、
炎上案件を消火するだけでなく、複数案件を束ねて便益を回収し、最後には「そもそも、この案件は実施する価値があるのかワン?」と経営会議で聞き始める統治型PM
です。
わおーん!
おそらく進捗会議で、次のようなことを言います。
「進捗率70%とのことですが、その分母は何ですか?」
「テスト消化率は高いですが、重大リスク領域の網羅率はどうなっていますか?」
「その課題は担当者の努力不足ではなく、意思決定構造の問題ではありませんか?」
会議室の温度が2度ほど下がります。
誰かがそっとカメラをオフにします。
知識はすごいワン。会議が平和かどうかは知らんワン。
ビルド3:会社幹部・部門責任者完全体
ここからは、技術や案件の地図だけでは足りません。
人、金、組織、業務、統制をまとめて背負わせます。
ワンコのリュックが、急に重くなってきました。
部長、本部長、執行役員あたりに必要そうな地図を全部持たせます。
装備資格
中小企業診断士
日商簿記1級
ITストラテジスト試験試験
CGEIT
CISA
CIA
社会保険労務士
SHRM-SCP
Lean Six Sigma Black Belt(認定団体により要件は異なる)
ITIL Strategic Leader
ビジネス実務法務検定1級
この時点で、専門部署を何個分カバーするつもりなのか、本人へ確認したくなります。
「全部です」と返されたら、静かにおやつを渡しましょう。
この人が持っている知識の地図
経営戦略
中小企業診断士によって、経営戦略、組織、人事、財務、運営管理、マーケティング、法務、情報システムなど、企業経営全般を広く学びます。
財務・会計
日商簿記1級によって、財務会計、管理会計、原価計算などを理解します。
IT戦略
ITストラテジストとCGEITによって、ITを単なる設備ではなく、事業戦略、投資、ガバナンス、価値創出の観点から捉えます。
監査・統制
CISAとCIAによって、IT監査、内部監査、統制、リスク評価、改善提言などを理解します。
人・組織
社会保険労務士とSHRM-SCPによって、労務管理、人事制度、人的資本、人材戦略、組織課題などを理解します。
業務改善
Lean Six Sigma Black Belt相当の学習によって、プロセス測定、統計的な原因分析、ばらつきの削減、改善活動の進め方などを理解します。
サービス運営
ITIL Strategic Leaderによって、ITサービスを事業価値、組織変革、継続的改善と結び付けて考えます。
地図を重ねると、何ができるのか
知識面では、次のような人物になります。
事業戦略とIT投資を接続できる
財務諸表から企業活動の状態を読み取れる
部門の業務プロセスを測定し、改善できる
人事制度や労務リスクを踏まえて組織を設計できる
内部統制と監査の観点から、経営上の弱点を発見できる
部門単位の利益と、全社最適の違いを説明できる
改革案について、効果だけでなく、コスト、リスク、人への影響まで考えられる
「DXを推進しろ」という号令を、具体的な投資・組織・プロセスへ落とし込める
例えば、部門の採算が悪化したとします。
普通なら、
人が多い。減らそう。
となるかもしれません。
この本部長犬は、すぐには人を減らしません。
売上構造。
原価。
業務プロセス。
システム。
人員配置。
評価制度。
内部統制。
どこに構造的な問題があるのか、一つずつ鼻先で確認します。
人件費だけ見て、元気な犬まで犬小屋から追い出してはいけないワン。
シバ丸式評価
| 評価軸 | 評価 |
| :--- | :--- |
| 知識の深さ | 4 |
| 知識の広さ | 5 |
| 分野横断力 | 5 |
| 意思決定範囲 | 5 |
| 取得難易度 | 5 |
| 会議資料が分厚くなる危険性 | 5 |知識LV:6
技術、財務、人事、監査、法務、業務改善を統合し、組織レベルで考えられる知識ビルドです。
一言でいうなら、
技術、金、人、業務、統制を一枚の地図で見られる全部盛り本部長
です。
わおーん!
この人に組織課題を相談すると、
「人を増やしましょう」
だけでは終わりません。
業務量。
スキル構成。
評価制度。
権限配分。
プロセス。
システム。
予算。
内部統制。
そこまで全部確認し始めます。
相談した側が、
「そこまで大ごとにするつもりでは……」
と後ずさりする可能性があります。
知識はすごいワン。資料が84ページになるかもしれないワン。
ビルド4:経営者完全体
そして最後は経営者です。
部門の正解ではなく、会社全体として何を選び、何を諦めるのかを判断する地図を積み込みます。
経営戦略や財務だけでは足りません。
投資、法務、ガバナンス、サイバーセキュリティ、人材、不正、知的財産まで盛ります。
もはや犬小屋ではありません。
経営会議室です。
装備資格・学位
MBA(資格ではなく学位だが、経営知識の地図として装備)
CFA
USCPAまたは公認会計士
中小企業診断士
CGEIT
CISSP
CRISC
CIA
CFE
SHRM-SCP
知的財産管理技能検定1級(事業領域に応じた専門分野)
Lean Six Sigma Black Belt(認定団体により要件は異なる)
もはや一人の経営者ではありません。
経営会議の出席者全員を、一つの身体へ押し込んだ何かです。
鳴き声が重低音になっています。
わおおおーん!
この人が持っている知識の地図
経営
MBAと中小企業診断士によって、戦略、マーケティング、組織、事業運営、競争環境などを理解します。
財務・投資
CFAと会計系資格によって、財務分析、企業価値、投資判断、資本市場、会計、リスクなどを理解します。
ITガバナンス
CGEITによって、IT投資、経営戦略、価値、資源、リスクを経営レベルで扱います。
サイバーセキュリティ
CISSPとCRISCによって、情報セキュリティとITリスクを経営課題として理解します。
監査・不正
CIAとCFEによって、内部監査、不正リスク、調査、統制、ガバナンスを理解します。
人的資本
SHRM-SCPによって、人材戦略、組織能力、採用、育成、評価などを理解します。
知的財産
知的財産管理技能検定1級によって、選択した専門分野を中心に、特許、コンテンツ、ブランドなどの知的財産を事業活動と結び付けて考えます。
地図を重ねると、何ができるのか
知識面では、次のような人物になります。
事業ポートフォリオを評価できる
財務諸表と非財務情報を組み合わせて判断できる
投資の収益性とリスクを検討できる
IT投資を経営戦略と接続できる
サイバー攻撃を技術部門だけの問題として扱わない
不正、監査、内部統制、評判リスクを理解できる
人材を単なる人件費ではなく、組織能力として評価できる
知的財産を守るだけでなく、競争力として活用できる
成長投資と業務効率化のバランスを考えられる
例えば、新規事業へ投資するとします。
この経営者犬は、
なんか伸びそうだから、行くワン!
だけでは決めません。
市場性。
資本効率。
必要人材。
IT基盤。
法務。
知的財産。
サイバーリスク。
撤退条件。
おやつを一個買うだけでも、稟議書を書き始めそうな勢いです。
慎重すぎるワン。
だが、会社のお金なので、それくらいでよいのかもしれないワン。
シバ丸式評価
| 評価軸 | 評価 |
| :--- | :--- |
| 知識の深さ | 4 |
| 知識の広さ | 5 |
| 分野横断力 | 5 |
| 意思決定範囲 | 5 |
| 取得難易度 | 5 |
| 何者なのかわからなさ | 5 |知識LV:6
企業全体を、戦略、財務、IT、人材、監査、リスク、知的財産の観点から統合して捉えられるビルドです。
一言でいうなら、
決算書も、システム構成図も、人事制度も、監査報告書も読める全部盛り経営者
です。
わおーん!
取締役会で、財務担当役員、CIO、CISO、CHRO、監査役が説明する内容を、だいたい理解できてしまいます。
ただし、会社の将来を見通せるとは限りません。
知識が増えれば、未来が確定するわけではないからです。
そして、社員から好かれるかどうかも試験範囲外です。
知識はすごいワン。経営センスと人望は別売りだワン。
最終形態:資格界のラスボス
ここまで作った四つのビルドを、全部一人に載せてみましょう。
わおーん!
合体だワン!
技術経営完全体
以下は、重複を整理したうえでの最終装備です。
技術
システムアーキテクト
データベーススペシャリスト
ネットワークスペシャリスト
情報処理安全確保支援士
AWS Solutions Architect – Professional
品質・AI
JSTQB Advanced Level系
E資格
統計検定準1級
プロジェクト・プログラム・ポートフォリオ・業務分析
PMP
PgMP
PfMP
PMI-ACP
PMI-PMOCP
PMI-PBAまたはCBAP
PMI-RMP
リスク・監査
CISSP
CRISC
CISA
CIA
CFE
経営・財務・人事
MBA
CFA
USCPAまたは公認会計士
中小企業診断士
社会保険労務士
SHRM-SCP
戦略・法務・改善
ITストラテジスト試験
CGEIT
ビジネス実務法務検定1級
知的財産管理技能検定1級
Lean Six Sigma Black Belt
ITIL Strategic Leader
一覧を書いているだけで、こちらの呼吸が苦しくなってきました。
本人はもっと苦しいはずです。
更新費用と継続教育だけで、休日が絶滅しかねません。
この人物が見ている世界
| 領域 | 見えているもの |
| :--- | :--- |
| 技術 | アプリ、データ、ネットワーク、クラウド、AI |
| 品質 | 欠陥、品質リスク、テスト、改善 |
| セキュリティ | 脅威、脆弱性、統制、インシデント |
| プロジェクト | 計画、予算、品質、リスク、調達 |
| 業務要求 | 業務プロセス、価値、改善 |
| 組織 | 人材、労務、評価、組織能力 |
| 財務 | 会計、投資、企業価値、資本 |
| 法務 | 契約、責任、知的財産 |
| ガバナンス | 監査、不正、内部統制、経営責任 |
| 経営 | 戦略、競争、事業ポートフォリオ |同じ問題を、複数の角度から見ることができます。
例えば、新しいAIサービスを導入するとします。
普通なら、
便利そうだから使おう。
費用が高いからやめよう。
くらいで議論が終わるかもしれません。
しかし、この完全体は考えます。
事業戦略上の価値は何か
顧客へどんな利益があるか
必要なデータは何か
データ品質は十分か
モデルの評価方法は妥当か
セキュリティ上の問題はないか
個人情報や知的財産はどう扱うか
システム構成はどうするか
運用責任は誰が持つか
障害時にどう復旧するか
導入費用に見合う効果があるか
従業員の業務や役割はどう変わるか
内部統制や監査へどう組み込むか
失敗した場合、誰がどこまで責任を負うか
一つの議題に対して、論点が無限に湧きます。
わん。
わんわん。
わおおおーん!
強い。
強いのですが、会議が終わりません。
最終評価
| 評価軸 | 評価 |
| :--- | :--- |
| 知識の深さ | 5 |
| 知識の広さ | 5 |
| 分野横断力 | 5 |
| 意思決定範囲 | 5 |
| 取得難易度 | 測定不能 |
| 人生の残り時間 | 心配 |
| 採用担当者の困惑 | EX |知識LV:6+
技術、管理、組織、経営を統合して考えられる、妄想上の最終ビルドです。
ただし、レベル7とはしません。
レベル7は、既存の知識を大量に持っているだけでなく、新しい方法論や価値を生み出し、社会や市場へ影響を与える領域だからです。
資格を何十個積み上げても、資格だけで到達を判定することはできません。
地図を全部集めた人と、新しい地図を描いた人は違います。
地図を集めたワンコは優秀です。
だが、新しい道を切り開いたワンコは、もっとすごいワン。
難関資格を足しても、レベルは単純加算されない
ここも大事なところです。
仮にレベル4相当の資格を10個持っていたとしても、レベル40の人材にはなりません。
なってほしい気持ちはわかります。
わおーん!レベル40!
響きは強い。
しかし、人材の知識は、単純な足し算ではなく、次の三つで見るべきです。
1.深さ
一つの分野を、どこまで専門的に理解しているか。
2.広さ
どれだけ多くの分野をカバーしているか。
3.接続
異なる分野の知識を結び付けられるか。
資格をたくさん持っていても、それぞれが頭の中でバラバラなら、知識の倉庫です。
倉庫は広い。
だが、必要なものがどこにあるかわからない。
犬小屋の奥から、三年前のおもちゃだけ出てくる状態です。
技術と品質。
品質とプロジェクト管理。
プロジェクト管理と契約。
契約とリスク。
リスクと財務。
財務と経営戦略。
人事と組織能力。
これらを接続できたとき、初めて知識が立体的になります。
地図を何枚持っているかだけではありません。
地図同士の境界線がつながっているかが重要なのです。
「知っている」と「できる」の間には、深い谷がある
ここまで散々、最強人材を作ってきました。
しかし、忘れてはいけません。
資格から推定できる知識と、実際の能力の間には、かなり深い谷があります。
谷の向こうで、実務能力がこちらを見ています。
遠いワン。
知識から成果までの段階
用語を知っている
意味を説明できる
問題へ当てはめられる
選択肢を比較できる
現実的な判断ができる
実行できる
他人を巻き込める
継続的に成果を出せる
他人へ再現可能な形で教えられる
新しい方法論を作れる
資格試験が主に確認するのは、前半部分です。
実務経験を受験要件とする資格もありますが、それでも、実際の成果や人間関係まで完全に保証できるわけではありません。
だから、
資格を持っているのに仕事ができない人がいる
という話も成立します。
しかし同時に、
資格なんて何の意味もない
という話も雑です。
体系的な知識を持っている人と、何も知らずに経験則だけで進める人が、完全に同じであるはずもありません。
地図があっても登山には失敗します。
しかし、地図も天気予報も持たずに山へ入ることを、勇気とは呼びません。
それはだいたい遭難です。
救助犬を呼ぶことになります。
ワンコの仕事を増やさないでほしいワン。
最強なのは、資格数が多い人ではない
今回の妄想から見えてきたのは、最強なのは資格を最も多く持つ人ではない、ということです。
本当に強いのは、
自分が何を知らないのかを把握している
必要な知識体系を選べる
異なる分野の地図を接続できる
知識と現実の違いを理解している
必要に応じて専門家へ助けを求められる
学んだ知識を判断と行動へ変えられる
そんな人です。
資格は、自分を万能にしてくれる魔法ではありません。
しかし、自分が知らなかった世界の輪郭を教えてくれます。
一枚の地図だけでは、見える範囲は限られます。
技術だけでは、事業が見えないことがあります。
財務だけでは、現場が見えないことがあります。
経営だけでは、システムの壊れ方が見えないことがあります。
人事だけでは、業務プロセスが見えないことがあります。
しかし、複数の地図を重ねれば、同じ問題を異なる角度から見られるようになります。
それだけでも、判断の質は変わるはずです。
地図を持つワン。
地図をつなぐワン。
でも、歩くのは自分だワン。
まとめ:地図を全部持ったワンコは、たぶん荷物が重い
資格は称号ではなく、地図です。
今回作ったのは、その地図を限界まで背負わせた、妄想上の最強キャラクターです。
開発エンジニア完全体。
プロジェクトマネージャー完全体。
会社幹部完全体。
経営者完全体。
そして、すべてを合体させた技術経営完全体。
知識面だけでいえば、とんでもなく広い範囲を理解できる人物になります。
わおーん!
強いワン!
知識だけは、本当に強いワン!
ただし、資格を30個持っていても、現場で仕事ができるとは限りません。
人を動かせるとも限りません。
正しい判断ができるとも限りません。
そして、幸せとも限りません。
むしろ更新費用と継続教育だけで、休日が消滅する恐れがあります。
犬小屋に帰っても、継続教育の動画を見ています。
しっぽが下がっています。
なお、ここまで資格を盛った怪物人材を笑いながら書いている作者自身も、資格欄はそこそこ長いです。
人のことを笑っている場合ではありません。
なんなら、もう片足くらいは資格沼に入っています。
わおーん!
それでも、資格の一覧を眺めながら、
これとこれを組み合わせたら、こんな人材になるのでは?
と妄想するのは楽しいものです。
ゲームのスキルツリーと同じです。
全部取る必要はありません。
自分がどの方向へ進みたいのか。
どの地図を持っていて、どの地図が足りないのか。
それを考えるだけでも、資格を見る意味はあります。
ぼくのかんがえたさいきょうの資格持ち。
完成したら、会社で無双するかもしれません。
あるいは、会議で論点を出しすぎて、そっと招待を外されるかもしれません。
知識面では最強。
扱いやすさは、また別のお話だワン。
わおーん!
資格を「知識の地図」として捉えた前回の記事はこちらです。
今回の怪物へ進化する前に、まずは一枚ずつ地図を広げていくワン。
