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【Gorillaz The Mountain考察・幕間 #1】死者の声に導かれ、悲しみから立ち上がる|1〜4曲目まとめ

To Gorillaz fans around the world:

A mountain. A cave. A beautiful prison built inside the mind. And finally, a voice from the dead telling the living to stand up.

The first four songs of The Mountain may seem to tell very different stories. But when placed side by side, they begin to form a single spiritual journey.

Before we move on to "Orange County," let’s pause and trace the path so far.

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ここまで、『The Mountain』の冒頭4曲を順番に読み解いてきました。
この記事から読んでいただいても、ここまでの流れが分かるようにまとめています。

インド音楽と死者の声が交わる"The Mountain"。
死者との交信を試みる"The Moon Cave"。
明るい独裁国家を描く"The Happy Dictator"。
そして、愛する人との別れに耐えながら歩き出す"The Hardest Thing"。

一見すると、それぞれまったく異なる曲です。
しかし4曲を並べてみると、そこにはひとつの精神的な旅が浮かび上がってきます。

それは、死者に会うための旅であると同時に、純粋さを失ってしまった「私」が、再び自分自身を取り戻すための旅です。

なお、この記事はあくまで僕個人の解釈であり、公式見解ではありません。
今回はいったん山の途中で立ち止まり、ここまで歩いてきた道を振り返ってみたいと思います。


1曲目:The Mountain|死者と生者が交わる山

最初に示されたのは「山」でした。

"The Mountain"に登場する山は、死者と生者が共存し、善良な魂が安らぎに訪れる霊的な場所です。

そしてこの曲では、生者である2Dと、故デニス・ホッパーの声が共演します。
かつて『Demon Days』(2005)の"Fire Coming Out of the Monkey’s Head"で、破壊と欲望を描いたデニス・ホッパーの声が、20年以上の時を経て、今度は魂を安息へ導く声として戻ってきました。

また、この山は「人生のタフな旅路」のメタファーでもあります。

死や喪失を避けて通ることはできない。
それでも闇を通り抜けた先には、静寂と美しさがあるのかもしれない。

"The Mountain"は、そんな長い旅の入口です。

2曲目:The Moon Cave|死者の声を聞けなくなった私

山の次に「私」が向かったのは、その内側にある洞窟でした。
「私」は、「月の洞窟」で死者とつながろうと試みますが、それに失敗します。

"The Moon Cave"では、故ボビー・ウォマックや故トゥルーゴイの声が、洞窟の奥から響いてきます。

死者の声は、確かにそこにあります。
しかし「私」は、その声とつながることができません。
なぜなら「私」は、いつの間にか、「かつて絶対にならないと誓ったもの」になっていたからです。

僕はそれを、「純粋さを失ってしまった状態」だと思いました。
身体にまとった香水を洗い流すこと。
表面的な世界に流されないこと。
そして、死者の声に耳を澄ますこと。
この洞窟で「私」は、自分が失ってしまったものに初めて気づきます。

ただし、死者は「私」を見捨ててはいません。
彼らは、もう少しだけ待とうとしています。

"The Moon Cave"は、死者との交信に失敗する曲でありながら、同時に「まだ間に合う」と告げる曲です。
この曲は、「私」が人生のタフな旅に出なければならない理由を明らかにする曲なのだと思います。

3曲目:The Happy Dictator|純粋さを失わせる、美しい牢獄

続く"The Happy Dictator"では、物語の視点が個人の内側から社会へと広がります。

そこにあるのは、悪いニュースの存在しない明るい国です。
人々は夜ぐっすり眠り、心の宮殿は明るく照らされます。
しかし、その幸福を手に入れるために、人々は「自分で考える自由」を手放していきます。

不都合な現実を見ない。
権力者が用意した敵を信じる。
そして、与えられた幸福の物語を自分たちの声で歌う。
こうして完成する「心の宮殿」は、実は美しい牢獄なのかもしれません。

この曲に登場する「山と虹」も、本物の山ではなく、苦痛や闇を取り除いたポストカードのような山です。
"The Mountain"で示された山には、死も、喪失も、闇もありました。
しかし"The Happy Dictator"の山からは、それらがすべて消されています。

純粋さを失うとは、何か悪いものに染まることだけではない。
苦痛のないフィクションを選び、現実を見ることをやめることでもある。
僕にはこの曲が、"The Moon Cave"で「私」が死者とつながれなかった理由を、社会全体の姿として描いているように思えます。

4曲目:The Hardest Thing|悲しみを抱えたまま立ち上がる

物語は、再び個人の深い悲しみへ戻ります。
"The Hardest Thing"で歌われるのは、愛する人に別れを告げることの辛さです。

心の中では崩れ落ちそうになっている。
それでも人生の幕は上がり、日常は始まり、ステージに立たなければならない。

その曲の冒頭で、亡くなったトニー・アレンの声が遠くから響きます。
「さあ、立ち上がれ」
その声は、悲しみを消してはくれません。
喪失を乗り越える簡単な方法も教えてはくれません。
ただ、立ち上がれと呼びかけます。

ここで「私」は、まだ悲しみを受け入れたわけではありません。
純粋さを取り戻したわけでも、死者とつながれたわけでもありません。
それでも、崩れ落ちそうな心を抱えたまま、ようやく一歩を踏み出します。

ここまでの旅

ここまでの4曲を並べると、ひとつの流れが見えてきます。

"The Mountain"で、死者と生者が交わる山が示される。
"The Moon Cave"で、「私」は死者とつながれない自分に気づく。
"The Happy Dictator"で、現実を見ないことによって純粋さを失っていく人々が描かれる。
そして"The Hardest Thing"で、「私」は初めて、悲しみから逃げずに立ち上がろうとする。

つまりこの4曲で描かれているのは、
「悲しみから逃げている状態」から、
「悲しみを抱えたまま進もうとする状態」への変化なのだと思います。

そして、もうひとつ興味深いのが、死者の声の変化です。
最初にデニス・ホッパーが、山への入口を示す。
洞窟では、ボビー・ウォマックたちが「私」を待つ。
そしてトニー・アレンが、ついに「立ち上がれ」と呼びかける。

このアルバムに登場する死者は、過去を懐かしむためだけの存在ではありません。
彼らは生者の旅を見守り、時にはその背中を押す、能動的な存在として配置されているように思います。

『The Mountain』は死についてのアルバムです。
しかしここまで聴いて感じるのは、このアルバムが本当に描こうとしているのは、「死者がどこへ行くのか」だけではないということです。

死者を失ったあと、生きている者はどう生き直すのか。
その問いが、少しずつ物語の中心へ現れ始めています。

次回:Orange County

立ち上がったからといって、すぐに前へ進めるわけではありません。

次の"Orange County"は、"The Hardest Thing"と同じメロディや言葉を引き継ぎながら、その悲しみをさらに深く掘り下げていく曲です。

そこで「私」が向き合うのは、死者だけではありません。
現在の自分と、過去の自分。
前へ進みたい自分と、失ったものを手放せない自分。
その二人が、夕暮れのような淡い光の中で対話を始めます。

過去の自分は、本当に乗り越えるべき敵なのでしょうか。
それとも、もう一度愛する力を取り戻すために、迎えに行かなければならない存在なのでしょうか。

次回は、“Orange County”を読み解きます。


Thank you for walking this far with me.

The voice from the past has told us to stand up. But the next step may be even harder: turning toward the person we used to be.

In “Orange County,” the journey moves deeper from mourning the dead to confronting the self.

I hope you’ll join me for the next part of the journey.

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