【XG THE CORE 考察 #4】NO GOOD | 同じ歌詞なのに、なぜ曲が進むほど切なく聴こえるのか?
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XGがデビュー前から大切に温め続け、満を持して1stアルバム『THE CORE』の5曲目に収録された本格R&Bナンバー"NO GOOD"。
メンバーの極上のボーカルワークが堪能できるこの曲の裏側には、ちょっとダメな男を前に揺れ動く女性心理のグラデーションが隠されていました。
この曲の面白さは、Verseでは“私をbabyと呼ぶな”と突き放しているのに、Chorusでは自分から「ベイビー、一度だけ私に愛させて」と崩れてしまうところにあります。
「強気な上から目線のVerse」と「たまらずメロメロになるサビ」の鮮やかな反転から、"thang"や"stallion"といったスラングに仕込まれた大人の2重構造まで。
日本の音楽オタク視点で、メンバーの表現力の凄さを限界まで深読み・解説します。
長いので気になるところだけを読み飛ばしていただいても大丈夫です。
また、歌詞に水は出てきませんが、この曲のシンセの音に水中感があります。
水中でポッド的なものが上下移動する感じです。
3曲目"ROCK THE BOAT"は船上、4曲目”TAKE MY BREATH"は水面、5曲目のこの曲は水中で、やはり6曲目"HYPNOTIZE”の深海に向けて徐々に深くなっているように思います。
この曲は、ちょっとダメな男に好意を伝える曲です。
タイトルの"NO GOOD"のは「ダメ、役に立たない、使えない」という意味です。
歌詞の和訳と解説
Verse 1
[Jurin]
You be complicated, I ain't got no time to play
あなたって複雑、遊んでる暇はないの
「あなたって複雑」は、「まっすぐ私に向いてい
ない」というニュアンスです。
You can't call me baby if you keep acting that way
そんな態度を続けるなら、私をベイビーなんて呼ばないで
[Harvey]
I won't tell you twice, better make up your mind in life
二度言わない、人生で決心した方がいいよ
Better say what you need to say, you gon' be mad if I walk away
言いたいことがあるなら言って、私が去ったら怒るだろうから
今告白しないと後悔するよ、という意味です。
もたもたしている相手に「早く私に告白をして」と歌っています。
イントロがほぼなくJurinの歌声が飛び込んできます。
ビブラートしながら段階的に音程が下がるこのメロディーは、なかなかニュアンスが難しそうです。
曲が始まって数秒で「歌ウマ系R&B来た!」という印象を受けます。
Harveyも柔らかいローで聴かせます。
やりすぎない"Better say…"のエッジボイスが絶妙です。
Pre-Chorus
[Chisa]
You can try to find a type
あなたはタイプを探そうとするかもしれない
But they only made it one time
でもみな一度しか上手くいかなかった
You know it's me, it only gets better
それが私だって分かってるでしょ、私だけが良くなる一方
But I can't sit and wait forever
でも私は永遠に座って待つことはできない
「私以外の女性は長く続かない、あなたには私しかいない」と歌っています。
Pre-Chorusが凄くいい。
ライン毎にニュアンスを微妙に変えていて、練り上げて来たな〜って感じです。
Chorus
[Juria]
You ain't no good, I ain't gon' lie
あなたはダメな人、正直に言うと
You got me hoping, wish you would
期待してしまう、もしかしたらって
[Maya]
You know what's good and what I like
あなたは私が何が良くて何を好きか知ってるでしょ
私の気持ちを分かっていながら告白してこない
ことをもどかしく思っています。
So come and treat me like you should
だから私をちゃんと大切にして
[Hinata]
Oh, don't deny yourself a good life
あぁ、あなたの良い人生を否定しないで
「私と付き合わないと人生損する」という意味です。
Baby, let me love you one time
ベイビー、一度だけ私に愛させて
[Cocona]
You know I'm cool, you know I'm fly
私がイケてること、知ってるでしょ
You know I'm bringing you that time
あなたにその時をあげる
[Jurin]
You know what's good, know what you likе
あなたは自分が何が良くて何を好きか知ってるでしょ
I do my thang, I do that nice
私はすべきことをする、上手くやる
「私はあなたの望むことを上手にする人間だ」と
いうことです。「私たちは相性が良い」という
意味と、「あなたのセクシャルな願望に応える
つもりがある」という2重の意味が表現されてい
ます。
本来"do my thing"のところが"thang"になって
います。"thang"は"thing"を崩したスラングで、
性的な事を匂わす際に使われることがあります。
[Chisa]
So, baby, don't deny yourself a rеal good life
だからベイビー、あなたの良い人生を否定しないで
Baby, let me love you one time
ベイビー、一度だけ私に愛させて
あなたはさっさと告白しないから「ダメな人」だということです。
はっきりしない態度に彼女は「期待して」しまうので、自分をやきもきさせる悪い男という意味でも「ダメな人」です。
彼女はVerse 1で「私をベイビーなんて呼ばないで」と言っておきながら、Chorusではたまらず「ベイビー、一度だけ私に愛させて」と言ってしまいます。
彼のことが好きでたまらない感じです。
このchorusのメロディー、クセになるわぁ。
Verse 2
[Hinata]
I got everything you need so what's it gonna be?
あなたが必要なものはすべて私が持ってる、それでどうするの?
Ain't no other girl gon' love you like me, you see?
他の女の子は私ほどあなたを愛せない、そうでしょ?
[Maya]
I'm the best you ever had, I'm a stallion, I'm a swag
私はあなたが味わった中で最高の存在、魅力的で自信に溢れてる
"stallion"(スタリオン)は直訳すると「種馬」ですが、
「性的に魅力的で力強い女性」を指すスラングでも
あります。ここは「私はあなたが出会った中で最高
の存在」という意味に加え、やや官能的なニュアンス
も含んでいるように聞こえます。
Yeah, it's so good you need to throw it in a bag
うん、迷わず独り占めすべき
Chorusでは彼に対してメロメロでしたが、Verse 2では「それでどうするの?」と上から投げかけています。
この曲の構造は、Verseはやや上から目線、Chorusはやや下から目線の様です。
彼女の揺れる心が絶妙に表現されています。
Pre-Chorus
[Juria]
You can try to find a type
あなたはタイプを探そうとするかもしれない
But they only made it one time
でもみな一度しか上手くいかなかった
You know it's me, it only gets better
それが私だって分かってるでしょ、私だけが良くなる一方
But I can't sit and wait forever
でも私は永遠に座って待つことはできない
1回目のPre-Chorusはプラトニックなイメージでしたが、Verse 2の"stallion"(性的に魅力的で力強い女性)を経てPre-Chorusを聴くと、また違った印象があります。
「タイプを探す」「一度しか」「良くなる一方」といった歌詞が、もっとセクシャルな感じに響きます。
Chorus
[Cocona]
You ain't no good, I ain't gon' lie
あなたはダメな人、正直に言うと
You got me hoping, wish you would
期待してしまう、もしかしたらって
[Harvey]
You know what's good and what I like
あなたは私が何が良くて何を好きか知ってるでしょ
So come and treat me like you should
だから私をちゃんと大切にして
[Maya]
Oh, don't deny yourself a good life
あぁ、あなたの良い人生を否定しないで
Baby, let me love you one time
ベイビー、一度だけ私に愛させて
[Jurin]
You know I'm cool, you know I'm fly
私がイケてること、知ってるでしょ
You know I'm bringing you that time
あなたにその時をあげる
[Hinata]
You know what's good, know what you likе
あなたは自分が何が良くて何を好きか知ってるでしょ
I do my thang, I do that nice
私はすべきことをする、上手くやる
[Cocona]
So, baby, don't deny yourself a rеal good life
だからベイビー、あなたの良い人生を否定しないで
Baby, let me love you one time
ベイビー、一度だけ私に愛させて
最後のChorusです。
歌うパートがこんなに細かく変わると、ライブで間違えたりしないのかしら。
僕ごときが余計なお世話ですが。
Outro
[Chisa]
Don't deny yourself
自分自身を否定しないで
Baby, let me love you
ベイビー、私に愛させて
Don't deny yourself a real good life
本当の良い人生を自ら否定しないで
Baby, let me love you one time
ベイビー、一度だけ私に愛させて
Outroは、Chorusの歌詞の主要な部分を、「自分を拒否しないで」→「私に愛させて」の構造で2回歌います。
声はラジオ処理されて遠く、心の声の様です。
これは、彼に対して伝えているのではなく、想いのエッセンスが内省的に心の中で響いているのだと思います。
この曲の切ない想いを、心の声という余韻で終わらせるのはなかなか味わい深い終わり方です。
参考
この曲のShotGunDandyさんの解説動画です。
細かいスラング等にも触れていて、大変参考になります。
サウンドとプロダクション
プロデュースはJAKOPS、Chancellor。
作詞はJAKOPS、Chancellor、Scootie、Mychole Anderson、Scootie。
作曲はJAKOPS、Chancellor、Scootie、Mychole Anderson、Blush、Michael Fosterです。
2000年代R&B風の曲調です。
歌のメロディはとても分かり易い感じなのですが、ビートのシンセが凄く変わっています、なんか前衛的です。
この曲もまた、懐かしさと新しさが同居しています。
曲はいきなり歌が始まって、最後も歌で終わります。
他の曲にも増して、この曲の主役は歌です。
ビートもリズム以外は捉えどころがなく、リスナーは自然と歌にスコープします。
ゆったりとした心地よいグルーヴと、耳に残る聴き心地の良いメロディです。
ボーカルの良さを味わうのにぴったりな曲です。
メンバーそれぞれの「歌」がたっぷりと聴けて、耳が喜ぶ良曲です。
これはずいぶん前から温めてきた曲の様で、Jurinは下記の様にコメントしています。
これはデビュー前から取り組んできた大切な曲で、どうしても今回のアルバムに収録したかったんです。明るく軽快なグルーヴとメロディー、そしてこれまで歌ったことのないようなロマンチックな感情を描いた歌詞は、きっとリスナーの皆さんに気に入っていただけると思います。
はい、とても気に入りました。
ありがとうございます!
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます。
大変お疲れさまでした。
この『THE CORE』考察シリーズでは、アルバムを1曲ずつ深掘りしています。
続きはこちらです。
シリーズ全体はこちらから読めます。
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