M #06 モーニングムーン
「ごめんなさい」
しょぼんと俊也は謝った
「ま、こんなもんだと思ったよ」
そう言ってシャワーへ向かう明衣子の腰に大きな黒い蝶のタトゥーが見えた
酔って気づかなかったのか、暗くて見えなかったのか
その蝶は彼女の腰で羽を休めているように見えた
俊也は彼女の背中が浴室へと吸い込まれる後ろ姿を眺めながら、自分が酔っていることを思い出したかのように眠りについた
俊也の目が覚め枕元のスマホを見ると[5:00]と表示されていた
隣には寝息を立てる明衣子の姿がある
(『足りない』って言われちゃったな)
二日酔いの頭痛する頭を気にしながら自分の
不甲斐なさを振り返る
(前の彼女とした時はもっとできたはず、昨夜は久しぶりだったからうまくいかなかったんだ
それに元カノだって喜んでくれていたし)
などと考えていたら目が冴えてしまいもう眠れそうになかった
酒が残り重たい身体を起こし浴槽にぬるい湯をためながら身体を洗う
(今日も仕事だから6:00過ぎにはここを出て一度帰ろう
着替えて会社に行けば始業の9:00には間に合う)
そうこうしているうちにお湯もたまったので、スマホを持って浴槽へつかると
そこへ眠そうな目をこすりながら明衣子が入ってきた
「あ、夕べはごめんなさい」
ざぶんと俊也の前に飛び込んで
「なに謝ってんの?」
と、明衣子は言った
「いや、その、『足りない』って」
「ああ、そりゃ足りないよー。たった、2回動いただけだよ? 2回」
「だからごめんなさいって」
「それだけ私がイイってことなんだから仕方ないっ。お風呂ぬるいからあったかくしていい?」
俊也の返答を待たずに明衣子は蛇口をひねった
「今日は? 仕事あるの?」
「うん、もうちょっとしたらホテル出て一回帰ってから着替えて仕事行くつもり」
「そっかあ、そしたら私も一緒に出て帰って寝るかな」
「あれ? 仕事は?」
「つまんないこと聞くんだね。私がなにしてようがキミには関係なくない?」
そういうものなのかな? 俊也は思ったが確かに昨日出会ったばかりの女性がなにをしてようが自分の人生にはなんの関係もない
たまたま一夜を過ごしただけの関係だ
【また、逢えるかな?】
この言葉を俊也はグッと飲み込んだ
「しかし、キミきれいな身体してるねえ。私の肉わけてあげたいよ」
すらっと長く伸びた手足に、ムダ毛のない色白の肌、ピンとした姿勢
体つきだけなら卒業したての小学生のようだ
整えられた眉に、細い髪の毛、少しふっくらとした濡れたくちびる
マジマジと観察すれば中性的な顔立ちはアイドルにもなれそうだ
「ひ弱なだけだよ」
そうやって股間を隠し湯船から立ち上がると、俊也は浴室から出て身体を拭いた
そのうちにのぼせてしまったのかふらふらと倒れそうになりベッドに手をついてしまった
明衣子も続いて浴室から出ると、お尻をこちらに向けた俊也の姿が見える
「あれあれ?」
ニヤニヤとしながら足速に俊也の元へ向かう
「大丈夫? だよね?」
俊也はそのままこくりとうなずいた
それを確認するのが早いか、明衣子は俊也のお尻をつかんだ
そして、お湯につかってだらしなくのびている睾丸を飴玉でも舐めるように口にふくんだ
「ちょっ」
そう言いながら頭に血が回らない状態で下半身に血液が集まってくるのを俊也は感じた
「大丈夫? でしょ?」
大丈夫ではなかった。ただでさえクラクラしているの足に力が入らず立っていることができない
思わずそのまましゃがみ込んでしまった
「まだだよ? そのままベッドにいって」
言われるままベッドによじのぼると
「はい、そのままね」
と、四つん這いの姿勢で今度はぐにゃりと情けなく垂れ下がった穂先を
上向きになった明衣子のくちびるが吸い込んだ
ぐりゅぐりゅとピアスのついた舌の上でころがしてやると、俊也のものはみるみる充血してきた
代わりにとうの本人は力なく肘を曲げお尻を突き出した姿勢で頭をベッドにつっぷして声にならない声を押しつぶしている
明衣子はくちびるを離し身体を起こすと
「どうする? 無理そうならならやめるけど」
と、意地悪な質問をした
モーニングムーン/CHAGE and ASKA
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