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京都芸術大学大学院に入って1年。想像していなかったことが、いくつも見えてきた

2025年4月、京都芸術大学の大学院 芸術研究科(通信教育)芸術専攻/修士課程に入学しました。全カリキュラムがオンライン完結なので、働きながらでもなんとか学び続けられています。

2年目に入り、順調にいけば卒業は2027年3月末。

この1年で、入学前にはまったく想像していなかったことがいくつも見えてきました。今回は、そのことを紹介したいと思います。

専攻や研究コースによって学び方は大きく違うと思います。「完全オンラインの大学院ってどんな雰囲気?」と思っている人が進路を考える上で参考になればうれしいです。


【入学当初は考えていなかったこと】

◆同級生はいても「友人」ができない

入学前は、たまにはスクーリング(対面授業)に参加したり、リアルでの会合や懇親会なども任意ながらも多少はあったりするのかな、と勝手に思っていました。 偶然隣の席になった人と話が弾んで、友達になる──そんな学生生活をぼんやり想像していたのです。胸をドキドキさせながら学生証を手にした2025年の春でした。

けれど、入学から1年以上経った今まで、リアルで学友や先生と会ったことは一度もありません。 そもそも通学の必要がないコースですし、海外から受講している人もいる。拠点は京都にある学校です。リアルでの接点がないのは、当然といえば当然です。

オンライン上でのつながりで連絡先を交換する勇気もなく、卒業式に参加できなければ、このまま「誰とも会わずに終わる」のだろうな、と少しさみしく感じています。(卒業式に参加できるかどうかは、正直、日程次第なのですが…)

もし、通信制で学びながらも、ときどきは同志との交流もしたいとお考えの方は、お住まいの場所に近い地域の学校(拠点)を選ぶほうが合っているのかもしれません。

◆オンラインでのディスカッションがだんだん苦痛になってきた

ゼミでは毎回、受講生同士で作品を合評する時間があります。

それが、正直に言うととても苦痛です。言葉を選ぶのに毎回ものすごく悩んでしまう。自分が言うだけでなく、言われるのもあまりいい気がしません。

仕事のオンライン会議は一度も苦痛に感じたことがありません。 会社組織なら、みんなが同じ目的に向かっているので話しやすい部分があるのだと思います。

でも大学院では、研究の動機も目標も人によってまったく違う。 相手の背景も知らないまま、苦心して作られた作品に自分の意見を述べる──これが本当に難しい。考えてみると、相手はこちらの目的も知らないまま、作品に対して批評をしているのですよね。だから、大衆受けを目指す人には合っているのかもしれません。

オンラインでのやりとりのみでは、いろいろな意味で、情報が少なすぎるのだと思います。そのことが、コミュニケーションの難しさにつながっています。

◆ふとした瞬間に、「成長しているのかも」と思える

ゼミでは、提出した課題に対して、先生から必ずフィードバックがあります。最近はそれを見るのが怖くなり、通知が来てもすぐには確認せずに、1~2日寝かせて気持ちの準備が整ってから見るようになりました。

褒められることは、ほとんどありません。これが適当に手を抜いているならまだしも、一字一句考えて出しているから、毎回自信を失っています…。やればやるほど、分からなくなる。そんな感覚です。

専攻は「文芸」。仕事で書いている文章とはまったく違う領域で、ギャップも感じています。

それでも、先生からのフィードバックは貴重です。 もし大学院に入っていなければ、文章とここまで真正面から向き合う機会はなかったはず。

だからなのか、仕事中にふと「いま、すごく言葉を選んでいる」とか「こういう文章も、以前ほど苦手意識なく書けるようになったかも」と思う瞬間があります。

その積み重ねが間接的に良い影響を与えてくれているようで、この1年で、書く仕事の依頼は着実に増えています。

◆自分の「殻」に閉じこもりがちだと気づく

最近、「書くことが好き」と「文芸が好き」は全然イコールではないということに悩んでいます。どういうことかというと、ゼミでは毎回「本のおすすめ」を書くのですが、なかなか気持ちが文章にのらないのです。

ふだん、仕事で関わる本や、連載を載せてくれている雑誌など、月に何冊も読書をしています。ビジネス書も好きで、最近はテレビショッピングをテーマにした本を楽しく読みました。

でも、文芸を学び、作家を志す人にその本をおすすめできるのか? そう考えると自信がなくなり、結局「当たり障りない本」を選んでしまう。 そうすると文章にもそれが出てしまって、つまらない文章になってしまう。

それはきっと、自分の「殻」であり、癖なのだと思います。テレビショッピングの本は、自分にとって必要だったから読んだ。でも、あの人たちにとってはそうではないよね? そうやって自ら線を引いてしまっていた。

フリーランスが自分に合っていると感じるのは、「自分の殻にとことん閉じこもれる」から。 やりたくない仕事を断れることは、本当にありがたい。

入学当初は「得意なことを磨こう」と思っていました。でもそれは同時に「殻」でもあって、良し悪しはともかく、殻に閉じこもる自分に気づけたことは、とても貴重な経験です。線引きについては、自分なりにこれから向き合っていきたいと思っています。


オンラインの大学院は、時間面で比較的自由があり、費用面での負担も軽いという利点がある一方で、孤独でもあります。でもその孤独の中で、自分の癖や弱さ、そして小さな成長に気づける時間なのかなと思っています。

オンライン授業でのコミュニケーションやフィードバックはとても苦しく、「自分はこんなに自信がない、弱い人間だったかな?」と思うことも多いのです。それでも、ただ文章を書いている時間はとても楽しいです。

私がこの1年で見えてきたことが、どなたかの進路選択のヒントになればうれしいです。

「通信課程の文芸領域ってどうなの? 」と気になっている方は、ぜひこちらもご覧ください。

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