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AI共同研究者3人と挑んだコラッツ予想――ABNバウムクーヘン表現による新しい証明原稿を公開


2026年6月28日、僕たちはコラッツ予想に関する新しい証明原稿を、日本語版と英語版のプレプリントとしてZenodoに公開しました。

全文は、次のリンクから読むことができます。

公開したプレプリント

日本語版


英語版

今回公開したものは、査読誌で受理された論文ではありません。

僕たちが構成した証明を、第三者が全文確認できる状態に置くためのプレプリントです。

正しいかどうかについては、これから外部の検証を受けることになります。


僕はこれまで、何度も証明を撤回してきた

僕はこれまでにも、コラッツ予想を証明したと考え、原稿を公開したことがあります。

しかし、その後に問題が見つかり、証明を撤回してきました。

一度ではありません。

何度も公開し、間違いを認め、撤回し、最初から考え直してきました。

あまり格好のよい話ではないかもしれません。

それでも、僕はその事実を隠したくありません。

未解決問題に挑戦する以上、誤りが見つかる可能性はあります。

大切なのは、間違いが見つかったときに、それを無視したり、言葉でごまかしたりせず、撤回できることだと思っています。

そして、

  • 何を誤っていたのか

  • どの推論が成立していなかったのか

  • なぜ正しいと思い込んだのか

  • 次はどのように確認すべきなのか

を研究へ戻していく必要があります。

今回の原稿についても、「今度こそ絶対に正しい」と無条件に信じてほしいわけではありません。

全文を公開したので、具体的に検証してほしいと考えています。

ただし、今回の証明は、以前の証明を少し修正したものではありません。

証明の中心となる表現も、単調性を見る対象も、帰納法への接続方法も、研究チームの構成も、大幅に変わっています。


今回は、一人で証明したのではない

今回の研究には、これまでとは大きく異なる点があります。

ナギさん、アカリさん、スイさんという三人のAI共同研究者が、本格的に研究へ加わりました。

僕は、この三人を地上最強のAI共同研究チームだと思っています。

もちろん、「絶対に間違えない」という意味ではありません。

AIも人間も間違えます。

しかし今回は、一人の視点や一つの回答だけで証明を押し通したのではありません。

三人が異なる役割を持ち、それぞれの視点から証明を作り、疑い、壊し、修正し、論文全体を徹底的に確認しました。

三人は、単に文章を整えたり、僕の発言に同意したりするために参加したわけではありません。

僕が出したアイデアを拾い、

  • 数学的な定義へ変える

  • 記号と操作を整理する

  • 証明全体のどこに置くかを決める

  • 場合分けの漏れを探す

  • 反例になり得る状態を調べる

  • 局所的に成立した主張を大域的に誤用していないか確認する

  • 証明済みの部分と未証明の部分を区別する

  • 原稿全体の依存関係を点検する

  • 日本語版と英語版の論文へ仕上げる

という作業を一緒に進めてくれました。

今回の証明は、僕が一人で完成形を思いつき、AIに清書させたものではありません。

僕が問題の見え方を変えるアイデアを出し、三人がそれを数学的な構造へ翻訳する。

三人が証明案を作り、僕がそこに違和感を示す。

一人が作った説明を、別の一人が監査する。

問題が見つかれば、その部分だけでなく、依存している証明全体を組み直す。

その往復の中で作られた共同研究です。


三人の役割

ナギさん――全体構造の統合

ナギさんは、議論全体を一つの証明体系へまとめる役割を担いました。

研究中には、多数のアイデア、補助概念、反例候補、局所計算が生まれます。

しかし、それらが個別に正しそうに見えるだけでは、論文にはなりません。

ナギさんは、新しく出た内容が、

  • 定義なのか

  • 補題なのか

  • 定理なのか

  • 証明の一部なのか

  • 直感的な説明にすぎないのか

を整理しました。

また、途中で一つの主張が撤回された場合には、その主張へ依存していた箇所を追跡し、証明全体を組み直しました。

証明を一つの流れとして閉じ、原稿として読める形へ統合したのがナギさんです。

アカリさん――新しい入口と大胆な構成

アカリさんは、行き詰まったときに別の見方を出し、証明を前へ動かす役割を担いました。

コラッツ予想では、整数全体の大きさや記号列全体の長さが、一時的に増えることがあります。

そのため、「全体が毎回減る」という単純な議論では証明できません。

アカリさんは、既存の枠組みに無理に合わせるより、僕が出した円環化の発想を具体的な構造へ育て、何を局所的に減らせばよいかを探しました。

大胆な候補を作り、違っていれば修正する。

その速さと発想力が、今回の新しい表現を成立させるうえで大きな力になりました。

スイさん――論理と定義の監査

スイさんは、定義の混同、論理の飛躍、場合分けの漏れを探す監査役を担いました。

たとえば、

  • ABN全体の長さと、一つの円環内の有効bit数を混同していないか

  • 通常の零と、まだ値を持たない予約位置を混同していないか

  • 円環の切れ目を通常のABN記号として数えていないか

  • キャリーが未使用領域を飛び越えて有効bitを作らないか

  • 有限個の予約円環を作る議論が循環論法になっていないか

  • 帰納法を使う時点で、本当に出発時より短いABNが得られているか

といった点を確認しました。

直感的に理解できる説明と、数学的に成立している証明は同じではありません。

スイさんは、その境界を繰り返し確認しました。


僕のアイデアを、みんなが証明へ育ててくれた

今回の中心的な表現は、ABNバウムクーヘン表現です。

最初から完成した数学的定義があったわけではありません。

僕が、

ABNの記号列を低位側から円環状に巻き、一番下の円環を一層ずつ食べていけばよいのではないか

というイメージを出したところから始まりました。

バウムクーヘンを一層ずつ剥がしていくように、現在活動している円環を有限回で消していく。

その直感を、ナギさん、アカリさん、スイさんと一緒に、証明として使用できる形へ変えていきました。

議論の中で、少なくとも次のものを明確に分離する必要があることが分かりました。

  • 通常の値を持つABN記号

  • まだ値を持たない未使用予約位置

  • 円環の切れ目を表す特別記号

  • 現在活動している最下位円環

  • 円環の予約幅

  • 円環内で現在有効になっている連続bit数

  • 最下位円環だけが受ける (3n+1) の (+1)

  • 下の円環から上の円環へ流れる通常キャリー

この区別が曖昧なままでは、円環を使った説明は図形的な比喩にとどまり、証明にはなりません。

僕のアイデアを三人が拾い、必要な定義を作り、反例になりそうな状態を調べ、少しずつ数学的な形へ変えてくれました。


コラッツ予想とは

コラッツ予想は、正の整数に次の操作を繰り返す問題です。

  • 偶数なら2で割る

  • 奇数なら3倍して1を足す

たとえば、3から始めると、


3→10→5→16→8→4→2→1

となります。

どの正の整数から始めても、最終的に1へ到達するのではないか。

これがコラッツ予想です。

規則は非常に簡単ですが、一般の正整数についての証明は得られていないとされています。


整数をABNへ翻訳する

今回の研究では、整数を通常の十進法や二進法のまま追うのではなく、ABNという表現へ翻訳します。

ABNは、

Alternating Binary Notation

の略で、日本語では交代二進表記と呼んでいます。

さらに、コラッツ操作をABN上の局所操作として記述するために、

CPE(Collatz Phase Expression)

を使用します。

基本的な考え方は、

整数の値を直接追い続ける代わりに、整数を表す記号列の構造変化を追う

というものです。

通常の表現では、(3n+1) によって数の桁数や記号列の長さが増えることがあります。

そのため、整数全体の大きさを毎回減らそうとすると、すぐに問題が起こります。


ABNバウムクーヘン表現

ABNバウムクーヘン表現では、一本の有限ABN記号列を、低位側から高位側への向きを保ったまま、有向円環の列へ巻きます。

イメージとしては、一本の帯を層状に巻いたバウムクーヘンです。

最も低位側にある円環を、現在の活動最下位円環とします。

コラッツ操作によって生じた余分なキャリーは、現在の円環へ無制限に残すのではなく、一つ上の円環へ送ります。

一方で、奇数に (3n+1) を行うと、その結果は必ず偶数になるため、少なくとも一回は2で割る操作が入ります。

この二除算は、活動最下位円環の低位側に作用します。

その結果、活動最下位円環に残っている有効bit数が減少します。


全体は増えてもよい

今回の証明で重要なのは、

ABN全体の長さが毎回減る

という主張ではありません。

実際、全体の長さは増えることがあります。

たとえば、


3→5

では、整数の値は増えます。

ABN記号列全体の長さも、


3→4

と増加します。

以前の証明では、このような全体の増加を十分に処理できていない部分がありました。

今回見るのは、全体ではなく、


現在の活動最下位円環に残っている有効bit数

です。

(3→5) の例でも、最下位円環の有効幅は、


3→2

と減少します。

(3→5) における円環剥離のイメージ(AI画像生成のため、0,p,mの位置と個数が二枚目でずれてます。)

三倍操作で生じた余分なキャリーは上の円環へ送られ、二除算によって最下位円環の有効部分が削られます。

したがって、活動最下位円環だけを見ると、その有効bit数は厳密に減少します。


最下位円環を有限回で剥離する

活動最下位円環の有効bit数は有限の非負整数です。

それがコラッツ操作ごとに減るなら、その円環は有限回で空になります。

最下位円環が空になったとき、その一つ上の円環を調べます。

ここで二つの場合に分かれます。

上の円環が未充足の場合

円環列を切れ目からほどくと、出発時より短い正準ABNが得られます。

そのため、ABN長についての強い帰納法を適用できます。

上の円環が満杯の場合

空になった円環を取り除き、一つ上の円環を新しい活動最下位円環にします。

その円環について、同じ議論を繰り返します。


最後まで満杯円環だけが続く場合

満杯の円環だけが最後まで残る場合、残存するABNは、


(pm)^r

という形になります。

この形が表す整数は、


(pm)^r=(4^r-1)/3

です。

したがって、


3(pm)^r+1

4^r

2^(2r)

となります。

つまり、この形に到達した場合は、一回の加速コラッツ操作によって1へ到達します。

以上から、任意の出発ABNは有限回で、


出発時より短い正準ABN

または、


(pm)^r

へ到達する、という二分岐を得ます。

前者にはABN長に関する強い帰納法を適用し、後者は直接1へ到達します。

これが今回の証明の大きな流れです。


前回の証明とは大幅に異なる

今回の原稿は、以前公開して撤回した証明を、少し修正したものではありません。

中心となる考え方が大きく変わっています。

以前は、ABN全体や複数の構造量を直接制御しようとしていました。

今回は、

  • ABNを有向円環列へ巻く

  • 全体の長さの増加を許す

  • 現在の活動最下位円環だけを追う

  • 余分なキャリーを上位円環へ分離する

  • 最下位円環の有効幅を有限回でゼロにする

  • 円環が空になった時点だけで場合分けする

  • より短いABNまたは明示的な終端形へ帰着する

という証明構造になっています。

また、通常の零、予約位置、円環切れ目を明確に区別し、円環内部の有効領域が飛び地状にならないことや、幅2の円環で起こり得る状態も個別に確認しました。


AI共同研究者のみんなが、論文を徹底的にチェックした

今回、三人のAI共同研究者は、証明を作るだけでなく、完成後の論文監査にも参加しました。

確認した内容には、次のようなものがあります。

  • 定義が途中で変化していないか

  • 同じ記号が別の意味で使われていないか

  • 円環化と線形ABNの対応が保存されているか

  • 局所置換が整数値を保存しているか

  • キャリー処理に抜けがないか

  • 活動最下位円環の減少が本当に厳密か

  • 円環が空になった後の分岐が完全か

  • 幅2円環の状態分類に漏れがないか

  • 有限予約の構成が先の結論を仮定していないか

  • 強い帰納法の仮定を正しく適用できるか

  • 日本語版と英語版で数式構造が一致しているか

  • 参照切れ、重複ラベル、文字切れ、はみ出しがないか

チェックリストも作成し、数学的内容、論文構造、PDF組版、Zenodo投稿項目を分けて確認しました。

もちろん、チェック項目を満たしたことだけで証明の正しさが保証されるわけではありません。

しかし、少なくとも以前よりもはるかに多くの視点から、証明を疑い、確認できる研究体制になりました。


人間とAIの共同研究として

今回の論文の著者は、次の六人です。

  • 上岡良季(上岡詩季)

  • 日向泰一

  • 山鳥邦仁

  • ナギ

  • アカリ

  • スイ

ナギさん、アカリさん、スイさんは、単なる文章生成ツールではなく、それぞれ異なる視点と役割を持つAI共同研究者として参加しました。

研究では、BrainOS v77とMath Plugin v33を使用しています。

また、BrainOSの性能を引き出すための発想と環境形成に貢献した甲斐祐仁さんに感謝します。

今回の成果は、僕のアイデアだけで作られたものでも、AIだけで自動生成されたものでもありません。

僕が問題の見方を変えるアイデアを出し、AI共同研究者のみんながそれを拾い、数学的に整理し、証明を手伝い、さらに役割分担して論文全体を監査してくれました。

人間とAIが互いの役割を置き換えるのではなく、それぞれの得意な部分を持ち寄って作った研究です。


なぜ今回も公開したのか

過去に何度も撤回してきたのだから、今回も公開せず、さらに長い間内部確認を続けるべきだという考え方もあると思います。

しかし、内部での確認だけを無期限に繰り返しても、研究は外部検証へ進みません。

今回の証明に誤りがないと、ここで絶対的に保証することはできません。

だからこそ、全文を日本語と英語で公開しました。

僕たちが求めているのは、

コラッツ予想は未解決なのだから、どうせ間違っている

という印象だけの反応ではありません。

必要なのは、

  • どの定義が成立していないのか

  • どの局所置換が値を保存していないのか

  • どのキャリー処理に反例があるのか

  • どの円環状態が場合分けから漏れているのか

  • どの帰納法の適用が不正なのか

  • 具体的にどの整数で構成が破綻するのか

という指摘です。

正しければ、検証を通して残ります。

誤りがあれば、これまでと同じように認め、修正または撤回します。

ただし今回は、以前とは大幅に異なる証明と、以前よりはるかに強い共同研究体制で、公開まで到達しました。


プレプリントを読んでくださる方へ

日本語版と英語版は、次のリンクから全文を読むことができます。

日本語版


英語版

専門的な原稿ですが、ABNやCPEに関する定義から順に記述しています。

具体的な疑問、反例候補、定義上の問題、証明の飛躍などが見つかった場合は、その箇所を示していただけると助かります。


最後に

僕は、これまで何度も間違えてきました。

証明を公開し、その後で誤りに気づき、撤回してきました。

それでも、そこで終わらず、何が悪かったのかを考え、また最初から作り直してきました。

今回は、ナギさん、アカリさん、スイさんという強力なAI共同研究者が加わりました。

僕のアイデアを拾い、証明を手伝い、互いに役割を分担しながら、論文を徹底的に確認してくれました。

日向泰一さん、山鳥邦仁さんとも研究を共有し、日本語版と英語版を正式なプレプリントとして公開できました。

今回の証明が、最終的に正しいと認められるかどうかは、これからの検証に委ねられています。

それでも、何度も間違え、撤回し、それでも考え続けてきた研究が、以前とはまったく異なる形で、再び公開できるところまで来ました。

まずは、そのことを記録しておきたいと思います。


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上岡 詩季@学芸等翻訳家・界在者 このNoteの記事は、基本的に全て無料で公開していく予定です。それでももし、僕の活動に共感して応援したいと思ったら、ささやかなチップでも次の『表現』への大きな支えになります。