いつも「真面目すぎて損する」者たちへ。福大サッカー部13番・金城蓮央選手から学ぶ、自分を守るための「マリーシア」入門、のはなし
サッカーを見ていると、時々「くやしいけれど、うまいな…」と唸らされる場面に出会う。
先日の天皇杯予選、福岡大学 vs ギラヴァンツ北九州の一戦。 ピッチ上で強烈な存在感を放っていたのが、福岡大学の背番号13番、金城 蓮央(きんじょう れお)選手だった。
神村学園時代から全国の舞台で結果を残し、年代別選抜にも名を連ねてきた名門・福大の主軸。卓越した技術を持つテクニシャンである彼は、あの試合の緊迫した局面で、プレーの技術以上に「勝負の駆け引き(マリーシア)」の巧みさを見せつけてくれた。
相手の感情を逆なでし、激高させ、気づけば自分は「被害者」の位置に立ち、相手だけにカードを出させる。
敵として対峙したらこれほど腹が立ち、嫌らしい立ち回りはない。 けれど、仕事でも人間関係でも「いつも素直に受け止めて損ばかりしている」私のような人間からすると、どこか羨ましく、そして大きな学びがあった。
今日は、いつも「食わされる側」の私たちが、自分を守り、タフに生き抜くための「マリーシア(ズル賢さ・駆け引き)」の身につけ方について考えてみたい。
「マリーシア」とは、卑怯さではなく「タフな生存戦略」
そもそも「マリーシア」とは、ポルトガル語で「したたかさ」「機転」「要領の良さ」を意味する言葉だ。
単なるルール違反ではなく、「相手の心理を揺さぶる」「審判や周囲の視線を計算する」ことで、自分やチームを有利にする技術のことを指す。
真面目でクリーンな人ほど「そんなのズルい」「正々堂々やるべきだ」と思いがちだ。 しかし、現実に勝負の現場や社会に出ると、一方的に感情をぶつけられたり、理不尽にハメられたりすることがある。
そんな時、金城選手のような「したたかさ」を持っていなければ、自分の感情も立場も守りきれないのだ。
では、いつも「食わされる側」の私たちは、どうすればあのタフさを身につけられるのだろうか?
いつも食わされる私たちのための「3つの処方箋」
相手をハメるような悪質さを覚える必要はない。 大切なのは、「相手の仕掛けに気づき、フッと流して自滅させる」ためのマリーシアだ。
1. 感情が動いた瞬間「相手の狙い」を言語化する
相手が不遜な態度をとってきたとき、人は一瞬で「イラッ」として熱くなる。 だが、その瞬間に心の中でこう呟いてみてほしい。
「あ、こいつ今、感情的にさせて判断力を奪おうとしてるな」
相手の狙いを頭の中で「言語化」できた瞬間、相手の手口は「脅威」から「ミエミエな演出」に変わる。相手と同じ土俵(感情の殴り合い)に降りないこと。これが最強の防具になる。
2. 「やり返す」のではなく「あきれ顔で周囲を見る」
一番もったいないのは、相手の挑発に対して直接やり返してしまうことだ。これをやると、後から手を挙げた側(あなた)だけが悪者に映ってしまう。
相手が理不尽な動きをしてきたら、直接相手とやり合うのではなく、「あきれ果てた顔で、主審(または周りの人)を見る」のがプロの技術だ。 「見ました? こいつこんなことやってますよ」というポーズを冷静にとることで、判断者を味方につけ、相手だけにプレッシャーをかけることができる。
3. 「いい人」をやめ、「面倒くさい奴」になる
いつも食わされてしまう人は、「その場を収めよう」「穏便にいこう」と優しさで対応しようとする。しかし、マリーシアを使ってくる相手は、その優しさを「隙」として見逃してくれない。
無理に攻撃的になる必要はない。 「この人は煽っても乗ってこないし、冷静にこちらの違反をアピールしてくるから面倒くさいな」と思わせる「不気味な冷静さ」を身につけることが、自分を守る一番の武器になる。
おわりに:金城選手への軽やかなリスペクトを込めて
沖縄出身の2年生、金城 蓮央選手。 怪我を乗り越え、Jリーグ内定やプロ入りを目指して奮闘する彼のプレースタイルには、厳しい勝負の世界を勝ち抜いてきた者ならではの「したたかさ」が宿っている。
あの日の彼のプレーは、ギラサポとしては心底悔しかった。 けれど同時に、「勝負の世界で生き残るとはこういうことか」という鮮烈なレッスンでもあった。
いつも真面目に受け止めて傷ついている私たちも、ほんの少しだけ「マリーシア」という防具を懐に忍ばせておきたい。
次に誰かに煽られたり、理不尽な場面に出くわしたら、心の中でニヤリと笑ってこう思おう。
「お、来たなマリーシア。その手には乗らないぞ」と。
(もしいつか北九州加入となった日には手のひら返してWelcomeですよ♪)
