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運がいい人の正体。 〜偶然を味方にする小さな仕込み〜

こんにちは。
株式会社スプリングボード代表の足立晋平です。

先日、ワーケーションで和歌山の白浜に行ってきました。
白良浜で波の音を聴きながらパソコンに向かい、夕方には夕陽を眺め、夜は白浜温泉とサウナでゆっくりと。

いつもの自宅デスクでは浮かんでこないアイデアが、やたらとぽんぽん出てくるんです。

「場所を変えると、頭の中身まで変わる」

言葉では知っていたけれど、ここまで実感したのは久しぶりでした。

そしてちょうどそのタイミングで、この感覚と深くつながる記事に出会いました。

ダイヤモンド・オンラインに掲載された、アスキー創業者・西和彦氏のエピソードです。



🛫 24歳の青年が「雲の上」で稲盛和夫に出会った話

西和彦氏は1980年代初頭、マイクロソフトの副社長としてビル・ゲイツとともに会社を成長させていた人物です。当時まだ20代前半。

彼の生活は、日本が3分の1、アメリカが3分の1、そして残り3分の1が飛行機の上だったといいます。

普通なら「移動時間が多すぎる」と嘆くところですが、西氏はこの時間を独りで思考を深める場として活用しました。さらに、ファーストクラスを「偶然の出会いが起きやすい場所」として意図的に使っていたのです。

1981年秋。シアトルから東京へ向かう機内で、京セラの稲盛和夫氏と偶然隣り合わせになります。

稲盛氏は当時48歳。24歳の西氏にとっては倍の年齢差です。けれど稲盛氏は、その若者の話に真剣に耳を傾けました。

西氏が語った「手のひらに載るコンピュータ」のアイデアに対し、稲盛氏は即座に「ぜひやってくれ」と応じます。

ここから生まれたのが、タンディ社の「M100」。世界初のハンドヘルド・コンピュータとして10年以上販売され、600万台を超えるメガヒットとなりました。

タンディ社の「M100」
画像引用 Wikipedia

🎯 偶然のようで、偶然じゃない

この話、一見すると「運がよかった」で片づけられそうです。

たまたまファーストクラスで、たまたま稲盛氏の隣に座った。すごい偶然だ、と。

でも、よく見ると違うんですよね。

西氏には、その「たまたま」を引き寄せる3つの仕込みがありました。

🧭 日頃からの「問い」の蓄積
ソニーの携帯ワープロ「タイプコーダー」の新聞広告を見た瞬間に「これがパソコンだったら」と発想できたのは、日常的に「コンピュータの次の姿」を考え続けていたからです。

🧭 偶然が起こりやすい「場」への自己配置
ファーストクラスという空間は、VIPと同席する確率が高い。そこに身を置き続けること自体が、すでに戦略でした。

🧭 出会った瞬間に即プレゼンできる「準備」
隣に誰が座るかは選べません。でも、誰が座ってもすぐに語れるだけのアイデアの蓄積があった。

つまり、偶然そのものはコントロールできないけれど、偶然が実りに変わる「土壌」は、自分で耕せる」ということなんです。

💡ちょこっと理論紹介💡
🎲 プランドハプンスタンス理論(計画的偶発性理論)

スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱したキャリア理論です。

個人のキャリアの8割は、予想しない偶発的な出来事によって形成される」という調査結果をもとに、偶然を待つのではなく、偶然が起きやすい行動を意図的にとることが重要だと説きます。
そのために必要とされるのが、好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心の5つ。西氏の行動は、まさにこの5つを体現しているように見えます。


⚔️ 坂本龍馬も「偶然」を仕込んでいた

歴史に目を転じると、似たような構造の出会いがあります。

文久2年(1862年)。坂本龍馬は、幕臣の勝海舟を斬るつもりで訪ねます。

当時の龍馬は攘夷派の志士。
「外国を打ち払え」という思想に強く傾いていました。勝海舟は開国派。龍馬にとっては、まさに「斬るべき敵」だったわけです。

ところが、勝の話を聞いた龍馬は一転します。
その場で弟子入りを志願してしまう。

勝が語ったのは、世界情勢、海軍の必要性、日本の将来像。
龍馬がそれまで見たことのない視野の広さが、そこにはありました。

この出会いも、一見すると「偶然の産物」のように見えます。
でも龍馬の側にも、ちゃんと3つの仕込みがありました。

🔥 土佐を脱藩してまで「日本の未来を考えたい」という意志
🔥 江戸でさまざまな人物と交わり、見聞を広げていた蓄積
🔥 敵だと思った相手の話にも耳を傾ける柔軟性

西氏がファーストクラスという「場」に身を置いて偶然を設計したように、龍馬は脱藩という「行動」によって、偶然の出会いが起こりうる世界に自分を投じたのだと思います。

そして、稲盛氏が24歳の若者の話に耳を傾けたように、勝海舟もまた、斬りに来た青年の中に光るものを見抜いた。

偶然の出会いが歴史を動かすとき、そこには必ず「受け取る側の器」と「見抜く側の眼力」の両方がある。

薩長同盟も、亀山社中も、すべてはこの一夜の「予定された偶然」から始まった。
そんなふうに見ると、歴史もまた少し違って見えてきます。


🔗 異なる世界をつなぐ「橋」になる

もう一つ、西氏のエピソードで興味深いのは、彼が京セラ(ハード製造)、マイクロソフト(ソフト開発)、タンディやNECやオリベッティ(販売チャネル)という、まったく異なるネットワークの間に立つ「橋渡し役」だったことです。

ハンドヘルド・コンピュータが世に出たのは、一人の天才が全部を作ったからではありません。
異なる強みを持つプレーヤーを「つなげた」人がいたからです。

実はこれ、私たちの仕事や日常でもすごく大事な視点です。

💡ちょこっと理論紹介💡
🌉 構造的空隙理論(Structural Holes)

社会学者ロナルド・バートが提唱した理論です。

直接つながっていない複数のグループの間に立つ人が、最も大きな情報優位と機会を得るとされます。

この「つながっていない隙間」=構造的空隙を橋渡しできる人は、それぞれのグループが持つ異なる知識や資源にアクセスでき、イノベーションを起こしやすい。

西氏は、IT・製造・販売という3つのネットワークの「空隙」を埋めるブローカーだったのです。

部署間の調整役。
社内と社外の橋渡し。
異業種の人脈をつなぐこと。

こうした行為は、つい地味に見えます。
でも本当は、「つなぐこと」自体が価値を生むんですよね。

私は研修の仕事を通じて、そのことを何度も感じてきました。

たとえば、営業部門と開発部門がほとんど会話していない企業で、たった一人の課長が「一度、お互いの悩みを共有しませんか」と声をかけたことで、長年こじれていた課題がするすると解けていった。そんな場面を何度も見てきました。

その課長は、特別なスキルを持っていたわけではありません。
ただ、二つの世界を知っていて、その間に橋を架けたのです。

この力は、派手ではないけれど、とても強い。
そして、これからの時代ほど価値が高まっていく力だと思います。


🌱 「たまたま」を育てるために、今日からできること

西氏や龍馬の話はスケールが大きくて、「自分には関係ない」と感じるかもしれません。

でも、「偶然を仕込む」こと自体は、驚くほど地味な行動の積み重ねなんです。

  • 📖 いつもと違うジャンルの本を1冊読んでみる

  • 🚶 いつもと違うルートで帰ってみる

  • 💬 普段話さない部署の人にちょっと声をかけてみる

  • ✍️ 日々の気づきをメモに残しておく

こうした小さな行動が、いつか思いもよらない「点と点のつながり」を生むかもしれません。

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で語った有名な一節があります。
点と点は後からしかつながらない」という言葉です。

でも裏を返せば、点を打たない人には、つながるものが何もないということでもある。

チャンスは「待つ」ものではなく、仕込むもの。

偶然を味方にする人は、きっとそのことを知っているんだと思います。


あなたにとっての「偶然を仕込む場所」や、思いがけない出会いから広がった経験があれば、ぜひコメントで教えてください。
きっと、読んでくださった方のヒントにもなるはずです。


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