建築家の休憩室-2|トイレは1つか、2つか——日韓で違う“数”の前提
■ 導入
建築家の休憩室①が好評だったので、第2回です。
前回はトイレの話でしたが、今回はもう少しシンプルに、
数に注目してみます。
住まいの違いは細部にも表れますが、
もっと分かりやすい差もあります。
それが——
トイレ(浴室)の数です。
■ 本文
日本の一般住宅では、
トイレは1つ、もしくは2つという構成が多いです。
2階建てであれば1階と2階に各1つ。
延床がコンパクトな場合は1つでも成立します。
👉 「必要最小限+配置で解決する」という考え方です。
一方、韓国の新築アパート、戸建住宅では
👉 浴室(トイレ含む)が2つ
が標準的です。
70〜90㎡程度でも2つ設けられるケースは一般的で、
主寝室側と共用側に分かれる構成が多い。
ではなぜ、この差が生まれるのか。
まずはシンプルに——
👉 使い方の前提が違う
韓国では
・朝の同時利用
・来客時の分離利用
を前提に、最初から複数設置で計画されます。
日本では
・時間をずらす
・1つを共有する
という運用が前提になりやすい。
■ もう一つの視点
ここで少しだけ視点を変えると、
この違いは住宅の入り方とも関係しているように感じます。
日本で「木造」といえば、一般的に軸組工法を指します。
一方、韓国で「木造」といえば、
いわゆる軽量木構造(경량목구조 2×6・2×8)が先に普及しました。
これは主に北米(アメリカ・カナダ)から入ってきた方式で、
住まい方のパッケージごと伝わった側面があります。
その前提で見ると、
・主寝室に付属する専用浴室(マスターバス)
・共用の浴室
・場合によってはゲスト用
という構成は、自然な流れです。
👉 数を持つ設計が最初から組み込まれている
■ 付随する違い
もう一つ分かりやすいのが、浴槽の扱いです。
韓国では
・浴槽は必須ではない
・設置しても使われないケースがある
一方、日本では
・入浴=湯に浸かる行為
・浴槽は生活の中心要素
👉 同じ浴室でも、目的が違う
この話は、また別の機会に整理してお話ししたいと思います。

■ まとめ
トイレの数の違いは、単なる設備の話ではなく
・生活の使い方
・設計の前提
・住宅の導入経路
が重なって生まれています。
同じ空間でも、
どこから来たかによってここまで変わる。
そこが、見ていて一番面白いところだと感じます。
ここまで見てきたように、
トイレの数の違いは、単なる設備の問題ではありません。
ではなぜ——
こうした差が生まれたのか。
その背景にあるのは、
住宅の制度、供給の仕組み、そして設計の前提そのものです。
この点については、こちらで体系的に整理しています。
👉「日本の住宅メーカーは、なぜ韓国で定着できなかったのか」
表面的な違いではなく、
その構造まで理解したい方へ。
はじめて読んでくださった方へ。
このnoteでは、建築、暮らし、時間、そして日本と韓国の住文化について、建築家の視点から記録しています。
私がどのような立場で、どんなテーマを大切にしながら書いているのかは、こちらのプロフィール記事にまとめました。
よろしければ、あわせて読んでいただけるとうれしいです。
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