読まれない顧客アンケートをAIで30分で集計する手順
「アンケートは取っているのに、結果を見返していない」。中小企業の方と話していると、この状態が本当に多いです。自由記述欄に生の声が溜まっているのに、読むだけで半日かかるから後回しになる。
結論から言うと、この集計は AI に渡せば 30 分で終わります。しかも件数を数えるだけでなく、「次に何をすべきか」という打ち手まで出させられます。
この記事で得られるもの:
自由記述を AI で分類・集計する 3 ステップ
集計で終わらせず改善アクションまで出させる指示文
件数と表記ゆれでつまずかないための対処
今の集計は目視で半日かかる
まず、今のやり方を数字にしてみます。
よくあるのは、アンケートの自由記述を Excel に貼り付けて、一件ずつ読みながら「これは接客の話」「これは価格の話」と手で色分けしていくやり方です。
100 件のアンケートがあれば、1 件を読んで分類するのに 30 秒はかかります。単純計算で 50 分。そこに集計と、気づいたことのメモを足すと、半日は溶けます。
しかも、この作業は担当者の主観に左右されます。同じ「対応が遅い」という声でも、人によって接客に入れたり、店内環境に入れたりする。基準がぶれると、集計結果そのものが信用できなくなります。
だから多くの現場で、アンケートは「取るだけ」になって、生の声が箱の中で眠っている。ここが最初のボトルネックです。

AIで集計する3ステップ
やることは 3 ステップです。ChatGPT や Claude のような対話型 AI が 1 つあれば動きます。
ステップ 1:データを CSV で書き出す(所要 5 分)
アンケートフォーム(Google フォームなど)から回答を CSV で書き出します。自由記述の列だけ残せば十分です。使うツールはフォームの「回答をダウンロード」機能だけ。ここで失敗しやすいのは、氏名や電話番号など個人情報の列を一緒に渡してしまうことです。集計に不要な列は必ず消してから進めます。
ステップ 2:分類軸を指示文で渡す(所要 10 分)
書き出したテキストを AI に貼り付け、どう分類してほしいかを言葉で指示します。この「指示文」が集計の質を決めます。
以下は当店の顧客アンケートの自由記述です。
内容を「接客」「価格」「商品・メニュー」「店内環境」「その他」の
5 つに分類し、それぞれ何件あったかを集計してください。
1 件が複数に当てはまる場合は、主要な 1 つに寄せてください。
最後に、件数の多い順に並べた表で出してください。分類の軸は、自分の業種に合わせて言葉を入れ替えるだけです。ここで失敗しやすいのは、軸を AI に丸投げすること。「いい感じに分類して」と投げると毎回カテゴリが変わり、比較ができなくなります。軸はこちらで決めて渡すのが鉄則です。
ステップ 3:カテゴリ別に集計と要約を出させる(所要 10 分)
分類が出たら、各カテゴリで「どんな声が多かったか」を 2〜3 行で要約させます。「接客カテゴリの声を、代表的な内容がわかるように 3 行でまとめて」と続けて頼むだけです。
これで、半日かかっていた集計が 30 分弱で表になります。

集計より“打ち手”を出させる
ここからが、AI に集計させる本当の価値です。
件数を数えるだけなら、正直グラフを作って終わりです。私が勧めたいのは、その先の「で、次に何をするか」まで AI に出させることです。
続けて、こう指示します。
上の分類結果のうち、不満・要望にあたる声だけを抜き出し、
多い順に上位 3 つの課題としてまとめてください。
それぞれについて、明日から着手できる改善アクションを
1 つずつ、具体的に提案してください。こうすると、「価格への不満が 12 件 → ランチのセット価格を見直す」「待ち時間の指摘が 8 件 → ピーク時間帯の案内係を 1 人増やす」といった形で、声が具体的な打ち手に変わります。
もちろん、この提案をそのまま実行するわけではありません。採用するかどうかを決めるのは人間です。AI が出すのは「判断のたたき台」であって、最後のクリックはこちらが握る。私はこの線引きを大事にしています。
それでも、ゼロから施策を考えるのと、たたき台を削って決めるのとでは、動き出すまでの速さがまるで違います。

つまずくのは表記ゆれと件数
実際にやると、だいたい同じところでつまずきます。典型的な 3 つと対処です。
1. 件数が多すぎて精度が落ちる
一度に 500 件も渡すと、AI が後半を雑に扱ったり、数え漏らしたりします。対処はシンプルで、100〜150 件ずつに分けて渡し、最後に集計だけ合算させること。分割して渡すだけで精度が戻ります。
2. 表記ゆれで分類が割れる
「店員さん」「スタッフ」「従業員」が別物として扱われると、接客の声が分散します。指示文に「表記が違っても同じ意味の言葉は同じものとして扱ってください」と一文足すだけで、かなり吸収されます。
3. 勝手にカテゴリを増やす
「その他」に入れるべき声で、AI が新しいカテゴリを乱立させることがあります。前の章の通り、軸はこちらで固定して「この 5 つ以外は作らないでください」と明示する。これで防げます。
どれも、指示文に一文を足すだけの対処です。一度うまくいった指示文は、メモに残して次回そのまま使い回せます。

自分でやるより仕組みにする
ここまでの手順は、アンケートに限りません。
Google マップの口コミ、問い合わせメール、サポートへの要望——文章で溜まっている「顧客の声」なら、分類軸を差し替えるだけで同じやり方が効きます。定性テキストは、これまで集計を諦められていただけで、本来は資産です。
そして、毎月これを手作業で繰り返すなら、次の段階は「仕組みにする」ことです。フォームの回答が溜まったら自動で分類・要約してレポート化する、というところまで組めば、担当者が毎月コピペする手間もなくなります。
この「毎回の作業」を「一度作れば動く仕組み」に変えるのが、私の本業です。自分の業務でどこまで自動化できるか、判断の相談から受けています。

まとめ
溜めた顧客アンケートは、AI に分類軸を渡せば 30 分で集計できます。さらに「上位の課題と改善アクションを出して」と続ければ、集計で終わらず打ち手まで手に入る。
大事なのは、軸を人間が決めて渡すこと、件数を分けて精度を保つこと、そして最後の判断は自分が握ることです。
次の一歩は、手元に眠っている一番古いアンケートを 1 束だけ AI に渡してみることです。半日かけていた作業が 30 分で終わる感覚を、まず 1 回味わってみてください。
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