見出し画像

自分らしさを探す旅

ユング心理学は、人がいかに自己実現をしていくかを体系化した学問であり、自分探しの道に迷うことの多い現代人にとっては、大変興味深く重要なテーマであります。

ところで、ユング心理学でいう自己実現とは、一体何でしょうか?

ユング心理学の自己実現とは、自分の可能性を最大限に発揮して真の自分らしさを体現することです。

この「真の」という部分を体現できるようになるまでには、次の3つのステップを踏む必要があるといわれています。

STEP1. 自分らしさを追求する段階(自我の確立)
STEP2. シャドーを統合する段階(シャドーの統合)
STEP3. 真の自分らしさを体現する段階(自己実現)

このステップは人生という長い時間軸の中で進行するものであり、ステップ2のシャドーの統合は、一般的に人生の正午(人生の折り返し地点、およそ40代)に訪れるともいわれています。

シャドーを統合しなければならないような出来事が起きた場合、それをミドルエイジクライシス、人生の中盤で起こる危機といいます。

ただし、これには個人差があり、20〜30代で訪れることもあれば、50〜60代で訪れることもあります。

自分にとって最適なタイミングで訪れるともいえるでしょう。

それでは、まず最初のステップ、人生の前半の課題である「自分らしさを追求する段階」について考察しましょう。

自我の確立

人は一人前の成人になる過程で、自己のアイデンティティー、自我を確立し、自分らしさを見つけ出そうとします。

この自分らしさは、ユング心理学でいう「真の自分らしさ」ではなく、一面的な自分らしさともいえます。

自分なら、どうするか?
自分なら、どっちを選ぶか?

一つひとつの決断、選択に自分が正しいと思う方を選ぶ。

それが良いことなのか悪いことなのかという判断が、決断や選択の決め手となります。

例えば、「人に認められるには結果を出す必要がある。ダラダラ無意味な生活を送るのはよくないことだ。意味のある生産性の高い行動で結果を出すことこそ大切なんだ。」
と思っている人がいたとします。
これをAさんとします。

Aさんにとっては「休憩したり、ボーっと過ごしたり、家でダラダラと無意味に過ごすことは悪いことになります。」

Aさんは自己のアイデンティティーを確立する過程で、この悪とみなした感情や欲求を抑圧したり、自分から排除しようとするのです。

この抑圧された感情や欲求は、シャドーとなって自分の影の部分として内面の奥底に押し込まれます。

シャドーは悪いもの。

他者の言動にそのシャドーを見つけた場合は、それを悪いものとして抑圧したり排除したくなるのです。

休憩していたり、ボーっと過ごしたり、家でダラダラ過ごすような人は、受け入れることができないのです。

家族やパートナーなど、関係性が近くなるほどそこに怒りを感じて、「許せない」という気持ちが湧くこともあります。

しかし、この抑圧した感情や欲求は本当に悪いものでしょうか?

Aさんにとっては悪いものかもしれませんが、別のBさんから見れば何ら悪いものには映らないかもしれません。

それどころか、休憩したり、ボーっと過ごしたり、ダラダラしたくなるような気持ちを、ときにはAさんが持つこともあるのではないでしょうか?

それは特別なことでなく、極めて自然な感情でしょう。

それを自分らしさというアイデンティティーのもと、悪いものという裁きの剣をかざして抑圧してしまう。

それが影となって自分の内面に押し込まれるのであり、その影が他者に投影されたときに怒りを覚える。

これが、「人は自分の心を映し出す鏡」と言われる所以です。

自分自身が持っていると自覚しているが認めていない要素、または、抑圧により自分の内面の無意識下に押し込まれた要素に反応するわけです。

しかし、抑圧したり排除する行為自体が悪いものかというと、そういう話ではありません。

「休むのは良くない」「無意味に生きるのは良くない」という信念を持ったからこそ、実際に成果を出して周囲に認められるようになるという側面もあります。

そのアイデンティティーのおかげで、社会で認められるようになるという、「無価値な自分」に心の傷が疼きやすい幼い自分を守ることになっていたのです。

このように、人は人生の前半で自分らしさを探求し、自己のアイデンティティー、自我の確立をしていくことになります。

つづく…

いいなと思ったら応援しよう!

シンヒロキ@介護職を支える活動家 気に入っていただけましたら、サポートいただけるとありがたいですm(_ _)m 他のnoterさんの応援やより良い記事をつくるための勉強に活用させていただきます!