「資源」を使い果たしかけているイスラエルへの警告

イスラエルの人々に警告したい。ネタニヤフ氏は自らの政治生命を守るためにイスラエルを生贄にしようとしている、と。

どうやらイスラエルの人々からすると、イスラエルは被害者であり、イスラエルを攻撃する国や組織に報復しているだけだ、と考えているのかもしれない。しかし海外では必ずしもそのように受けとめられていない。

確かに過激派によるイスラエルへの攻撃があり、それは報復に値すると感じても不思議ではないのかもしれない。しかし「やり過ぎ」だという印象を世界に与えている。あなたたちは「この際徹底的に」と考えているのかもしれないけれど、その姿は残念なことに、ユダヤ人大虐殺をしたナチスに似通ってきている。外からは、そのように受けとめている人が増えていることを認識して頂きたい。

なぜイスラエル国内と海外での受けとめ方がこうも違うのか?そこにはやはり、排外的志向のつよいネタニヤフ氏が長らく国のトップとして君臨し、マスコミから得られる情報も偏って伝えられている面があるように思う。ナチズムが吹き荒れたかつてのドイツ国民は、ユダヤ人虐殺が進んでいることは薄々承知していながら、マスコミがそれを強く伝えることがなかったため、ドイツ国民は虐殺の事実を重く受けとめることができなかった。非常に残念なことに、イスラエルは当時のドイツに似た状況になっているように思われる。

こうした見解は私だけではない。なんと、イスラエルの人々が信奉しているユダヤ教信者からも異論が噴出している。正統派ユダヤ教信者からは、イスラエルの行動は暴挙であり、無辜の人々を虐殺している、と非難している。ユダヤ教信者から見ても、イスラエルの国としての行動は行き過ぎていると受けとめられている。

イスラエルは間もなく、「世界の孤児」となる恐れを抱えている。これまでは、ナチスによるユダヤ人虐殺の記憶が強かったから、欧州やアメリカは全面的と言ってよいくらいにイスラエルを支援してきた。しかし、イスラエルはあまりにも他国の人々を殺し過ぎた。正統派ユダヤ教信者たちは、「イスラエルが犯した罪により、ユダヤ教信者全員が世界から憎まれることになる」ことに懸念を持ち、イスラエルの行動を非難している。正統派ユダヤ教信者たちのそうした訴えも手伝ってか、欧州の指導者たちは、イスラエルを「虐げられたユダヤ人」と同一視することをやめ、イスラエルの軍事行動を問題視するようになってきている。

アメリカにはまだ福音派が多く、イスラエルが戦争をすることはハルマゲドンの予兆であり、自分たちが天国に行ける手始めだと感じて、イスラエルを支援する人たちも多い。しかしアメリカには福音派でない人々も多く、イスラエルを「ユダヤ人の国」とみなすことに、次第に慎重になる人々が増えている。イスラエルの人々がなおもイランやその関連国を攻め続けるようなら、イスラエルは「問題児の国」とみなされるようになるだろう。もはやその前兆は見えている。

それでもなおイスラエルが強硬な姿勢を崩さないのは、ネタニヤフ氏が自分の政治生命を守るため、戦争を引き延ばす戦略に出ており、イスラエルのマスコミもそれに合わせた内容ばかり報道するからだろう。海外にいる人間からすると、イスラエルは今、「世界の孤児」になる瀬戸際へと、次第に近づいているように見えてならない。イスラエルを全面的に支援してきたアメリカも、イスラエルには付き合いきれない、という気分が濃厚になってきている。

イスラエルの人々に警告を発したい。あなたたちは、第二次大戦後に世界で共有された「虐げられたユダヤ人」という物語を、消費し尽くそうとしている。間もなく、「ユダヤ人はかつて虐げられたのだ」と訴えても「それがどうした」と反応する人々のほうが圧倒的多数を占める恐れがある。あなたたちは、虐殺された歴史を盾にとってきたが、その盾がいよいよボロボロに崩れようとしている。他国の人々を殺したら、「虐殺された」という歴史も相対化されてしまう。あなたたちは、世界から支援を受けてきたその理由を、自ら破壊しようとしつつある。

アメリカも付き合いきれないとなった時、イスラエルは世界の孤児となりかねない。スンニ派の国々は現在、イスラエルと良好な関係を築いているようだが、アメリカがイスラエルから心を離した場合、態度が逆転する恐れがある。イスラエルがこれまで粗暴としか外からは見えない行動をとってもアメリカが支援してきたのは、ユダヤ人への同情があったから。しかしいよいよ、その「資源」は枯渇しようとしている。

「資源」が枯渇してからでは手遅れになる。イスラエルの人々の賢慮を期待したい。

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