アラフィフ姉妹の東京からTokyoへ
アラフィフ姉妹のオーバカナルおしゃべり、前回の話はこちら
紀尾井町のオーバカナルで
紀尾井町のオーバカナルでランチとお茶をして、97年のロンドンで過ごした三日間や、ミレニアムの頃のオーバカナルからはじまる界隈の記憶を語ったアラフィフ姉妹。
永田町駅までの道のりも、話は尽きません。記憶の引き出しのスタイルが似ているからかもしれません。
虎ノ門と神谷町の記憶
私「紀尾井町のオーバカナルなんて久しぶりだったわ。虎ノ門で働いてた頃は、たまに遠征してたけど」
妹「私はこのあたりで取材とか打ち合わせがあると、いつもオーバカナルに来てる。ちょっと歩くのも運動になるし。そういえば5、6年前にも、ここでばったり会ったよね」
私「そうそう。あのときは同僚の外国人と一緒だったよね。日本語がやたら丁寧な敬語の韓国系オーストラリア人の彼」
妹「あの人、まだその会社にいるの?」
私「コロナの頃に解雇されたのよ」
妹「あらま。元気にしてる?」
私「上司と会社を相手に裁判を起こしたから、連絡を取りづらくなって音信不通。
でも、表参道を自転車で疾走してるのを見たから、日本にいるっぽい。広尾にマンション買ってるし」
妹「日本人の私たちだって解雇されたら詰むのに、外国人じゃもっとハードモードだよね。私も神谷町時代にコロナでチームが消滅して契約更新されなかったから、ちょっと寄り添えるわ」
虎ノ門エリア。私たちの痛みの記憶
私「神谷町時代、懐かしいね。あの頃は忙しすぎて、私が虎ノ門で、同じエリアで働いててもランチすらしなかったよね」
妹「だね。お姉ちゃん、顔が帯状疱疹になってたし。私は私であの時代はボロボロだった。
チームがなくなった嫌な思い出があるから、あの界隈にはあまり行かないけど、この前アンダーズに用事があって、溜池山王から歩いたら、虎ノ門がすっかりきれいになっててびっくりした」
私「でしょ。私が働き始めた頃は、虎ノ門は街じゅう工事だらけだったのに。
虎ノ門病院は、帯状疱疹のときは古い病棟だったけど、婦人科系で手術した時は新しい病棟だった。立派な病院よね」
妹「ほんと、立派。あのあたり、ずいぶん長いこと工事してたもんね」
私「そう。それに、コロナ中に虎ノ門ヒルズがオープンして、虎ノ門ヒルズ駅がひっそり開業して。リモートで週一しか出社してなかったから、日比谷線の駅が増えたり、街の変化にいつもびっくりしたな。
気づいたら、神谷町までの道に気象庁のビルまでできてた」
オークラの思い出
妹「虎ノ門あたりは、オリンピックに合わせて再開発してたエリアなの?オークラもきれいになったし」
私「そうそう。オリンピックの時は、サクラのピンクにラッピングしたタクシーがオークラからたくさん出てた。IOCとか関係者が宿泊してたみたい」
妹「オリンピック中には、会場に近寄らなかったから、そんなラッピングタクシーがあったこと、知らなかった。界隈の生き証人だね」
私「地縛霊的な?笑
オークラはずいぶん長いことかけて改装したよね。世界的なムーブメントになってた。オークラの古い家具をネットオークションしてたでしょ。ママがそれに参加したがってたの知ってる?」
妹「知ってるよーどこに置くの?オークラに別に思い入れもないでしょって叱ったよ」
私「なんか参加したかったんだろうね。ネットオークションの仕組みがわかってなくてあきらめてたけど、何か欲しかったらしいよ」
妹「あ、従姉妹の結婚式がオークラだったね。古めかしい宴会場、地下だった記憶」
私「お姉さんの披露宴ね。そうだったっけ。帝国ホテルと記憶が一体化してる」
妹「そうね、もはや宴会場は渾然一体だわ。どっちも実家から遠かったから、子どもながら疲れた記憶だわ。
オークラの周りもきれいになったね」
私「10年前に通ってたおいしいお魚定食のお店とか、味のある飲食店がほとんどなくなっちゃったのが残念。さらっとした街になっちゃった。再開発って、そういうものか」
渋谷という迷宮
妹「再開発っていうとさ、渋谷も、もはや外国くらい知らない街になってるでしょ。
打ち合わせてかで行くと、知らんビルがたくさんの街になってて、見えてもつながってなかったり、横断歩道まで距離があったりのダンジョン。
もちろん渋谷駅も、進化する迷路だよ。
私は田園都市線ユーザーだから、乗り換えで駅が変わっていくのを体感してる。昔はどこも工事中で、ぐるぐる遠回りしたよね。今はすっきりしたけど、馴染みがない」
私「私は渋谷駅が恐怖すぎて都バスで行ってたわ。渋谷行きのバス停の近くに住んでたから。
でも、渋谷はバス乗り場も工事中で、どこから乗るのか毎回わからなかった」
妹「方向音痴の私たちには、再開発中も地獄だけど、街が新しくなると、馴染みの目印がなくなって立ち尽くすんだよね」
私「ほんと、それ。しかも、どこも似たような雰囲気でデジャブが起きるから、迷子に拍車がかかるのよ」
妹「東京駅も品川駅も横浜駅も、学生時代の面影ゼロ。馴染みの東海道線に乗って駅に降りたのに、知らない街に来た気分よ。新橋駅が唯一古めかしくて、知った駅だわ。新宿にはもう行けない。伊勢丹直行直帰のみ。
それに最近は電車の行き先が難しい」
私「ほんとよ。乗り入れで複雑だよね」
妹「地下鉄も増えてるんだよね。新しい線は駅が深くて乗り換えにビビる」
私「そうよ。私が働き始めた頃なんて、大江戸線はなかったし、麻布十番の駅もなかった。
あの頃の十番なんて秘境。十番祭りなんて、インターナショナルスクールと同列の遠い世界の未確認物体よ。
銀座線の溜池山王駅だって、私が働き始めた年の開業だもん。私たちも、だいぶ東京の古株ね」
妹「あらま。2歳違うだけで、印象が全然違うね。私は溜池山王駅がある世界線しか知らない。
十番に行く頃には、もう南北線も大江戸線も2路線とも使えてたもん」
消えた有楽町「ももや」と街の顔
妹「あのさ、有楽町駅前の喫茶店覚えてる? パパが学生時代から行ってたとこ」
私「“ももや”でしょ。急な階段を上がっていく喫茶店ね。子どもの頃、ホットココアを飲んだ記憶がある。
私が有楽町西武に仕事で通ってた頃はまだあったから2010年代のはじめ頃まであったよ。今はコカレストランもおかめも移転して。再開発でみんななくなっちゃったのよね。有楽町西武もなくなったし。大学生の時、有楽町西武でクラブオンカードを作ったな」
妹「クレジットカード機能なしでポイント貯めるやつね。私も有楽町西武で作った。私、学生の頃に銀座でバイトしてたでしょ、バイト前にたまに“ももや”に行ってたんだ、背伸びして。
あとおかめも移転前のお店に。そういう思い出のお店が再開発でなくなると、街の顔がわからなくなるし、また道に迷う」
私「結論:私たちが道に迷うのは仕方ないってことね」
妹「そういうこと。今度お茶する時は虎ノ門にしよう。横丁にまだ行ってないの」
私「虎ノ門横丁?いや、オークラの方がアラフィフは落ち着くんじゃない?」
妹「そうね。じゃあ、次は来年になるかしらね。今年ももうすぐ終わる。はや」
私「うん。虎ノ門界隈で、来年に」
アップデートを重ねながら
アラフィフ姉妹は、ちょっと古めかしい構内の永田町駅で別れました。
私たちが生きてきた年数分、駅も街もまた生きていて、変化し続けている。
東京からTokyoへ。桜はサクラに。
生きるとは、変わり続けること。
人生は迷路。
2026年には、どんな変化が起きるのでしょう。
アラフィフ姉妹、アップデートを重ねながら、ハンカチを片手に地道に生きていきます。
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