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ポストイットに込めた想い。アラフィフの付箋30年史

付箋と外線と新人と

アラフィフの私は、気づけば仕事を始めてから30年余りが経ちました。
今日は、長年のオフィス生活で静かに変化してきた「付箋」について、あの頃を思い出しながら書いてみようと思います。

90年代後半に新入社員だった頃、仕事といえば対面と電話がすべてでした。
特に電話。
外線電話が鳴ればワンコールで取る、それが新人の役割。令和の今では遠い目をして眺める“昭和”な風景です。
私はよく「〇〇さんへ、△△会社の□□さんから、〇時〇分にお電話がありました。折り返しお願いします」と、黄色い付箋にメモを残していました。

my電話がない私は、隣のデスクの40代男性と電話を共有していました。朝早く出社して、受話器を消毒するのがルーティン。喫煙者おじさんとの電話共有…あればキツかった。今の令和女子には、マジ無理案件だと思います。

最初は「付箋」と呼ばれていたそれは、いつの間にか「ポストイット」と呼ばれるようになり、色も形もバリエーションが豊かに。机の上に貼られた小さなメモは、オフィスの空気をやわらかく彩ってくれました。

デスクトップに現れたデジタル付箋「Peta」

2000年代に入り、自分専用のパソコンが支給されるようになると、オフィスにはちょっとしたデジタルブームが起こります。
そのひとつが、デスクトップに貼れる「Peta」という付箋ツールです。なつかしいですよね。覚えていますか?

自分好みの背景を選んで、画面にちょこんと貼りつけられるPeta。犬とかクジラとかかわいい柄のテンプレートもあって、女子たちのあいだではちょっとした人気アイテムでした。

当時、社内恋愛が終わりかけていた私は、Petaに表示されるプレゼンス機能(ペタユーザーは在籍中のみ、名前が表示された)で、別フロアの彼の在席状況をこっそり見ていたことも。
今思えば、ちょっと切ない思い出です。軽いストーキング、フラれた理由が「重かった」だったの、今ならわかります。
弱火な私なりに、恋愛には燃えていたのです、重めに。
あぁ黒歴史だわ。

女子同士のちょっとした連絡や、「〇〇さんから折り返しください」などのPCB(Please call back)メモも、Petaでやりとりしていました。
まだ電話が主流だった時代の過渡期ならではの使い方だったと思います。

PCBメモの進化と、Outlook時代の到来

やがてPetaは姿を消し、私の職場ではメールとポストイットがメインになりました。画面より紙の方が気軽だったのかもしれません。

電話が鳴れば、受けた人がポストイットに用件を書き、相手のモニターにペタリ。
そんなアナログとデジタルの間を行き来する時代に、Outlookのポップアップ通知が登場します。右下にふわっと現れる「メール受信のお知らせ」が出るたびに、女子たちのやりとりが強火に始まりました。

「今返信きた!」「これってどうする?」そんな言葉がメールのスレッドの合間に飛び交い、オフィスの空気が活発になったことを覚えています。

Skypeでつながる女子ネットワーク

その後、導入されたのがSkypeでした。チャット機能がついたことで、PCBメモはSkypeとポストイットの併用に。海外オフィスとのチャットもできるようになり、私は香港のオフィスと漢字混じりでチャットを楽しんだり、一度も会ったことのない韓国の女子と残業中にSkype越しに語り合ったりしていました。

韓国の同僚女子とは、お互いが英語苦手どうし、また母語の文法が似ているからか、英語の構成の仕方も似ていて、わりと深めに通じ合えました。
同年代だった彼女とは言葉だけでなく、仕事の悩みや働き方の迷いも、チャット越しに共有できたこと、今でも大切な記憶です。
2014年、30代のハロウィンの日の夜遅くに交わしたこんな会話は、毎年ハロウィンになると思い出します。
私:Today is Friday Halloween but I’m still working overtime 🤢
韓国女子:Me also… I become ghost soon 👻

Teamsと「マルハラ」と昭和女子

コロナ禍を機に、私の職場にもTeamsが導入されました。
電話は減り、内線もチャットで済むように。PCBメモも、今ではすっかりTeamsの中で。まだポストイットも使っています。ちょっと絵を描いたり、遊び心や癒しを与えたい時にはアナログ回帰するのです。

Teamsはとても便利なツールですが、そのスピード感に、時に息が追いつかないこともあります。一度席を離れると、会話の流れがもう読めなくなっていたり、短文のやりとりがときにキツく感じられたり。
私は昭和世代なので、句点「。」をつけるのが当たり前でしたが、若い世代からすると、それが高圧的で、「マルハラ」(句点ハラスメント)になることもあると知ったときは、ちょっと驚きました。
でも、トゲのある強火昭和女子とのやり取りが「。」できっちり結ばれた威圧的なそれを体験している私は、その気持ちもわかるようにな気がします。

静かに変わる、オフィスの小さな風景

この30年あまりで、オフィスまわりには多くの変化がありました。目立つのはデジタルツールの進化ですが、実は付箋ひとつとっても、静かにその役割を変え続けています。

あの黄色いメモに書いた電話の伝言も、Petaで送ったささやかなメッセージも、すべてが私の仕事の記憶の一部です。
そして今も、Teamsのチャットが右下にそっと通知を出してくれるとき、あの頃の「ふせん」の気配を、ふと思い出すのです。

どんなに時代が変わっても、人と人の間にある「ちょっとした気遣い」や「気配」は変わらないものです。
そんな気配にささなかな思いやりを添えるのが、ポストイット。円滑に仕事をこなす、ささやかなコツなのかもしれませんね。


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