美容クリニックの現実〜ラクそうだから転職した結果〜【第七話】
「こんな可愛い新人がよかった」
数か月後、新しい新人が配属された。
学校を卒業したばかりの、まっさらな新人たちだった。
私は驚いた。
先輩たちが優しかったのである。
分からないことは丁寧に教える。
失敗しても笑ってフォローする。
出来たことは褒める。
私が入職した時には見たことがない光景だった。
新しく来た新人たちは優しくされていた。
私がボコボコにされている横で。
もちろん、新人に優しくすること自体は悪いことではない。
でも私は知ってしまった。
この人たちは誰にでも厳しいわけではなかったのだ。
私なりに頑張っているつもりだった。
知識を身につける。
できるだけ多く施術に入る。
反省もする。
それなのに評価されない。
冷たい視線。
刺さるような言葉。
その空気に怯えて、手が震えることもあった。
ある日、先輩が新人たちに囲まれながら笑っていた。
「こんな可愛い新人がよかったー」
そう言って、こちらを見た。
周りも笑っていた。
私も笑った。
笑うしかなかった。
その時ふと思った。
ああ。
この人は私のことが嫌いなんだ。
今までずっと、
私の努力が足りないのだと思っていた。
覚えが悪いから。
仕事ができないから。
気が利かないから。
だから怒られるのだと思っていた。
でも違ったのかもしれない。
ただ、嫌われていただけだったのかもしれない。
そのことが、何より苦しかった。
私は新人ではなかった。
病棟ではリーダーもした。
師長代行も任された。
少なくとも、自分ではそれなりにやってきたつもりだった。
だからどこかで、
自分はそこそこやれる人間だと思っていた。
今思うと、その自負がいけなかったのかもしれない。
美容クリニックに入れば、
また評価されると思っていた。
ところが現実は違った。
私は誰からも必要とされていないように感じていた。
その日の帰り道だった。
何を考えていたのかは覚えていない。
気づけば私は、
転職サイトに登録していた。
【第8話へ続く】
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