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トランプ政権のイラン攻撃と基軸通貨ドルの変容:2026年グレートリセットの幕開け

【要旨】

2026年2月末から3月初旬にかけて、アメリカ合衆国とイスラエルによるイランへの大規模な軍事攻撃が実施され、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師やイスラム革命防衛隊の司令官ら200人以上が死亡する事態となった。トランプ大統領は、イランの体制転換を視野に入れ、軍事作戦を最長4週間程度継続する可能性を示唆している。この攻撃の背景には、トランプ氏の国内支持率の低下や、エプスタイン問題からの視線逸らし、さらには2026年7月の建国250周年に向けた実績作りといった政治的意図が強く働いている。この中東危機の激化は、金融市場にも甚大な影響を与えており、日本の株式市場では「高市ラリー」と呼ばれた上昇相場が急落に見舞われた。さらに、Artificial Intelligence(AI:人工知能)関連投資の過熱に伴うPrivate Equity(PE:プライベート・エクイティ)ファンドの破綻懸念により、「リーマン・ショック」を超える金融危機の到来も議論されている。一方で、世界的な「脱ドル化」と地政学リスクの高まりを背景に、純金価格は史上最高値を更新し続けており、1トロイオンスあたり6000ドルに達するとの予測も現実味を帯びている。本稿では、イラン攻撃の背景、株式市場への影響、そして純金価格の今後の動向について詳細に論考する。

【はじめに】

2026年に入り、世界情勢はかつてない激動の渦中にある。その中心にあるのが、第2次トランプ政権下のアメリカが強行したイランへの大規模軍事攻撃である。日本時間の2026年2月28日から3月1日にかけて、アメリカ軍とイスラエル軍はテヘランを含む主要拠点に対して空爆とミサイル攻撃を実施した。この攻撃は、事前の核協議が継続中であったにもかかわらず、突如として予想を上回る規模で決行された。最も衝撃的であったのは、イランの国家元首であり宗教的最高権威であるアリ・ハメネイ最高指導者が死亡したことである。これにより、1979年の革命以降続いてきた同国の統治体制は根底から揺さぶられることとなった。

イラン側は直ちに報復を宣言し、実際にイスラエル中部の都市に対して弾道ミサイル攻撃を実施した。イスラエル国内では地下シェルターごと破壊される被害が報告されており、迎撃システムが機能しなかったことに対する国内の反発も高まっている。また、中東全域に展開するイランの支援を受けた武装組織、いわゆる「抵抗の枢軸」も活動を活発化させており、レバノンのヒズボラなどがイスラエルに対するロケット弾攻撃を激化させている。

この軍事衝突は金融市場においても急速なリスクオフの動きを広げている。特に日本では、高市早苗総理大臣の誕生に伴う大規模な積極財政への期待から「高市ラリー」と呼ばれる株高が続いていたが、この中東ショックを機に日経平均株価は一時急降下した。さらに、アメリカ市場ではAI関連株の過剰な期待が剥落し始めており、地政学リスクと相まって複合的な金融危機の引き金となる可能性が浮上している。

【アメリカの軍事行動の真の狙いと国内政治】

今回のイラン攻撃に関して、アメリカが公式に掲げている理由は「イランの核兵器開発の阻止」と「テロ支援の抑制」である。しかし、多くの分析によれば、トランプ大統領の真の狙いは国内政治、特に自身の支持率回復と2026年の中間選挙に向けた戦略にある。

直近の世論調査では、トランプ氏の支持率は低下傾向にあり、不支持が支持を上回る状況が続いていた。さらに、国内では「エプスタイン問題」が再燃し、トランプ氏とジェフリー・エプスタインとの関係を示す未公開文書の公開を求める圧力が強まっていた。また、移民取り締まりに起因する国内の混乱も批判の的となっていた。これらのネガティブな国内問題を打ち消すために、外交・安全保障上の危機を意図的に活用したと見られている。

重要な政治日程として、2026年3月に開始された各州の予備選挙がある。特に共和党の地盤であるテキサス州の連邦上院議員予備選挙において、現職の共和党重鎮が苦戦を強いられていた。予備選挙で現職が敗れれば本選での資金配分に深刻な悪影響を及ぼすため、保守層のナショナリズムを喚起し、支持を固める必要があった。共和党支持層の世論調査において、イランへの軍事介入を容認する声は50%と突出して高かったことも、攻撃対象にイランが選ばれた大きな理由である。

トランプ政権の最大の目標は、2026年7月4日に予定されているアメリカ建国250周年の記念式典である。トランプ氏は、この記念日までにベネズエラ、イラン、そして場合によってはキューバなどの「反米国家」の体制を転覆させ、アメリカの圧倒的な軍事力を世界に誇示することで、歴史的な功績としてアピールしようと目論んでいる。すなわち、イラン攻撃は建国250周年に向けた壮大な政治プロデュースの一環といえる。

【イランの指導体制の崩壊と中東の地政学リスク】

最高指導者ハメネイ師の死亡は、イラン国内に未曾有の権力の空白を生み出した。ハメネイ師の側近や司令官クラスも多数死亡したことで、指揮系統は著しく混乱している。トランプ氏はイラン国民に対して政権に対する蜂起を呼びかけているが、治安機関は依然として弾圧能力を保持しており、親米的な新政権が即座に樹立される可能性は低い。むしろ、追い詰められた強硬派が実権を握り、過激な報復に出るリスクが懸念されている。

その最大の懸念事項が、ホルムズ海峡の封鎖である。イランは世界の原油輸送の要衝である同海峡を完全に封鎖する能力は持たないとされるが、機雷の敷設や拿捕の脅威をちらつかせるだけで、海運会社や保険会社が航行を忌避し、実質的な物流網の麻痺を引き起こすことができる。実際に、一部の海運会社は海峡通過を控え始めており、短期的には原油価格の高騰やサプライチェーンの混乱が不可避となっている。

さらに、イランは長年にわたり中東各地のシーア派武装組織を支援し、「抵抗の枢軸」を形成してきた。レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派などは、イランの指示または同調によって、アメリカやイスラエル、さらには親米的なアラブ諸国に対して非対称な攻撃を仕掛ける能力を持っている。これにより、紛争は地域全体を巻き込んだ広域な非正規戦へと発展する恐れがある。

【株式市場への影響とリーマン・ショック超えの危機】

中東の地政学リスクは世界の株式市場に大きな動揺を与えている。日本では、高市総理の誕生以降、積極財政への期待から記録的な株高が進行していた。日経平均株価は未踏の高値圏に達していたが、イラン攻撃の報を受けて急落した。この動きは、2013年のアベノミクス相場における「バーナンキ・ショック」と類似している。当時も、FRB議長の発言をきっかけに過熱していた日本株が短期間で20%以上暴落した。今回も上昇ピッチが速すぎたため、利益確定売りに押されやすい脆弱な地合いとなっていた。

しかし、真の脅威は中東情勢だけではない。アメリカ市場を中心に膨張してきたAI関連投資のバブル崩壊リスクである。2026年には「Anthropic(アンソロピック)ショック」が発生し、次世代AIであるClaude 3.7 Sonnetなどの登場により、AIが自律的にタスクを遂行する能力が飛躍的に向上した。これにより、従来のSaaSモデルの陳腐化が懸念され、関連銘柄がわずか1ヶ月で最大40%も暴落した。リクルートホールディングスのような優良企業でさえ、短期間で36%の下落に見舞われている。

さらに深刻なのが、AIデータセンター建設に向けた巨額資金の調達手法である。トランプ政権はAI投資に総額200兆円規模の投資を掲げているが、その資金の多くはPEファンドを通じて調達されている。PEファンドは9%という高い利回りで年金基金などから資金を集めているが、データセンターの運営は構造的な大赤字となっている。この債権はCredit Default Swap(CDS:クレジット・デフォルト・スワップ)によって保証されているが、これはリーマン・ショック時の構造と酷似している。専門家は、2年以内に20兆円規模のPEファンドの破綻が想定され、時価総額3000兆円を占める巨大IT企業群の株価が30%から40%下落する「リーマン・ショック超え」の危機が到来すると警告している。

【純金価格の高騰と脱ドル化の加速】

株式市場が不安定な中、逃避先として純金(ゴールド)の価格が高騰を続けている。2026年初頭には1トロイオンスあたり5000ドルを突破し、現在では5500ドル近辺で推移している。日本国内の小売価格でも1グラムあたり2万8000円前後に達するなど、記録的な水準である。

金価格上昇の最大のブースターはトランプ氏の政策である。トランプ政権は中国や欧州、日本に対して高関税を課すとともに、アメリカのSovereign Wealth Fund(SWF:政府系ファンド)への巨額拠出を要求している。また、トランプ氏は意図的にドル安とインフレを誘導することで、アメリカの対外負債の実質的な価値を減らし、国家資産を生き残らせようという「グレートリセット」のシナリオをとっているとの分析もある。事実、1913年のFRB設立以降、米ドルの購買力は年率平均3.1%で下落し続けており、法定通貨の価値の減価は歴史的必然となっている。

このようなアメリカの自国第一主義に対し、BRICS諸国などは「脱ドル化」を加速させている。2022年以降、世界の中央銀行は年間1000トン以上の金を準備資産として買い越しており、これは世界の年間供給量の約3分の1に相当する。すでに準備資産において、金の時価総額が米ドルを超えたとの分析もある。イラン情勢の悪化やAI投資バブルの崩壊が顕在化すれば、金価格が年内に6000ドルに到達する可能性は極めて高い。

【日本政府の対応と今後の投資戦略】

日本政府も困難な舵取りを迫られている。高市総理は、トランプ氏に対して攻撃による被害拡大に懸念を示し、不安定化させる行動をやめるよう申し入れている。しかし、トランプ政権からは防衛費のGDP比5%(約30兆円規模)への引き上げや、SWFへの80兆円投資を強硬に要求されている。これに応じれば国債増発と金融緩和が避けられず、過度な円安とインフレが進行する「円安インフレ」が定着することになる。日本の実質金利は約マイナス2.25%と主要国で最も低く、円を保有し続けること自体が年間を通じて「インフレ税」を支払っているのと同じ状態である。

このような環境で資産を守るためには、家賃などの固定費を抑え、家計簿で収支を可視化し、投資元本を捻出することが急務である。その上で、現金の保有比率を15%から20%程度に絞り、インフレに強い資産に分散投資することが不可欠となる。

具体的には、全世界株式などのインデックスファンドを基軸としつつも、アメリカ一極集中の終焉を見据えた地域分散が必要である。そして、究極の守りの資産として、発行体リスクが存在しない「純金」と、デジタルゴールドとしての立ち位置を確立した「ビットコイン(Bitcoin)」を組み入れることが推奨される。法定通貨の価値が毀損していく時代においては、政府のコントロールを受けない非政府資産の保有が、最大の資産防衛策となる。

【まとめ】

2026年3月現在、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃は、地政学構造を塗り替えるだけでなく、世界の金融システムに決定的なパラダイムシフトをもたらそうとしている。トランプ大統領の政治的思惑から引き起こされたこの危機は、AI投資バブルの限界と相まって、株式市場に深刻な暴落をもたらすリスクを孕んでいる。同時に、ドルの価値下落政策は世界的な「脱ドル化」を推し進め、純金価格を6000ドル領域へと押し上げようとしている。日本においても円安インフレが進行する中、国際情勢の裏側にある真の意図を見極め、現金依存から脱却し、金やビットコイン、分散された株式といった実物資産や金融資産へと再構築することが、自らの資産を守るための最善の道となるだろう。


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池原久朝 / Hisatomo Ikehara, MD, PhD このコンテンツの内容が参考になりましたら、コーヒー代程度のチップでサポートしていただけると幸いです。

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