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「年末おもしろ短歌大会2025」結果発表!!大賞・準大賞・優秀賞

明ましておめでとうございます🎍
中身は古古米、声だけ二十代の新米歌人、丹生暁子です。
自分のことを歌人と呼んでいいのかどうか、今だによく分からないししっくりきません。じゃあどう呼べばいいのか。かつて“変態”というあだ名を付けられたことのある私、早速それで自己紹介をしてみましょう。



こんにちは!!変態です!!!



捕まるて。

さあ、そんな事はどうでも良いのです。ここまではすっ飛ばして読んでいただいて(先に言え)、昨年末に開催された「年末おもしろ短歌大会2025」の結果発表に移りたいと思います。

総応募者数237名、総応募作品数728首。
総企画&運営&選者1人の初めての企画でまさかの大盛況、誠にありがとうございました!!!
そして途中で助けてくださった歌人の方々もありがとうございます!!

その728首の中から8首を選び出し、Xの皆様(怪しい結社みたい)に8首のうちのいずれかに投票していただき大賞1首、準大賞1首、優秀賞6首が決定いたしました。総投票数149票。ご参加くださった皆様、ありがとうございました!!

それでは、「年末おもしろ短歌大会2025」の栄えある大賞に選ばれた作品がこちら!!

🥇大賞

ジャマイカのバスに揺られているときのウサイン・ボルトはゆっくり進む/中村マコト

最初はね、これがどう面白くなるんだろうと思ったんですよね。だってジャマイカのバスだもん。そこにウサイン・ボルトが出てきてよ、「ゆっくり進む」って言われたんですよ!
どう考えてもバスの方が速いよね。ボルトの最高時速は約45kmらしいので。バスの方がかっ飛ばしてるよねきっと。でももう一回読んでみて?ゆったりした空気を感じませんか?
競技の間は緊迫感がえげつないと思う。練習に練習を重ねて最高の結果を残すべく走り抜いて、世界最速と呼ばれた男、ウサイン・ボルト。その彼が、今は故郷であるジャマイカのバスに乗り、おそらくは田園風景が広がる中を揺られながらゆっくりと進んでいる。

映画を観ているようでした。たった31音の、たった1首のこの短歌を読んだだけで、まるで映画を1本観終わったような感動に襲われて、しばらく椅子に深く沈み込んでしまいました。
そして最終候補作品8首を選ばなければならなかった時、どれも力作揃いで迷いに迷ったものの、このお歌だけはどうしてもどうしてもどうしても外したくなかった。投票してくださった方々も、もしかしたら私と同じような気持ちになっていたのかもしれません。投票でいちばんに選ばれた時、ああやっぱりいいお歌なんだなと思って私も嬉しかったです。
中村マコトさん、大賞おめでとうございます🎊

続きまして、準大賞に選ばれたのがこちらの作品です。

🥈準大賞

捨て猫にコートをあげた変態が全裸になって佇んでいる/川島薪

変態に詩情を挟むな(笑)。

嘘みたいでしょ。嘘みたいにきれいなお歌だなと思ったんですよね。思っちゃったんですよ。

街中なのか裏路地なのか、人通りがあるのかないのか分かりませんが、外で全裸で立ってたら犯罪やで。
でもその変態が何をしたかって言ったら、捨てられた猫ちゃんに自分のコートをあげちゃったんですよね。通りすがりの見知らぬ人に、自分の裸を見せつけて驚かせる事でしか満たされない自己顕示欲を持った人が、捨て猫にコートを与えて何を思ったのでしょうか。

もしこれが「立っている」だけなら、また違う意味になったでしょう。しかしこの変態は「佇んでい」ます。全裸なのに、もう誰かに裸を見せることなんか忘れちゃってるんじゃないでしょうか。だからうっかり好きになっちゃいそうな気もする。危険な歌です(笑)。

そして、上記の大賞と準大賞のお歌は、投票開始当初からずっと接戦でした。最終投票結果も僅か1票差。どちらが大賞となってもおかしくない状況でした。
いつか変態が1位を獲る日も来るかもしれない。おもしろ短歌はそれくらい、何が起こるか分からないものであってほしいなと思います。

続いては優秀賞6首の発表です(投票結果の順位順に並んでおります)。

🥉優秀賞

くら寿司で上のレーンをシュン‼︎と来る皿をパァン‼︎と弾いてみたい/古橋つちこ

実は私、最終候補作品8首をうちの小学生に読んで聞かせてみたのです。その中で唯一うちの子がブフォッと吹き出し「おもろ!」と言ったのがこちらのお歌でした。
勢いのあるお歌は他にもたくさんあったのですが、勢いがあって分かりやすくてここまできれいにまとまっている作品は、他には無かったように思います。

子育てをしていてよく思ったのが、大人ってなんて優しいんだろう!という事でした。
ルールを覚える前の子どもたちはとにかく破茶滅茶!!!理不尽!!!目を凝らして見ていても何をするか分からない!!!!!
一方、大抵の大人たちは大人しく、ルールを守りマナーを身に付け、話せば分かってくれる……。でもそんな大人たちも本当は、ただ我慢して大人らしく振る舞っているだけなのかもしれない……。そこで現れたのがこの「禁断の野望(*ご本人談)」な訳です。

「シュン‼︎」と来たものを「パァン‼︎」と弾く。
潔くて清々しい!!でも絶対やっちゃ駄目!!そこが面白くて、読んでいてスカッとするようなお歌でした。


「おい磯野、短歌やろうぜ」と背後から三十路ニートの中島がくる/森内詩紋

中島くん……、どうしてそうなった(笑)。
しかしありそう(笑)。

「短歌では稼げない」というのが常識らしい……と知ったのは、私が短歌を始めて程なくのことでした。芝居をやっていた時も詩を書いていた時もイラストを描いていた時も「お金にならない」と言われ続け、それでも自分がやりたい事をやりたいと始めた短歌までそうなのか!ショック!!と思ったけどしょうがないよね。どうせやるよね好きだから。

だから「ニートの中島」くんが「短歌やろうぜ」って言うのも妙にリアルで説得力があります。しかも「三十路」。それまで色んな事をやってきて、これは面白い!!と思ったのが短歌なのじゃないかしら。
ニートなのが磯野くんじゃない所もいいよね。あのお父さんじゃ絶対許さないよね(笑)。

岩かしら電話に出ずに立ちつくす同僚いいえ岩なのかしら/わりん

怒ってます。お姉さんは怒っています。
電話が鳴っているのに一切出ようとせず動かない同僚を岩に譬えているように見せかけて、その実仕事をしてくれない同僚への怒りが沸々と湧き起こりまるで岩のように大きくなってしまった“私”の感情が隠されています。
殴りたくても殴れないよね。岩だしね。
でもそんな怒り狂いたい場面でも、「岩なのかしら」なんて上品な言葉でなるべく角が立たないように収めようとしている。大人だなぁ。しかし怒りを抑えられるだけの強さがあるということは、本当に怒らせたら怖い相手かもしれないということを忘れてはいけません(笑)。

でも私はこのお姉さんの、ちょっとした余裕と色気を感じさせるこの言い回しが最高に好き!!私も岩を砕きに向かわず、このくらい余裕のある大人になりたいわ!!


春なれば脱毛サロンの広告が電車のドアの両脇にある/有利

もうね、「脱毛サロンの広告」から「電車のドアの両脇」が来るとは思わないじゃない?!電車にも脇があったーーーーー!!!!!ってビックリしちゃったよね。一本取られた感が物凄かったです。
しかもそれからずっと脇毛ボーボーの電車の図が頭に浮かんできちゃって、おかしくて笑わずにいられますかよ!!

脇毛ボーボーの電車。
皆さんも想像してみてください。
毛を靡かせながら走るぜ。
整備士さん、脱毛してあげて(笑)。

ツッコミに追いかけられてトンネルでなんでやねんにエコーがかかる/白雨冬子

「ツッコミに追いかけられ」る。なんでやねん。
でもまあツッコミともなれば、いついかなる時もツッコめるような態勢でいなければなのかもしれないし、ネタさえあればどこまででも追いかけていくかもしれない。それくらいの強さはある。

それがトンネルに入ってしまってかかるエコー。
どこまでも響き渡る「なんでやねん」。
何回言うねんて言いたくなるくらいの「なんでやねん」。
って言うかお前ずっと「なんでやねん」て言うてたんか……。

なんでやねぇぇぇん!!
…ぇぇん…ぇぇん…ぇぇん………!!


こんなおもしろ短歌を詠まれた白雨冬子さん、実は全部で5首応募してくださいました。ああ、この方は短歌を詠むのがお上手なんだな……と思う程どれも素敵なお歌だったのですが、今回はもう1首だけ引用させていただきます。

痛いのはレゴだろうけど肉じゃがを踏んだときより戸惑いはない/白雨冬子


AIの夫は夫婦喧嘩でも私好みのキレ方をする/あおい(aoiaoi@カクヨム/雪葵@エブリスタ)

()内はXのユーザーネームです。

AIが随分身近になりました。法的には認められなくても、実際に模擬結婚しちゃう人もいるかもね。そしてそんなAIの夫とも、喧嘩する日が来るのでしょうか。

「私好みのキレ方をする」
ここが何とも言えませんでした。AIだから理解不能なキレ方をしたっておかしくはないんだけど、そんな所までしっかり好みに合わせてくるんだ……と思うと妙に納得してしまいます。さすがAI、勉強家。

しかし「好みのキレ方」とは(笑)。
怒ってるけどカッコイイ❤️のギリギリラインを攻めてくるということでしょうか……。キレ方にまで好みがあるとなると、最早AIしか相手にできないようなこだわりの強い女性かもしれません。なんて色々と想像が膨らみます。
その「キレ方」見てみたいなー。


今回の発表は以上となります。
でもまだまだおもしろ短歌を読みたいですよね?!
まだまだあるんです!!

728首全てをご紹介することはできませんが、その中で厳選した佳作30首を、次の記事でご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに!!

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