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神の子とダンジョン ・ 第18話 − 199

「私がお友達は好きにお呼びなさいと言ったために、申し訳ありません。」
 トールの奥さん、マーガレットが深く頭を下げるものだから、とりなしに少し苦労した。
 新築の屋敷のリビングではとても収まりきらず、来客は庭にまで溢れている。

 晴れていて良かったな、とジュニア君に声をかけようとして ―― 気づいた。
 ……なんだ?
 彼の周りに、女の子が群がっている。 
 ジュニア君の学友達だろうか?

 姿は現していないが、秘宝テデクスが耳元で囁いた。
「城下で唯一、王立ロージュ(中学)に通いながらも、誰にでも優しく、しかも最年少のダンジョンハンターじゃ、人気も出よう。」

 なるほどな、と腑に落ちた。
 人気者は、“ 百合姫 ”フラウだけではなく、名探偵君もか……
 確かに、なかなかデキる男の子だしね。

 今日の新築祝いの会の料理はコーエンさんにお願いしたのだが、手伝いに来てくれたラビも、なかなかに目立っている。
 アルス姫が「可愛いお嬢さん」と、礼状を書いたせいで、今ではレドゥビア小町などと呼ばれている。
 アルス姫が名付けた “ レドゥビアン・ペッシビーノ ” となったコーエンさんの料理にお客様達も大喜びだ。
 うん、何より何より♬

 一方、オイラとトールの周りに集まるのは男衆ばかりだ。
 ……まあ、別にいいけれど。

 バカルはバカルで、やはり人気がある。
 第四衛士隊長で、若くしてレドゥビア十六家門に名を連ね、ベルゼウの名をレドゥビア王から与えられた、いまや城下でも屈指の人気を誇る騎士だ。

 成り上がり過ぎだろ ―― 
 いや、見事な成り上がっぷりだ。
 バカルおめでとう。

 ラビがハープシコードを鳴らし始め、フラウを手招きした。
 来客、特に若い女の子達が、フラウの歌声にため息をつきながら夢見心地な顔になる。
 学友といっても2つ3つ上の学年の女の子達も来ている、武具屋組合長のお孫さんもいるのだろうか。
 なかなかに、フラウは歌も上手だ。
 うんうん、皆がよろこんでくれるのが一番だ。
 これまた、何より何より♬
 オイラ達の家の新築を、沢山の人が祝ってくれるのは本当に嬉しい。

 そんな時に――
 エースさんが屋敷に現れた。

 「よお、新築おめでとう!
 盛り上がってるな。」
 いつものエースさんらしい、気さくな口調。
 屋敷に来ていた客達が、彼の登場で盛り上がる。
 レドゥビアのスターハンターが来てくれたのは、オイラだって嬉しかった。

 ところが、四ヶ月ぶりに現れたエースさんが振っている手は左手だった。
 右手は白い布で吊られている。

「いやぁ、下山の時に転がり落ちてさ〜。
 死にかけたよ。
 参った、参った。
 アハハハ☆」
 そう言って、本人は笑って、三回目の挑戦だけど、また残念だワ〜、と軽く肩をすくめてみせた。

 オイラは知らなかったのだけれど、エースさんは山男だったのだ。
 今は、レドゥビアから見えるアルプスの一番高い山に挑戦中なんだそうだ。

 山男のエースさんとしては、まだ誰も成功していない、その山の切り立った西側ルートからの登頂を狙っているらしい。

 山男業界では“西壁グランフォールルート”と呼ばれる、超高難易度の挑戦だという。
 下山なんて言っているけれど、垂直に登って、垂直に降りてくるようなものだ。
 そう考えると、腕の怪我だけで済んでいるのが不思議というより、正直、少し怖くなった。

 そんなオイラの心配をよそに、エースさんはトールの奥さんに包みを手渡した。
「大したものは用意できなかったのだけど、アルプスリリスだよ。」

 その言葉に、来客たちがどよめく。
 アルプスの高地、岩場でしか採取できない野草。
 そのアルプスリリスは、肌を白く、つややかにするという、超貴重品だ。

 マーガレットが、
「こんなによろしいのですか……」と、思わず声を落とす。
 するとジュニア君が目ざとく、
「そちらの包みは?」と、エースさんに尋ねた。

「ああ、こっちは西門界隈の女衆への土産さ。」
 城下西門界隈の女の子たちへの気配りも、エースさんは忘れていないらしい。
 彼はなにかと、あの娘達を気にかけていて、そんなところも素直にカッコいいなとオイラは少し感心してしまった。

 「ジャック、前にも言ったけれど、お前も一度、行ってみちゃどうよ。」などと、エースさんは軽く言う。
 となりにいたトールは、その言葉が聞こえなかった振りをしていた。

 大勢の人たちに祝われて、楽しくて良い祝宴だ。
 エースさんの怪我が治るまでは、宮殿攻略はしばらくお預けだろう。

 けれど、ダンジョンと呼ばれる旧市街には、実りの秋が確かに深まりつつある。

 明日が楽しみだ。

 そんな時、マーガレットがオイラの耳元で、そっと囁いた。

「エース様があれほど仰るのですから、 一度、学んできては如何でしょうか。
 トールもバカル様も、もうワインを召し上がっていますし、今日は狩りはお休みになさるのが、よろしいかと。」

 ええっ……!?
 マーガレット、いいの?

 
 続きます。
 次回は、200回記念「ジャック西門界隈デビュー」の回(あくまで、予定www)

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 今回のタイトルカットは、フレキシブルフランクことChatGPTの作画
 神ダンを連載してから、閲覧数やハートか増えております。
 皆様、本当にありがとうごさいます↗️

 いつもお世話になっている、優音先生のご紹介☆

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