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神の子とダンジョン ・ 第22話 − 206

 週に二度程、早朝に前庭でフラウと稽古をする。
 まだ六歳とはいえ、気を抜くとヒヤリとするほど、フラウの棒術は見事だ。

「私も、魔法棒術師になれたら良いと思うのです。」
 うん、そうなったらオイラも勝てなくなるかもしれないな。

 稽古の後、フラウはウバメガシの実を植えるのを手伝ってくれた。
 ちょっと前からオイラは旧市街へ続く用水沿いに、少しずつウバメガシを植えている。

 テデクスのためにドングリを集める時、細長いドングリ・ウバメガシの実も拾う。
 テデクスはそれを食べない。
 それを三、四日ほど水に浸けてから、土に植える。

「ドングリさんを育てているのですか?」

 フラウに聞かれたから、勇者がレドゥビアでは彼がいた世界より木や生き物の成長が、少しだけ早いと言っていた。
 それならノカナの国みたいに、ウバメガシがなくならないようにしたいんだと話した。

「木が早く育つと、嬉しいのですか?」

「うん。 そうだよ。
 それは沢山の恵みを受け取れるってことだからね。」

 「精霊王様のおかげでしょうか?」
 フラウに、そう言われてオイラは、少しだけ考えてから答えた。

「……そうかもしれないと思っている。」
 実を植え終えると、フラウと生け簀の鯉に餌をやる。
 元気に餌を食べる鯉を眺めてから、二人で静かに精霊王様へ祈りを捧げた。

 用水からの帰り道、フラウに西門闘技場の魔法剣士から聞いた話をした。
 古代神と契約した彼女は、精霊の恵みを受けにくいのだと言っていた。
 彼女は竈に火を入れるのも少し苦手で、怪我の治りもレドゥビア生まれの民とは違う気がするらしい。

 オイラもノカナより、このレドゥビアの地の方が信心深いせいか、精霊が濃い気がすると話した。
 フラウは何かを考えたからか、少し間をおいてから言った。

「フラウは …… ジャック様が死ななかったのも、父様や母様が元気なのも、精霊王様のおかげだと思っています。
 だから、レドゥビアが大好きなのです。」
 とはいえ、本当に精霊王がいるのかは、オイラには分からない。
 いてくれたら、良いなとは思う。
 だからオイラは何も言えず、ただフラウの頭を撫でてやった。

 朝飯を食べてから城へ向かい、門番の衛士に勇者へのドングリの差し入れを託した。

 アナテスもドングリが好きなはずだと、テデクスが言っていたからだ。

 城を出て、ゆっくりと川下の農家組合へ向かう。
 蔦の葉が赤くなり始めている。
 冬になる前に、もう少し鹿を仕留めたい。
 それに冬になれば鯉は穫れなくなる。
 忙しくなるだろうし、沢山ある借金も何とかしたい ―― そんなことを考えている内に、農家組合へ着いた。

 この前、トールとオイラで掘った井戸から湧く水で、ちょっとした大きさの溜め池ができていた。
 どこから来たのか、溜め池には小魚も棲みはじめていた。
 農家組合長は、いつかこの池で釣りや漁ができるかもしれないと喜んでいた。
 オイラは、この溜め池の周りにもウバメガシを植えてみようと思った。

 その後、水利や井戸掘りで増えた収穫の一部を頂いた。
 ありがたいことだ。
 午後からはトール達と鹿猟があるはずだった。
 ―― だったのだけれど。

 アルプスからの吹き下ろしの風が、急に強くなった。
 空気がひやりと張りつめる。

  セルフィドが来る。
 農家組合の誰かがそう呟いた。
 一大事だ。
 オイラは帰り道を急いだ。

 
            続きます


セルフィドの絵

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 タイトルカットと記事末のイラストは、フレキシブルフランクことChatGPTの作画

 紹介記事 
 優音先生のガッシュ愛を読んで頂きたい。

 神ダンの前のお話


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