神の子とダンジョン ・ 第20話 − 202 毎度っ!
それは、ハイキングの帰り道のことだった。
何気なく、テデクスが捨てた細長いどんぐりについて尋ねると、ジュニア君はあれは、ウバメガシの実だと言った。
ウバメガシならオイラも知ってる。
ノカナでは採り尽くされて、貴重な木だったはずだ。
「何に使うのですか?」と珍しくジュニア君から質問。
「良い炭になるらしい。」
そう口にした瞬間、記憶がよみがえった。
…… ああ、懐かしいな。
ノカナのイルおじさん、串焼きが好きだった。
「串焼きって何ですか?」
ジュニア君が首を傾げる。
オイラは足を止めた。
「あ、ちょっと待って……」
頭の中がパチパチとして、何かが繋がっていく感じがする。
「ジュニア君。確かソーセージ屋さんがさ、 イノシシの内臓で困ってなかった?」
ジュニア君が思い出したように答える。
「ええ。急に狩りが増えたので職人が足りず、 とりあえず塩漬けにしているそうです。」
レドゥビア城下へ続く街道を歩きながら、オイラはジュニア君と、相談を始めた。
それからは、話が早かった。
ソーセージ屋の女将さんが近所の女衆を集め、内臓を手際よく串に打っていく。
店はどうするのかと話になったが、オイラ達が作った用水の脇なら、誰の迷惑にもならない。
三日後。
バカルが非番の日、
旧市街 ―― 通称ダンジョンへ向かう前に屋台へ連れて行った。
炭が赤くなって、ウバメガシ製の炭から特有の澄んだ匂いが立ちのぼる。
じゅう、と脂が落ちる音もいい。
最初の客は、オイラ達 “ 血まみれ一家 ” とバカルだった。
「おおっ……見た目はアレだが、
熱っ、熱っ……柔らかくて美味いな。」
バカルの声に、女将さん達が顔を見合わせて笑う。
最初は渋い顔をしていたトールも、無言で一口かじると
「 …… 悪くない。
ちょっとエールが欲しいな。」
その声を待っていたかのように、
「あるよ!」
と、屋台から元気な声が飛ぶ。
泡立つエールと、炭火で焼いた内臓。
「止まらねぇな、これは。」
トールとバカルが笑う。
「今日は狩りはいいから、存分に食べてよ。」
オイラがそう言うと、二人は本気で串を掴み始めた。
やがて匂いに釣られ、ハンター達が足を止める。
一人、また一人と並び始め、いつの間にか屋台に列が出来ていた。
ジュニア君が、にやりと笑う。
「ジャック様……これは大儲けになりそうですね。」
オイラも一本かじる。
…… 確かに、美味いぞコレ。
見た目は多少アレだが。
「しかも、エールが予想以上に出ています。」
ジュニア君が両拳を握り、目を輝かせた。
バカルとトールが満足して帰った後も、オイラはジュニア君と屋台の様子を見ていた。
炭はまだ赤い。
用水の流れと、客の笑い声が混ざる。
「机と椅子があった方がいいな。」
立ち食いでも悪くないが、腰を落ち着ければもう一本売れる。
「芋を茹でて出すのはどうでしょう。
塩とハーブを振れば、エールに合います。」
ジュニア君、キミは若いのにやるねぇ。
「そうしよう。
エールを飲まない客には、ハーブティーが合うかもしれない。
温かいものがあると、落ちつくって言うしな。」
陽が傾く頃には、用意した内臓はすべて売り切れた。
最後の一本を渡したとき、女将さん達が小さく拍手をした。
オイラ達は炭を整えながら、明日の仕込みの相談を始めた。
「いやぁ、さすがジャック様です。
ソーセージやパテはそのまま商売してもらいながら、
串焼きとは……普通は思いつきません。」
嬉しいな。ジュニア君、もっと言ってくれ。
「レドゥビアはアルプスの麓の街ですから、 良い炭にも困りません。」
そうだね、そうだね。
「女衆も歩合の良い仕事に喜んでくれていますし、エールはカップに注ぐだけで利益が出ます。」
だよね。
ウハウハ過ぎるけれど、ハンター達は安いと言ってたしねぇ。
「ジャック様。
鹿猟の季節前にこれを思いつくのは天才的です。」
うんうん。
オイラ、読み書きはアレだけどな。
「…… ええ、そこは本当にアレと言いますか、残念ですね。」
ヲイっ!
もう、ええわ。
続きます
(この記事は、あおあかまぐろ様
SPECIAL THANKS でございます。)
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あおあかまぐろ様
前のお話です。
記事下に、優音先生へのリンクと、神ダンのリンクがあります。
タイトルカットは、フレキシブルフランクことChatGPT作画
最後は、優音先生のレドゥビア城が見える通りのラビちゃん

