ChatGPT Voiceに国税庁PDFを渡した。「何ページ?」と聞いたら、答えの根拠が崩れた
2026年8月7日、ChatGPT Voiceに新しい機能が追加されました。
OpenAIの公式リリースノートには、
「Files and Projects in ChatGPT Voice」
とあります。
Voiceの会話中にファイルをアップロードし、その内容を分析したり、質問したりできるようになったというものです。
これを見たとき、私はかなり期待しました。
なぜなら、
「長いPDFを、自分で全部読まなくてもよくなるのでは?」
と思ったからです。
政府や自治体が出している資料。
説明書。
仕事でもらう長い資料。
大事なのは分かっている。でも、読むのは大変です。
PDFをChatGPTに渡して、
「私に関係するところだけ教えて」
「ここってどういう意味?」
「それ、何ページ?」
そんなことを全部、声だけでやり取りできたらかなり便利です。

そこで実際に試してみました。
使ったのは、国税庁の「暮らしの税情報」のPDF。
ところが途中で私は、Voiceにこう聞くことになります。
「え、今までの回答は何だったの?」
まず、VoiceにPDFを渡してみる
最初に少しつまずきました。
私のChatGPTには、音声モードとして
・Live
・高度
・標準
が表示されています。
最初はLiveを使っていました。
ところが私の環境では、添付しようとしても写真しか選べませんでした。
そこで、
設定 → 音声 → 高度
に変更。
すると、PDFを添付できました。
これは今回、私の環境で実際に確認した動作です。
OpenAIは8月7日のリリースノートで、ChatGPT Voiceからファイルをアップロードし、その内容を分析したり質問したりできる機能を発表しています。
「これなら、やりたかったことができるかもしれない」
そう思いました。
国税庁のPDFを渡して、最初に聞いたこと
今回使ったのは、国税庁が公開している税金についての資料です。
税金の情報は生活に直結します。
でも、全部読むとなるとなかなか大変です。
そこで最初にこう聞きました。
「このPDF、正直全部読むのは大変です。普通の会社員に関係しそうな内容だけ3分くらいで分かるように説明して」
返ってきたのは、
「普通の会社員が気にするポイントをギュッと凝縮する」
というような返答でした。
ところが、肝心の説明はかなり短い。
3分どころか、1分もありません。
そこで、「1分未満の説明になってます」と指摘しました。
もう一度説明してもらいました。それでも短い。
ここで少し気になりました。
「3分」という指定そのものがVoiceには伝わりづらいのか。
それとも、要約を頼むとどうしても短くなるのか。あるいはVoice自体が、テキストより短めに回答するよう作られているのか。
理由までは分かりませんでした。
ただ、この時点ではまだ大きな問題だとは思っていません。
何より私は、
PDFをちゃんと読んだうえで答えてくれている
と思っていました。
副業について聞いたら、普通に答えてくれた
次に聞きました。
「会社員が副業を始めた場合に関係しそうなところは、この資料にありますか?」
Voiceは、
副業を始めると所得が増えること。
申告が関係すること。
そんな内容を普通に説明してくれました。
次に、
「医療費をたくさん払った場合、会社員でも税金が戻ってくることがあるの?」
これにも普通に答えます。
医療費控除について説明してくれました。
さらに、
「ふるさと納税について、この資料では何に注意するように書かれている?」
これにも回答します。
自己負担。
寄附金額。
ワンストップ特例。
かなり自然です。私はこの時点で疑っていませんでした。

最初にPDFを渡している。
そして私はずっと、「この資料では?」と聞いている。
だから当然、
アップロードしたPDFを読んで、その中身について答えている
と思っていました。
「副業20万円以下なら何もしなくていい?」と聞いてみた
少し踏み込んでみました。
「じゃあ、副業で20万円以下なら、絶対に何もしなくていいってこと?」
Voiceは、確定申告が不要になる場合があっても、住民税の申告が必要になる場合がある。
という趣旨の説明をしました。かなり普通の会話です。
むしろ便利に感じていました。
長い資料を読まなくても、自分が知りたいことだけ声で聞けばいい。
「これ、かなり使えるんじゃない?」
そう思い始めていました。
そこで、確認のために一つだけ質問しました。
「今の回答は、このPDFの何ページ?」
これが今回の転換点でした。私はこう聞きました。
「今の回答は、このPDFの何ページに書いてありますか?」
するとVoiceは、こう答えました。
今はPDFのページを直接見ているわけではなく、一般的な税務の知識をもとに答えていた。
え?
ちょっと待って。
今までの回答は何だったの?

これが今回、一番驚いた瞬間でした。
私は最初にPDFをアップロードしています。
しかも、
「このPDFでは?」
「この資料には?」
と聞いていました。
Voiceも、それに普通に答えていました。
だから私は、
PDFを根拠にした回答だと思っていました。
ところがVoice自身の説明では、少なくともそれまでの回答の一部は、
PDFではなく、一般的な税務知識をもとに答えていた。
ということになります。
答えがたまたま合っているかどうかとは、別の問題です。
私が怖いと思ったのは、
何を根拠に答えているのか、会話している側には分からなかったこと
でした。
「PDFは読めるの?」と聞いたら、「読める」と答えた
そこで確認しました。
「このチャットの最初にPDFはアップロードしてるけど、それは読めないのか、読めるのか、どちらか答えて」
すると、「読める」という回答。
さらに、
「今からPDFを確認する」
と言いました。待ちました。
でも、いつまで待っても回答は来ません。
「いつまで待たせるの?」と聞きます。
すると今度は、
実際にはPDFを見られていない状態だった
という説明に変わりました。
ここで私が一番引っかかったのは、PDFを読めなかったことではありません。
「できます」と言い切ったことです。
できないなら、「今はできません」でいいんです。
むしろ、その方が信用できます。
AIが間違える可能性があることは分かっています。
でも、
できないことを「できる」と言われると、ユーザー側はそれを前提に判断してしまいます。

今回、私はまさにそうでした。
PDFをもう一度渡したら、今度は明らかに動きが変わった
そこで、PDFをもう一度アップロードしました。
すると今度は画面上に、
「ツールが呼び出されました」
という表示が出ました。
先ほどまでとは明らかに違います。そこで、
「このPDFの中で、副業収入が20万円以下の場合について」
と聞いてみました。今度は、
PDF内には直接その記載が見当たらない。
という回答が返ってきました。
「あ、今度は本当にPDFを調べているっぽい」
そう感じました。さらに、
「この資料の中には、ふるさと納税とか医療費のことは書いてなかったの?」
と質問。
ツールが動き、どちらも書かれているという回答が返ってきました。
そこで、今度こそ確かめます。
「ふるさと納税は何ページ?」
「具体的に、ふるさと納税は何ページに書いてあったの?」
Voiceは、20ページと答えました。
さらに項目名を聞くと、「個人が支出した寄附金の控除」として説明されているという回答。
今度はかなりそれらしくなりました。
では、医療費控除は?「医療費控除は何ページ?」
Voiceは、12ページと答えました。
PDFを自分で開いて確認します。
12ページ。そこにあったのは、「退職金と税」でした。
違います。
そのことを指摘すると、Voiceは再び探し始めます。
次の回答は、32ページ。
32ページを確認します。
そこに書いてあったのは、「マイホームを増改築したとき」でした。
また違います。
さらに問い詰めると、今度は、15ページ付近。
確認すると、確かに15ページには医療費について書かれていました。
ようやくたどり着きました。
12ページ → 32ページ → 15ページ
今回、私が聞いていたのは、ものすごく難しい質問ではありません。
複雑な税額を計算させたわけでもありません。
特殊な税務判断を求めたわけでもない。
ただ、「医療費控除は何ページ?」と聞いただけです。
その答えが、
12ページ。
32ページ。
15ページ。
と変わりました。

最終的には見つかりました。でも私は、
この精度なら、実際に使うのは厳しいかもしれない
と感じました。
特に今回のような税金の資料では、間違った情報を信じてしまうと困ります。
Voiceの回答を聞いたあと、結局PDFを自分で開いて、
「本当にそう書いてある?」と確認しなければならない。
それなら、
どこまで作業が楽になったのだろう?
という疑問が残ります。
「ながら聞き」の頭出しくらいなら使えるかもしれない
それでも、まったく使えないとは思いません。
たとえば料理をしている。
部屋を片付けている。
別の作業をしている。
そんなときに、
「このPDFって、だいたい何について書いてあるの?」
「私に関係しそうなものはありそう?」
と聞く。
そうやって、資料を読む前の頭出しとして使う。
これなら使い道はありそうです。

ただし、あとで必ず自分で答え合わせをする。
そこまで含めての使い方になると思います。
そう考えたときの、今回の率直な感想は、
ぶっちゃけ、微妙でした。
Voice自体も、少し気になった
PDF以外にも気になることがありました。
会話している途中で、音声がちょこちょこ乱れる場面がありました。
私は以前、ChatGPTとGeminiの音声AIも比較しています。
日本語の聞き取りやすさや声については、そのときからGeminiの方が好みでした。
今回、PDFの内容をどこまで信用していいのか分からない。
音声も時々乱れる。
という体験まで含めると、
多少怪しい部分が残るなら、現時点では私はGeminiを選ぶかな、
というのが率直なところです。
これはあくまで、今回の私の環境と使い方での感想です。

PDFについてVoiceに聞く使い方は、今は人に勧められない
今回試したのは、
「PDFをVoiceに渡して、その内容について声だけで質問する」
という使い方です。
これについて、今の私の評価はかなり厳しいです。
人には勧められません。
理由は、「一度間違えたから」ではありません。
PDFを根拠にして答えていると思っていたら、一般知識による回答だった。読めると言ったのに、実際には読めていなかった。
実際にPDF検索が動いてからも、ページ番号を何度も間違えた。
つまり私は、
Voiceの回答をどこまで信用していいのか判断できませんでした。
大まかな話を聞くならともかく、重要な資料の内容確認を任せるには、今の私には怖いです。
それでも、私はこの機能に期待している
ここまでかなり厳しく書きました。
でも、この機能そのものには期待しています。
なぜなら、
まさにこれが欲しかったからです。
PDFを渡す。
自分は別の作業をする。
「大事なところだけ教えて」
「そこ、もう少し詳しく」
「自分の場合はどこを読めばいい?」
「それ何ページ?」
こんなやり取りを、全部声だけでする。
しかも、必ず渡したファイルを根拠に答えてくれる。
分からないなら、「分からない」。
ファイルが読めていないなら、「今は読めていない」。
そう言ってくれる。
そこまでできたら、私はかなり使うと思います。
「PDFを読まなくていい未来」は、もう少し先だった
今回、最初に期待していたのは、
「もう長いPDFを読まなくてもいいかもしれない」
ということでした。
実際に使ってみると、そこまではまだ行けませんでした。
でも、PDFをVoiceに渡して、その内容について声で質問する。
この体験自体は、かなり面白いです。
だからこそ惜しい。
今回は、
PDFを読んでいると思って話していたら、実はそうではなかった。
そこから始まり、最後まで確認を続けた結果、
「今はまだ任せられない」
という結論になりました。
ただ、この機能がアップデートされたら、私はまた同じ検証をやってみたいと思っています。
今度こそ、「え、今までの回答は何だったの?」ではなく、
「本当にもうPDFを読まなくてもいいかもしれない」
と思えるのか。
その日が来るのを、ちょっと楽しみにしています。

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参考・出典
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