“早く一人前に”が、成長を止めている。やり抜けないのは根性不足じゃない。設計ミスです。
「目標」と「期待」を一緒にしている人は、だいたいしんどそうだ。
最近、メジャーリーガーの菊池雄星選手がインタビューで話していた言葉が妙に引っかかった。
「目標は高く持った方がいい。でも、期待は高く持たない方がいい。」
この2つ、似ているようで全く違う。
多くの人はここを混同している。
そして、そのズレがそのまま“しんどさ”になっている。
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これを教育現場で見ていると、かなりわかりやすい。
例えば、新人研修。
「早く一人前になってほしい」
「現場で通用するレベルになってほしい」
これは“目標”としては正しい。
でも同時に、
「1回でできるようになるはず」
「教えたことはすぐ再現できるはず」
こんな“期待”まで乗せてしまうと、一気にズレる。
当然、新人はそんなに簡単にできない。
結果、できなかった時にどうなるか。
教える側は「なんでできないの?」になる。
教わる側は「自分はダメだ」になる。
現場の空気が一気に重くなる。
これ、よくある構造だと思う。
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逆に、目標と期待を分けるとどうなるか。
「一人前になる」という高い目標はそのまま置く。
でも、「1回でできる」とは期待しない。
むしろ、「できない前提」で設計する。
・最初はズレる
・再現できない
・抜け漏れが出る
これを前提にして関わる。
すると何が起きるか。
できなかった時に、
「想定内」として扱える。
感情がブレない。
その分、
「どこでつまずいたのか」
「次はどう改善するか」
ここにエネルギーを使える。
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ここで、“グリット(やり抜く力)”の話に繋がる。
よく、粘り強さとか根性とか言われるけど、
現場で見ていると、やり抜ける人にはある共通点がある。
それが、
「目標が高く、期待が低い」という状態だ。
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実際、やり抜けない人のパターンはシンプルで、
・1回でうまくやろうとする
・できないと落ち込む
・行動が止まる
これで試行回数が減る。
当然、成長もしない。
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一方で、やり抜ける人は違う。
・最初からうまくいくと思っていない
・できなくてもダメージが少ない
・だから次もやる
結果として、試行回数が増える。
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ここで、菊池選手の話が効いてくる。
彼は「練習すれば上手くなる」とは思っていない。
「練習の中で“きっかけ”を掴むためにやっている」と言っている。
つまり、成長は直線じゃない。
ある瞬間、急に伸びる。
だからこそ、
その“瞬間”に出会うために、回数をこなす。
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これを教育に置き換えるとどうなるか。
新人がある日、急にできるようになる瞬間がある。
今まで何度もミスしていたのに、急にハマる。
あの瞬間。
あれは「教え方が急に良くなった」わけでも、
「本人が急に努力した」わけでもない。
それまでの試行の中で、
“きっかけ”に当たっただけだ。
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だから、教育側がやるべきことはシンプルで、
・試行回数を止めないこと
・失敗しても続けられる状態を作ること
そのために必要なのが、
「期待を下げる」という設計だと思う。
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期待が高いと、人は止まる。
期待が低いと、人は続く。
続くから、当たる。
当たるから、伸びる。
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グリットは「根性」じゃない。
・目標を高く設定する
・期待をコントロールする
・試行回数を増やす
この構造の上に成り立っている。
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もしこれが正しいなら、
やり抜く力は才能じゃない。
設計できる。
教育でも、育成でも、
再現できる。
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そう考えると、
「なんで続かないんだろう」じゃなくて、
「続けられない設計になってないか?」
この問いの方が、ずっと建設的だと思う。
